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運用に向けた準備が進む多核種除去装置=12日午前11時25分ごろ(代表撮影)
【福島第一原発ルポ】汚染水たまる一方 新装置 運用遅れ 地下水への対応も進まず
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2012/10/post_5276.html
2012/10/13 09:58 福島民報
事故から1年7カ月が経過した東京電力福島第一原発では、たまり続ける汚染水への対応が課題の1つになっている。12日、5カ月ぶりに報道陣に公開された、廃炉への作業が進む1〜4号機。汚染水を浄化する多核種除去装置の整備は終わったが、浄化が始まっても、処理後の水はタンクに保管せざるを得ない状況だ。汚染水増加の要因になっている地下水への対応も進んでいない。先が見えない闘いに関係者にも焦りの表情が浮かんでいた。
■処分法決まらず
「多核種除去装置は62種類もの放射性物質を取り除くことができる」。東電社員は汚染水の処理が一番の課題であると説明した上で、装置の性能の高さを強調した。
1〜3号機では原子炉冷却で発生した汚染水からセシウムや塩分を取り除き、再度、原子炉に戻して冷却に使う「循環注水冷却」を実施している。多核種除去装置は、ストロンチウムやプルトニウムなどの放射性物質を取り除くことができ、1日で500トンの水を処理できる。ただ、水の最終的な処分法は決まっていない。担当者はタンクにため続けるしかないことを説明した。
新装置の運用も遅れている。当初は10月に本格運用させる計画だったが、現段階で試験運用すら始まっていなかった。地元自治体や原子力規制委員会への説明に時間がかかっているのが要因だ。「本格運用は数カ月かかるだろう」。担当者は厳しい表情を見せた。
■既に21万トン
原子炉建屋には1日約400トンの地下水が流入しているとみられる。1日で200リットル入りドラム缶2000本が満杯になる量だ。地下水は汚染水となり、増え続けている。
現在、汚染水をためているタンクの容量は23万トンで、敷地内には120トンと1000トンの2種類のタンクがずらりと並ぶ。12日現在、保管量は既に21万トンを超えていた。今後はタンクの増設でしのぐしかない。
汚染水増加に歯止めをかけるため、1〜4号機の西側に井戸を掘り、建屋に流れ込んで汚染水になる前に地下水をくみ上げる対策が打ち出された。しかし、井戸を掘るのにも地元町村への説明が必要で、作業は当初計画より1カ月遅れた。掘削予定地では作業員が下準備として草刈りをしている姿が見られるだけだった。取材ルートに組み込まれていたが、担当者は何の説明もしないまま、その場を通り過ぎた。
その後、記者団の質問に担当者が答えた。「1日に流れ込む400トンのうち、くみ上げられる量は掘ってみないと分からない」
■残る高線量地点
天井部のがれき撤去を終えた4号機。来年末に予定されている燃料プールからの燃料の搬出に向けて作業員が準備を進めていた。
燃料は敷地内の共用プールに収めることになる。現在、共用プールに収容されている使用済みの燃料は「仮保管庫」に移動する予定で、現在、基礎工事が進んでいる。一方、1〜3号機の原子炉などに溶け落ちた燃料をどう処分するか、めどは立っていない。
今回初めて公開された1、2号機原子炉建屋西側を進むと、線量計の数値が毎時900マイクロシーベルトまで急上昇した。高線量が復旧作業を阻んでいる現状を垣間見た思いがした。
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