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図については、元サイトをご覧ください。
「もんじゅ」とは
「もんじゅ」は出力28万kWの高速増殖炉の原型炉です。約6000億円の巨費を投じて福井県敦賀市白木に建設されました。これまで「もんじゅ」につぎ込まれた資金は約9000億円にも達します。高速増殖炉開発につぎ込まれた総費用は約2兆円と言われています。
95年12月8日、試験運転中にナトリウム漏れ火災事故が発生し、現在まで停止しています。改造工事が施され、2010年4月に運転再開予定です。
高速増殖炉とは
「運転しながら燃料となるプルトニウムを新たに造り出す」原子炉が高速増殖炉です。かつては「夢の原子炉」と呼ばれました。アメリカがパイオニアで、日本に原爆を落としたマンハッタン計画に端を発しています。世界で最初に発電した原子炉も高速増殖炉でした。半世紀以上の歴史がありますが、後発の軽水炉に先を越され、結局、いまだに実用化の目処もありません。
官が生み出す巨大な無駄と危険性 「もんじゅ」
高速増殖炉が「夢の原子炉」と呼ばれたのは遙か昔の話です。確かに「消費する燃料以上の新燃料を同時に作り出すことができる」のでしたら「夢の原子炉」でしょう。しかし、この開発に乗り出した先進各国はとうの昔に手を引いています。理由は、つまるところ、技術的に難しく半世紀経っても開発の目処は立たない、無理を承知で開発するには巨額の投資が必要、当分ウランは枯渇しないから必要性に乏しい、ということです。
さらにやっかいなことに高速増殖炉は核開発と裏表の関係にあります。小型核兵器に最適の超高純度プルトニウムが製造できるからです。巨額の投資をして開発できたとしましょう。当然、投資分を回収するためにも海外に技術を売り込む必要があります。しかし、世界中に高速増殖炉が増えることは、核拡散の危険性を増殖することを意味します。
どうしたことか日本はいまだに高速増殖炉開発に固執しています。「開発できれば資源問題が解決する」というお題目がまかり通り、この1点で開発続行が正当化されてきました。
電力会社は腰が引けています。一部の官僚や政治家、研究者、旧動燃事業団関係者など高速増殖炉開発推進派だけがご執心、というわけです。それでも電力会社が反対しない理由は、核燃料サイクル政策のメリットを享受しているからに他なりません。原発からでる使用済み燃料は、再処理するという「政策(核燃料サイクル政策)」によって「ごみ」ではなく「資源」となり、電力会社は「ごみ」の発生者責任を免れ、原子力発電所内にたまった使用済み燃料を順繰り再処理工場に送り出すことで原発の運転も続けられる、というメリットです。原発を運転する上で「核燃料サイクル政策」はとても好都合です。
電力会社は、いよいよ自分たちが高速増殖炉を作らないといけない、というぎりぎりの線まで国の方針には逆らわないでしょう。いざとなったら「経済性を考慮して手を引く」と決めればよいのです。「前科」があります。旧動燃が開発した新型転換炉の時にはそうしました。
原子力政策を決めるのは原子力委員会です。原子力委員会は、原子力推進の研究者、資源エネルギー庁、メーカー、電力会社、独立行政法人日本原子力研究開発機構といった「原子力村」の住民達の利害代表であり、利害調整機関です。[推進派による推進派のための政策決定]という仕組みができあがっており、「よそ者」には止められない、という状況が続いています。
かくして、試運転段階でいきなり重大事故を起こした「もんじゅ」が、13年の時を経て再び動き出そうとしています。前例のない事態です。動き出せばトラブルは避けられないとして、果たして大事故に至らないか、不安は増すばかりです。
日本の核武装化に手を貸し、原子力産業を潤し、ごく一部の人々を養うだけの高速増殖炉開発。この愚かな政策は即刻中止すべきです。この開発に向けられる予算を自然エネルギー立国に向けて振り向けられれば、遙かに有意義な結果が得られるでしょう。
欧米各国はすでに撤退 推進は日本のみ
高速増殖炉の開発に世界で最初に乗り出したのはアメリカです。日本に原爆を投下したマンハッタン計画に端を発しています。それほど前から高速増殖炉の開発は始まっており、世界で初めて発電した原子炉も高速増殖炉でした(1951年アメリカ、EBR-1)。かつては「夢の原子炉」と呼ばれましたが、完全に夢に終わった過去の技術です。
すでにアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスが開発から撤退しています。フランスではフェニックスというかつての原型炉がありますが、91年から核のごみの焼却研究炉として存続しているにすぎません。それも08年には廃炉措置が始まります
欧米各国の撤退
アメリカ イギリス ドイツ フランス
クリンチリバー PFR SNR-300 スーパーフェニックス
1983年 1988年 1991年 1991年
アメリカ 上院が原型炉クリンチリバー炉の予算案否決
イギリス サッチャー首相が原型炉PFRの閉鎖を決定
ドイツ 原型炉SNR-300の廃止に政府・電力・メーカーが合意
