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2012年 10月 8日 21:14
成瀬裕史
■「原発ゼロ」発表の翌日から“後退”が始まった民主党「脱原発」政策
9月14日、政府は「2030年代の原発稼働ゼロ」を目指す、「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した。
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/pdf/20120914/20120914_1.pdf
しかし、この中でも原発存続が前提となる使用済み核燃料の再処理事業は当面継続するとした。
また、翌9月15日、枝野経産相は青森市で三村青森県知事と会談し、同県大間町に建設中の電源開発大間原発について「すでに設置許可を与えており変更しない」と述べ、工事継続を認める意向を示した。
さらに、9月19日、政府は閣議で、“原発ゼロ”を目指す「革新的エネルギー・環境戦略」を“参考文書”として扱い、事実上閣議決定を見送った。
「原発ゼロ」は目指すが、「使用済み核燃料の再処理事業」と「大間原発の建設」は“当面継続”、そして「原発ゼロのエネルギー戦略」は閣議決定事項ではなく“努力目標”扱いに…。
新聞諸氏は、この「原発ゼロ」政策の“後退”について、「地元・青森県への配慮」としているが、もう一つ、見逃してはいけないのが、「日米原子力協定」の存在、米国への配慮であろう…。
■「日米原子力協定」には、何が書いてあるのか?
先の自民党総裁選、候補者4人が揃った9月19日の日本外国特派員協会の記者会見で、石破茂氏は、「日米原子力協定から目をそらしていないか。このことを忘れてはならない」
「我が国が平和的に原子力を利用するということが、どういう意味なのか」
「日米同盟にとって、どういう意味を持つものなのかということをしっかり認識し、合衆国に説明することが必要であり、国民にも、それを説明しなければならない」と述べた。
「軍事オタク」と自他共に認める石破氏が持ち出した「日米原子力協定」には、一体、何が書かれているのであろうか…?
ネットで検索すると、文部科学省のHPに掲載されていた。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/04/23/s630702_05.pdf
正式名称は「原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」で、昭和63年に条約として締結されている。
この中で、第2条では、原子力の平和的利用のための両国間の協力方法として、「専門家の交換」、「情報の提供・交換」、「資材、核物質、設備の供給・受領」、「役務の提供・受領」が掲げられ、ヒト・技術・モノの全てにわたる「緊密な協力関係」が謳われている。
また、第3条では、核兵器の原料となる「プルトニウム及びウラン233並びに高濃縮ウラン」については、この協定に基づいて移転又は移転された核物質・設備で使用・生産されたものは、「両当事国政府が合意する施設においてのみ貯蔵される」とされている。
また、第11条では、第3条の規定の適用を受ける活動を容易にするため、両国政府は別個の取極を締結し、かつ、誠実に履行するとし、その取極として、
「原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定第11条に基づく両国政府の間の実施取極」が併せて締結されている。(先の文科省HP「日米原子力協力協定」のP18〜)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/04/23/s630702_05.pdf
この中の、「附属書」に、「プルトニウム及びウラン233並びに高濃縮ウラン」の形状・内容の変更、貯蔵を「合意する施設」が掲げられている。
■「六ヶ所」「大間」「もんじゅ」の名前が並ぶ“附属書”
それでは、この「附属書」には、どんな施設が掲げられているのか?
先の文科省HP「日米原子力協力協定」のP23から「附属書」は始まるが、
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/anzenkakuho/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2009/04/23/s630702_05.pdf
当初の附属書1,2には、東海村の再処理工場や英国核燃料公社セラフィールド工場、仏核物質会社ラ・アーグ工場、そして新型転換炉「ふげん」などが並んでいたが、
後に追加された附属書4(計画中又は建設中の施設であつて必要とされる時点において附属書1,2に追加されることが予定されるもの)は、次のとおりとなっている。
1 再処理施設
―――――――――――――――――――――――――――――――
所有者又は操業者の名称 施設名 設備能力 所在地
―――――――――――――――――――――――――――――――
日本原燃サービス株式会社 六ヶ所村商業用再処理施設 800t/年 青森
5 原子炉
(a) 新型転換炉/重水減速軽水冷却
――――――――――――――――――――――――――
所有者又は操業者の名称 施設名 設備能力 所在地
――――――――――――――――――――――――――
電源開発株式会社 大間 606MWe 青森
(b) 高速増殖炉/ナトリウム冷却
――――――――――――――――――――――――――
所有者又は操業者の名称 施設名 設備能力 所在地
――――――――――――――――――――――――――
動力炉・核燃料開発事業団 もんじゅ 280MWe 福井
何と、「原発ゼロ目標」決定後も“継続”とされた、「六ヶ所村再処理施設」や「大間原発」が“名を連ねている”のであった…。
さらには、あの「もんじゅ」の名も…。
■“非”核保有国で唯一、「核燃料再処理」を許された国・日本
「日米原子力協定」では、“合意した施設”である「六ヶ所村再処理施設」や「大間原発」などでなければ、プルトニウム等の「形状・内容の変更、貯蔵」を行えないとされている。
しかし、言い換えると、我が国・日本は、“非”核保有国で唯一、「核兵器開発」に繋がる、使用済み核燃料の再処理・プルトニウム抽出を、この「日米原子力協定」により、米国から許された国なのである。
この「日米原子力協定」の前文には、
「両国政府が核兵器の不拡散に関する条約の締約国政府であることに留意」し、「両国政府が国際原子力機関の目的を支持していること及び両国政府が不拡散条約への参加が普遍的に行われるようになることを促進することを希望していることを確認」し、協定したと書かれており、
「核兵器の不拡散」を最大限意識した協定となっている。
しかし、我が国が「原発ゼロ」を目指し、「再処理」で抽出されたプルトニウムを“燃やす”ための「大間原発」などの原発を止めてしまったら、「核兵器」の原料となるプルトニウムだけが残ってしまい、「核兵器の不拡散」を謳う「日米原子力協定」に“反する”ことになってしまう…。
これが、「大間原発」の“建設継続”と、「原発ゼロ」戦略の“閣議決定見送り”の「表向き」の理由であろう…。
■「核燃料再処理」にこだわる本音は「核武装」の思惑!?
