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衝撃の専門書 「川魚の放射能はなくならない」
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2012/10/11 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
「時間がたてば解決」は大きな誤解
福島原発の事故から1年半がたち、放射能汚染への警戒心が薄れているが、そんな中、ショックな本が出た。国会事故調で参考人になった東京海洋大名誉教授、水口憲哉氏が書いた「淡水魚の放射能」(フライの雑誌社)である。
これまで野菜や海水魚、海藻などへの汚染は何度も話題になり、報道も多かった。
しかし、アユなどに代表される川魚の汚染について、きちんと書かれたものはなかった。水口氏の著書はまさに、そこに注目、言及しているのだが、恐ろしいことが書かれている。
例えば、アユ。2011年5〜10月の観測では、福島県内の真野川や伊達市内の阿武隈川で獲れたアユから1000ベクレル/キロを超える計測値が出たという。これは事故直後だから、しょうがないとして、いわき市の夏井川では2011年5月末に380ベクレル、8月には18・5ベクレル。急減したのに、9月には再び119ベクレルに増えた。
今年はどうか。5〜7月の計測では、伊達市の阿武隈川では170ベクレル、福島市の阿武隈川でも170ベクレルのアユがいた。
アユは年魚で、事故時に生きていた魚はとっくに死んでいる。それなのに、相変わらず、セシウムが出てくるのだ。底質にセシウムがへばりついているからである。環境省による今年1月の調査では真野川の底質から588ベクレル/キロのセシウムが出た。飯舘村のダム湖、はやま湖は3万9000ベクレルである。
「セシウムというのは粘っこいんです。だから、川の水で流されるわけではない。小さい穴、くぼみ、藻類、水生昆虫などにへばりつくんです。これらは表面積にすると,驚くほど大きくなる。それをエサにして食べる魚は放射能まみれになってしまう。多くの人は時間がたてば、放射性物質は減ると思っている。半減期が過ぎれば減りますが、それまでは減りません。放射性物質を食べた魚が死ねば、そこに放射性物質は残る。それをまた別の魚が食べるんです」
こう言う水口氏は山に降り注いだ放射能も同じだと語った。
「木の葉っぱに放射能が付着している。その葉が落ちて、腐葉土になる。木は根から再び放射能を吸う。山からも放射性物質はなくなりません。はげ山にして除染するしかないが、そんなことは不可能でしょう。家の周辺だけ除染するしかない。我々は放射能が減らないことを認識しながら生きていかなければいけません」
自然はもう戻ってこないのだ。
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