フランス 政策転換して高速増殖炉開発から撤退※
※98年に実証炉スーパーフェニックスが閉鎖。原型炉フェニックスも08年に廃炉。
韓国も最近撤退 GIF(次世代原子炉国際フォーラム)の中の「もんじゅ」を中止とするナトリウム冷却炉のグループから、2006年、韓国が撤退した。「開発が見込めない。費用負担は無駄な投資」と判断。
「もんじゅ」及び世界の高速増殖炉についてのより詳しい情報は 高速増殖炉「もんじゅ」−過去・現在・未来−(原子力安全問題ゼミ第100回講座)
高速増殖炉からの撤退-米・英・独・仏の政治判断-
「もんじゅ」と核燃料サイクル
核燃料サイクル政策とは、原発の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、これを燃料に加工して高速増殖炉で使い、その高速増殖炉からプルトニウムを取り出して、また高速増殖炉で使う、というサイクルです。高速増殖炉サイクルが本命で、軽水炉サイクルはその立ち上げのための手段です。ゆくゆくは高速増殖炉サイクルだけで回ることを想定しています。
高速増殖炉開発が核燃料サイクルの要です。そのために「もんじゅ」があり、また、六カ所の再処理工場が造られました。高速増殖炉開発を止めないことには再処理工場も政策的になくならない、という関係にあります。
軽水炉サイクルにある再処理工場は青森県六カ所村にある再処理工場です。高速増殖炉サイクルにある再処理工場や燃料燃料工場の商業施設はありません。
税金の無駄遣い
高速増殖炉開発には巨額の税金が投入されてきました。「開発できればウランが60倍に有効利用できる」という「夢のような話」が40年間あいもかわらず掲げられ、この1点で今も開発続行が正当化されています。
「もんじゅ」の建設費に5900億円
高速増殖炉開発に累積2兆円以上 実験炉「常陽」から原型炉「もんじゅ」まで
「もんじゅ」改造工事関連で340億円
「もんじゅ」稼働に年間200億円
2010年までの5年間で約2500億円 「もんじゅ」を中心に高速増殖炉サイクル全体で
イギリスのサッチャー首相は「1億ポンド(200億円)もかけるのは無駄」と判断して中止を決断した。原子力機構が盛んに引き合いに出しているアメリカの開発費用は、「次世代原子炉」で年間20〜30億円、鳴り物入りで登場したGNEPでさえ180億円。日本の状況はまさに異様。
当初見積額 最終評価額 増加比率
アメリカ [クリンチリバー] 約4億ドル(1972年) 約31億〜88億ドル(1982年) 8倍〜22倍
イギリス[PFR] 約2900万ポンド(1966年) 約4450万ポンド(1974年) 1.5倍
ドイツ [SNR-300] 約6.7億マルク(1969年) 約67億マルク(1982年) 10倍
フランス [スーパーフェニックス]約18〜20億フラン(1972年) 約344億フラン(1994年) 17倍〜19倍
日 本[もんじゅ] 約360億円(1972年) 約5886億円(1994年) 16倍
各国撤退については冊子『高速増殖炉からの撤退 米・英・独・仏の政治判断』を参照されたし
「もんじゅ」は無意味
ポスト「もんじゅ」が動き始めています。原子力機構は、「フェーズU」※でそのデザインの概要を示しています。「もんじゅ」とはまるでデザインが異なります。 ※高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究の第二段階
原子炉容器のコンパクト化
ポンプ組込型中間熱交換器
冷却ループ数の削減(3ループ→2ループ)
新材料[被覆管:ODS(酸化物分散強化型)鋼、配管:高クロム鋼]
配管の二重化
蒸気発生器は直管型二重伝熱管
「もんじゅ」には3つある冷却系が2つに減らされます。このため、主配管が更に大口径化し、ナトリウムの温度がより高くなります。ナトリウム漏れ対策として配管や伝熱管が二重化されます。蒸気発生器の構造も変わります。「もんじゅ」は蒸発器と過熱器に分かれていましたが、これが1つになります。伝熱管もラセン管から直管かつ二重管に変わります。「もんじゅ」のクネクネ引き回し配管からコンパクトに変更されています。中間熱交換器とポンプの一体化なども図られます。
「果たして実現するのか」と専門家は疑問を呈しています。それはさておき、「軽水炉並」の経済性優先が掲げられた結果、安全性が犠牲にされることになるのではないでしょうか。
ともかく、「もんじゅ」とのつながりはなくなりました。いよいよ「もんじゅ」は何のために運転を続けるのか、が問われます。
国の政策では、運転目的として@発電プラントとしての信頼性実証 Aナトリウム取扱技術の確立 が掲げられていますが、「もんじゅ」をいくら動かしても実証炉には役に立ちません。「もんじゅ」を続けても全く意味がないのです。「もんじゅ」後継機は、実際には新原型炉です。新原型炉といってしまうと「もんじゅ」の無意味性を認めることになるので、あくまで「実証炉」といっているに過ぎません。
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