今年の4月、米国の国家安全保障問題専門通信社NSNS( National Security News Service)が報じた調査結果が、ネット上で話題となっていた。
http://www.dcbureau.org/201204097128/national-security-news-service/united-states-circumvented-laws-to-help-japan-accumulate-tons-of-plutonium.html
“United States Circumvented Laws To Help Japan Accumulate Tons of Plutonium”(日本のプルトニウム蓄積を助けるため米国政府は法を曲げた)と題する、このリポートでは、
カーター大統領が、米国内のプルトニウム生産の増殖炉研究停止を決断し、核技術・設備の国外移転を禁じるために制定した、「1978年核非拡散法(原子力法)」を、
レーガン政権下、米国内の原子力推進派が巻き返しを図ってこれを覆し、増殖炉で蓄積した増殖技術や遠心分離器など設備を、《核武装を狙って兵器級プルトニウムの備蓄を進めようとする》日本側に売り渡す「日米原子力協定」の締結に漕ぎつけたとし、
日本の宇宙開発も、「核武装の思惑によるもの」と報じている…。
(なお、京大助教の小出裕章氏も、我が国が事故後も原発を推進する理由として「核兵器に転用できるプルトニウムを保持したいとする国家的欲望がそこにある」と新聞などで指摘している…)
これが“本当”だとすると、我が国は「米国の核の傘の下」など、とうに通り越し、「核兵器技術の共同開発者」となっているのではあるまいか?
だとしたら、米国の「日米原子力協定」遵守の意向は、「核兵器の不拡散」の遵守ではなく、「核兵器技術の共同開発」の遵守なのではないだろうか…?
なお、「六ヶ所村再処理施設」や「大間原発」のある、青森県下北半島の付け根・三沢市には米軍三沢基地があり、F16戦闘機が配備されている…。
■「反原発」の一歩は「日米同盟関係」の見直しから!?
思えば、レーガン政権時、日本では中曽根首相が長期政権を維持し、レーガン大統領と「ロン・ヤス」関係を誇っていたが、
彼は日本における原子力発電導入の草分け的存在であり、「不沈空」や「核武装」などの発言で物議を醸していた…。
日米首脳が「緊密な関係」をアピールすればする程、日米間の「軍事的関係」も“強化”されていくのではあるまいか…。
“対米追従”姿勢が顕著(?)な松下政経塾の“出世頭”野田首相も、「対米関係」を最優先としており、オスプレイ配備に対しても、
「配備自体は米国政府の方針だ。どうしろ、こうしろという話ではない」と7月の報道番組で発言している。
実際、「世界一危険」な普天間基地に、12機の「未亡人製造機」オスプレイの配備が、先日、完了した。
実は、日米安全保障条約に基づく
ttp://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/pdfs/jyoyaku.pdf
「日米地位協定」では、
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/kyoutei/index.html
第2条(施設及び区域の許与、決定、返還、特殊使用)で、
「合衆国は、相互協力及び安全保障条約第6条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される」とされており、
これに基づく基地や空域については、何をしようが「米国の勝手」なのである。
まさしく、先の野田首相の発言のとおり「米国政府の方針だ。どうしろ、こうしろという話ではない」のである…。
たとえ、大勢の市民がデモなどにより、「反原発」や「オスプレイ配備撤回」を訴えても、「日米原子力協定」や「日米地位協定」により、「主権者」日本国民の意向は“反故”にされてしまう。
そんな日本国民の“主権”を脅かす「日米同盟関係」が、「自由と平等」を国是とするアメリカ国民にとって、受け入れられるものなのであろうか…。
「対等な日米関係」を謳った民主党・鳩山政権は、「普天間」問題で頓挫してしまった。
その後を引き継いだ菅政権の唯一の“ポイント”であった「脱原発」も、その後の野田“松下政経塾”政権では、「原発ゼロ」方針も敢え無く“閣議決定見送り”となってしまった…。
我々日本国民が「主権」を行使して「政権交代」を実現させた民主党政権での、唯一の“成果”と思われる「原発ゼロ」方針は、“真の主権者”(?)米国の意向で「一夜にして覆されてしまった」ように思える…。
我々日本国民が「主権」を取り戻すには、もう一度、総選挙で、「反原発」、そして「対等な日米関係」を訴える政治勢力に、「政権交代」を託すしかないのではあるまいか…。
―そんな「勇気ある政治家」が、もしも我が国に「存在するならば」の話ではあるが…。
成瀬裕史記者のプロフィール
1960年生まれ。北日本の一地方在住。一次産業を主とする“地方”の復興のため、明治維新から続く中央集権・官僚主導の国家体制の“CHANGE”を志す。
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