http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/832.html
Tweet |
福島第一原発事故で東電幹部等を刑事告発する動きがあるが、それは正しくない。
東電幹部や保安院院長などを、業務上過失致死傷罪や公害犯罪処罰法などで刑事告発、告訴する動きがある。福島原発告訴団( http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/ )への参加を促すもので、入会申込書や福島第一原発事故により被曝等の障害を負わせたことに関し、業務上の注意義務を怠り、本件事故を発生・拡大させた関係者を業務上過失致死傷罪で告訴、告発する件での弁護士への委任状、そして、陳述書を書くことと、会費1000円の振り込みを求めるものだ。しかし、この動きは正しくない。理由はつぎのとおり。
1.事実関係がまだほとんどはっきりしていない。特に地震の影響がはっきりしていない。事実関係を明確に知りえる立場にある人間達に刑事責任を問うことは、彼らに積極的に事実を隠ぺいしていいとさせることになる。刑事裁判では自らに不利なことは合法的に黙秘ができるからだ。
2.地震の影響があったかどうかは簡単にわかる。つまり、監視カメラの映像を確認すればいいのだ。東電やIAEAの監視カメラが一つの原子炉建屋に数十個つけられていたはずで、その映像を確認すればいい。ところが、一切監視カメラのことが話題にならない。こういう状況で、刑事責任を問うといっても、今話題になっている東電および政府の事故対応のまずさと津波への備えができなかったなどのことしか責任を問えない。そもそも、どんなことについて責任を問うということを明示しないで、広く世間から告発人・告訴人を参加費用をとって募ること自体がおかしい。
3.津波の備えをしなかったことや事故対応のまずさを告発しても、これは福島第一原発事故に固有なことだから、結局ほかの原発の再稼働に道を開くことになる。しかし、今最も避けなければいけないことは次の原発事故だ。なぜなら、福島第一原発事故は地震によって起こった可能性が大変に高く、311の大地震が起こった今、日本各地でマグニチュード6以上の地震が頻発する時期に入りつつあるからだ。
4.福島第一原発事故はいろいろな意味で通常の事故、事件とは異なる。それは、原子力発電所という高度な技術の集積された場所で、放射能漏れという一般市民にはその検証がほとんどできない形の事故が起きたからだ。ある建物の中で騒ぎがあったとして、それで死者が出たとしても、だからすぐに業務上過失致死で告発ができるものではない。誰かがその死亡した人を刀で刺したのか、または、たまたま落ちてきた荷物か何かで頭を打ったのか、または、人違いで誰かがその人を殴ったのか、または、人々がもみ合っている中でたまたまその人が頭を打って亡くなったのか、それがはっきりしなければ告発などできはしない。まして、IAEAという国際機関の監視カメラが付いていることが分かっていて、それがまったく公開されていない状態で、刑事告発しても、地震の影響について調べることができるはずがない。今の隠ぺいは、日本政府だけでなく、国際的な権力によって行われているからだ。こんな状況で告訴告発しても、却って、より事実隠ぺいへの道を開くことになり、福島第一原発事故の真の原因の追究が困難になり、結果的にほかの原発の再稼働を促すことになる。
5.航空機事故など、事故原因を一般人が検証できないものについては、そして、関係者が故意に事故を起こしたとは言えないものについては、刑事責任を追及しないで事故原因を確認することが経験上必要な次善の策として世界的に確立している。
少なくとも、責任追及する事実をきちんと明らかにしてから告訴告発人を募集するべきだと思う。こんなあいまいな状況で、そして、多少でも事故原因について考えている人なら監視カメラ映像が隠ぺいされていると気が付くはずなのに、そのことを告発理由に挙げないで告訴告発人を募るのは、却って事故原因の究明を困難にするものだ。その結果は全国各地の原発の再稼働へつながってしまう。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1160>>TC:37963,BC:8773,PC:?、 Mc:?
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素27掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。