http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/727.html
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誰が原発再稼働を判断するか。
昨年の福島第一原発事故を受けて停止中の原子炉の再稼働をだれが判断するかで政府と規制委員会がもめている。互いに相手が決めることだと言い合っているのだ。
規制委員会委員長の田中氏は原発の安全性を判断するだけで「再稼働判断は事業者か国にしていただく」と主張しているし、政府側は「安全性が確認されたら重要電源として活用する」(藤村修官房長官)として規制委員会に判断を丸投げしているのだ。
では、法律はどうなっているのか。
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/0620seiritsu/yoko.pdfに規制委員会設置法要綱がある。
この第29条 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部改正 の 三 には次のように記されている。
「許可済みの発電用原子炉施設の位置、構造又は設備が最新の知見を踏まえた許可基準に適合していないと認めるとき等において、発電用原子炉設置者に対し発電用原子炉施設の使用の停止、改造又は修理等を命ずることができることとすること。」
上の文章だけを見ると、「使用の停止」とあるのだから、再稼働の判断も同様に規制委員会が判断するように読める。しかし、「再稼働」という表現ではない。更に、そもそも、上の文章には主語がない。つまり、だれが「命じる」のかは書かれていない。「規制に関する法律」だから、当然規制委員会の規制だと読むはずだが、ともかく、主語がない文章であるのは変わらない。
この法律には更に問題がある。それは、原発を動かした場合の利益とリスクを総合的に判断するという視点が全く抜け落ちていることだ。原発事故と言っても、その過酷さは何段階もある。どういった形で、そういったリスク評価をするかも決まっていない。管理棟の出入り口のドアが故障したからとって原子炉を止める必要はないだろうが、原子炉のモニター系のどこかが故障したとき、原子炉を止めるかどうかは結構微妙な判断になるだろう。そして、こういった判断の究極的なものが、地震に対する安全性判断だ。
地震被害がどの程度のものになるかはほとんど分かっていない。そもそも、直下型の大きな地震が原発を直撃したことは世界で一例もない。更に、原発のある地盤や地震の起こり方など様々な条件で被害の様相は異なってしまう。つまり、分かっていないことばかりなのだ。だから、もし、そういった状態で安全かどうかを判断するのなら、分かっていないことは全て危険だとみなすとか、分かっていない場合は、今までの中で最も過酷な地震を将来の最大リスクと仮定するとか、そういった方針が決まっていなければいけない。ところが、そういった方針がなんら設置法には規定されていない様子なのだ。
普通なら、一定規模以上の原発事故リスクが少しでもあればあらゆる経済的な利益を無視することができる、または、原発事故リスクを避けるためにはあらゆる経済的要素を無視しなければいけないというような文言が規正法には含まれていなければならなかった。
しかし、そういった文言は故意に外されたのだと思う。なぜなら、すでに原子炉が50基以上造られていて、それらを一気に廃止することになれば、その影響は数十兆円程度の経済的な負担増となるからだ。しかも、事故が起こるかどうかは一応は決まっているわけではない。原子炉直下の地震がいつ起こるか分からないし、ひょっとしたらあと30年、または、100年起こらないかもしれないからだ。
つまり、意図的に、政治家と規制委員会が責任を押し付けあう状況を作ることができるようにこの法律が作られている。いったい誰がこういった仕組みを作ろうとしているのだろうか。
しかし、こういった状況だからこそ、やはり、政治家が再稼働を判断するしかないと思う。原発を動かせという圧力は相当に強いものがあるのだと思う。そういった圧力には、通常の経済的な動機に基づいたものだけではなく、一定の国々の存亡をかけた国家戦略に基づいたものもあるのだろう。そして、そうであればなおさら、そういった性格のある判断は政治家がやるしかない。
そして、近いうちに原発をかなりな大きさの地震が直撃する可能性は高いと思う。つまり、日本民族の存亡がこの判断にはかなりの程度かかっているのだ。
原発を動かす場合の利益とリスクを徹底的に情報公開し、民意を問うこと。それをするのがまず筋だ。しかし、民主党政権はそれをやりたがっていないように見える。それでいて、自ら判断することはしないで規制委員会へ判断を押し付ける。これを卑怯という。
自民党はどう判断しようというのだろうか。それがやはりはっきりしない。
http://www.asahi.com/politics/update/1004/TKY201210040480.html
前原氏「再稼働は規制委が判断」 政府関与を否定
前原誠司国家戦略相は4日、政府が原発再稼働の是非を判断せず、原子力規制委員会が安全だと確認した原発を再稼働させる方針を示した。規制委は「再稼働の判断はしない」と訴えているが、このままでは規制委の安全審査を通った原発は地元の同意があれば自動的に動き出すことになる。
前原氏は朝日新聞などのインタビューに答え、「独立性の高い規制委が安全だと決めたものをまた国で判断するのは論理矛盾。規制委に申し出る事業者は原発を動かしたいのだから、安全が担保されたら再稼働する」と明言した。「各電力会社の中で必要という前提で規制委にはかられるのだから、安全性が確保されれば重要な電源として活用していく」とも述べ、規制委が来年7月までに新しい安全基準をつくった後は再稼働を進めていく考えを示した。
規制委の田中俊一委員長は原発の安全性を判断するだけで「再稼働判断は事業者か国にしていただく」と主張している。だが、野田政権は「安全性が確認されたら重要電源として活用する」(藤村修官房長官)として規制委に判断を丸投げし、再稼働をだれが決めるかが宙に浮いている。(榊原謙)
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1152>>TC:37938,BC:7980,PC:?、 Mc:?
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