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2012年3月24日 (土)
読者の皆さんは「オメガ計画」というものをご存じだろうか。神州の泉は、つい最近初めてこの名前を知った。「オメガ計画」とはOption Making of Extra Gain from Actinides and fission products の略語(OMEGA)を綴ったものだそうである。ネットでググってみるとその概要は次のようである。
(引用開始)
「『オメガ計画』は、高レベル放射性廃棄物処分の効率化と積極的な安全性の向上ならびにその資源化という新たな可能性を目指して進められているわが国の長期的、先導的な研究開発計画である。高レベル放射性廃棄物にはNp、Am、Cmなどのマイナーアクチナイド、99Tc、129Iなどの長寿命核分裂生成物、発熱性の90Sr、137CsやRh、Pdなどの有用な白金族元素が含まれている。「オメガ計画」では、これらの元素を特性に応じて分離(群分離)し、半減期の長いマイナーアクチナイド及び核分裂生成物については加速器駆動核変換システム(ADS)による短寿命または非放射性の核種に変換(消滅処理)する技術の研究開発」
(引用終了)
門外漢の私はこの短文だけでも意味が良く分からず、頭が痛くなる説明である。Np、Am、Cmとは、それぞれネプチニウム、アメリシウム、キュリウムという放射性核種であるが、これらは「超ウラン元素」と呼ばれ、ウラニウムよりも原子番号が大きい放射性核種である。だが、Pu(プルトニウム)はこの超ウランに属していないそうだからまたややこしい。繰り返すが、ネプチウム、アメリシウム、キュリウムは「超ウラン元素」であり、これらはウラン核燃料を原子炉で燃やすうちにできてくる核生成物で、またの名をマイナーアクチノイド(MA)と呼ぶそうだから、これもややこしい。
何で「超ウラン元素」で呼称統一しないのかと思うが、専門領域の理由があるのだろう。「超ウラン元素」は、従来の使用済み燃料に約0.1%含まれ、現在の再処理ではプルトニウムを取り出した後の高レベル放射性廃棄物に残される。半減期の長いアルファ線を出す厄介なものだ。浜田和幸議員(国民新党)は、原発事故から約二か月後の2011年5月8日、自身のオフィシャルブログで、この「オメガ計画」について言及しているが、実に奇々怪々で驚くべきことを書いている。冒頭に説明した「オメガ計画」は、専門性が強すぎて実に分かりにくいが、浜田議員はこのブログで分かりやすく簡潔に説明している。
それによれば、オメガ計画は、原子力関係者の間では知られているらしいが、高レベル放射性廃棄物を安全に処理するための先進的な研究として、文部科学省が主管庁となって1989年にスタートした。その骨子は、半減期の長い放射性物質を素早く安全に処理する技術を開発することにあり、福島原発事故で連日騒がせている、セシウムやヨウ素(β線放射核種)などを、核反応を利用して短寿命に変え、放射能を消滅させることを目指すものである。言わば、放射性物質の分離や消滅処理に関する研究である。たとえば、「半減期が30.1年といわれるセシウムは45分で処理できるようになる」とまで言われたらしい。ここでオメガ計画という物が何であるかようやく実像を結んでくる。
いきなり「半減期の長いマイナーアクチナイド及び核分裂生成物については加速器駆動核変換システム(ADS)による短寿命または非放射性の核種に変換(消滅処理)する技術の研究開発」などと説明されても分からないが、浜田議員の言うように、放射能を消滅させる技術と言われれば明確なイメージが湧く。浜田議員によれば、日本が先駆的研究に着手して、フランス、ロシア、アメリカでも放射性物質の分離、消滅処理に関する研究が進むようになったと言っているが、この計画の裏にはアメリカ「奥の院」の裏目的があって日本にやらせたのではないかと神州の泉は考えてしまう。
またややこしい話に戻るが、2006年2月、米政府は原発の使用済み核燃料の商業用再処理を約30年ぶりに再開するとする研究開発計画「国際原子力パートナーシップ」を発表したが、その構想は日米仏の共同開発というものである。米国がこの時期、急に使用済み燃料の産業用再処理型燃料の実用化に舵を切ったのは、原子炉でウランを燃やすうちにできてくるプルトニウムが高性能の核爆弾を造る材料として、テロリストの手に渡ることを恐れたようである。プルトニウムが、超ウラン元素と混ざれば核兵器化が難しくなるそうである。加えて混ざったそれは、放射能レベルが極めて高いためにテロリストが扱いにくくなる。しかも、これまでガラス固化体などで保管してきた放射性廃棄物の再利用にもつながり、抜群の燃料効率になるという。
日米仏三カ国の当局者が初期段階の議論を進めたそうである。内訳は、主に米仏が燃料サンプルを開発し、小型の「常陽」で燃焼実験をした上で、成功すれば「もんじゅ」でも類似の燃料サンプルで実験する方針だった。米国は高速炉を持っていないので、高速増殖炉「もんじゅ」には、実験施設として相当高い期待を寄せていたようである。これを別角度で眺めれば、東洋のサルを原爆で殲滅しても、何の痛痒も感じない米国が、日本に超危険な「もんじゅ」を稼働させ、自国ではやる気のなかった高速増殖炉の稼働実験を日本にやらせて、対岸から観察したかったのだろう。オメガ計画は明らかに、この「もんじゅ」とリンクしていると私は思う。従って、オメガ計画そのものは単純に放射能の減衰を早める試みであると捉えるのは早計かもしれないのだ。
1997年5月、国際政治学者である副島隆彦氏は『属国・日本論』(五月書房)という、日米関係の実相を看破した画期的な本を出している。この中で、副島氏は「世界を管理するグローバリスト官僚たち」という項目を設けているが、戦後日本はこのグローバリスト官僚に躾けられて育ったという、無残な表現をしているが、この捉え方は戦後教育を民族主義的な地域視点から、米国ワシントンの権力官僚による洗脳と位置付けていることで、実に優れた洞察である。もっと砕けた言い方をすれば、属国日本はアメリカにとってはアニマルファームとしての位置づけなのであり、それは当然ながら間接統治として、日本の国政を支配してきたが、一方では原子力行政も支配してきたと思われる。
このようにアメリカ主導の背景の中でオメガ計画は進んでいたと思われる。米国は身勝手極まる国だから、経済でも軍事でも自国利益さえあれば、関係国の犠牲は平然と見放す冷徹さを持つ。さて、ここで浜田和幸議員が語った奇怪な話になっていく。浜田氏はブログ記事の中で次のように言う。
(引用開始)
「わが国における原子力の安全性向上に関する金字塔のような研究事業であったのに。しかも、これまで莫大な国家予算を投じ、世界にもアピールしてきた。わが国の「原子力開発利用長期計画」の中心に据えられていた、この「オメガ計画」。福島原発の事故を受け、放射能汚染が深刻化する今こそ出番ではないのか。しかし、なぜか、どこからも「オメガ」の「オ」の字も聞こえてこない。そこで、文部科学省に問い合わせると、『データを紛失した。探してみるので時間がほしい』との回答。」
(引用終了)
監督官庁である文部科学省は、オメガ計画がどうなっているのかという問い合わせに、「データを紛失した」と、あり得ない答えを返している。1989にスタートして膨大な予算を掛けて22年も研究開発してきた「放射能減衰技術」が、『データを紛失した』という一言で、まったくブラックボックスと化し、その実情が全く国民に開示されない状況となっている。そんな理不尽なことがあるはずがない。22年を掛けた国家プロジェクトが無いものとして取り扱われている。福島第一原発事故で、半減期の長いセシウムなどのβ線を放出する核種が広範囲に飛散していて、除染などという空しい作業に批判が高まる中、今こそ「オメガ計画」の出番であろう。
ところが、マスメディアも御用学者も政府も、箝口令を敷かれたように『オメガ計画』を口にしていない。原子力ムラはこのオメガ計画の有用性をとことん知悉していると思われる。ところが異常なことに、これを絶対に出さないようにしようとする強い力が働いている。浜田議員が文科省に問い合わせたそのころ、菅政権の内閣官房参与を務める劇作家の平田オリザ氏が韓国・ソウルで講演し、東京電力が 福島第一原発で行なった汚染水の放出について、「アメリカ政府からの強い要請があった」と驚愕すべき発言をしていたことは記憶に新しい。アメリカの命令で放射能汚染水が太平洋に放出されたのである。この事実と「オメガ計画」の封印が同じ文脈上にあると考えるのは神州の泉だけだろうか。国家22年の一大プロジェクトが、一番必要な時に、いったいどのような理由で封印されなければならないのか。TPPで国際医療カルテルが、大勢の日本人の被曝を見込み、長期療養を当て込んで恒常的な医療利権を狙っているのだろうか。
いずれにしても、「オメガ計画」を封印しているのは間違いなくアメリカである。これについては、原子力ムラやマスコミ、政府に強力な箝口令が敷かれていると捉えるのは、あながち的外れではないと思う。
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