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内部告発の受け皿機関もムラ人事のまま 原子力規制委員会 (東京新聞 「こちら特報部」) 
http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/721.html
投稿者 赤かぶ 日時 2012 年 10 月 04 日 21:47:57: igsppGRN/E9PQ
 

内部告発の受け皿機関もムラ人事のまま 原子力規制委員会
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012100402000122.html
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11371171416.html
2012年10月4日 東京新聞 こちら特報部 :大友涼介です。


「原子力施設安全情報申告調査委員会」。長い名称だが、原子力関連での内部告発の受け皿機関だ。有識者会議だが、委員には“原子力ムラ”の住人らが名を連ねる。この組織は、新設された原子力規制委員会の管轄下に入る。だが、委員の変更は当面ないという。看板を掛け替えても、中身は福島原発事故以前と同じなのか。規制行政の先行きを案じさせる。  (小倉貞俊・小坂井文彦記者)


◆原子力規制委傘下の調査委 名ばかり?内部告発の受け皿

「これまで委員にやっていただき、本年度いっぱいはそのまま継続する。新たな委員は次年度に選定し直すことにさせていただきたい」

先月十九日、東京・六本木の新庁舎で開かれた原子力規制委員会(規制委)の第一回会合で、田中俊一委員長は原子力施設安全情報申告調査委員会(調査委)のメンバーの据え置きを提案。残る四人の委員からは異議も出ず、了承された。

この調査委は、どのような組織なのか。目的は原発などの安全に関わる内部告発(申告)が寄せられた場合、指導や助言をすること。第三者委員会で、二〇〇二年、経済産業省原子力安全・保安院の中につくられた。

保安院にはそれ以前にも告発の受け皿はあったものの、同省の職員だけで構成されていたうえ、調査のスピードが遅いといった制度不備から、第三者委員会が新設されたという経緯がある。

今回、保安院が解消されたことで、調査委も規制委の管轄下に移された。告発の調査自体は、事務方である原子力規制庁が担うことになる。

従来、調査委の活動が活発だったのかと振り返ると、答えは疑問だ。〇二年から今年九月までに調査委が処理した件数は四十九件。そのうち、申告情報の事実確認ができたのが二十二件で、保安院が行政処分に踏み切ったのはわずか一件だ。

これは福島原発事故後の昨年十二月、九州電力玄海原発4号機の配管をめぐる検査漏れで、同社に厳重注意をしたというケース。他には不適切としながらも「法令違反には当たらない」と判断された例もあった。

そうした”消極性”はメンバーの人選と無関係ではないだろう。

現在の委員は慶応大商学部教授(国際経済システム論)の和気洋子委員長を筆頭に弁護士など九人だが、「原子力ムラ」の住人が三人はいる。

そのうちの一人は、関村直人東大大学院教授(原子力工学)。福島原発事故発生時の連日のテレビ出演でお馴染みだ。

「(福島第一原発の)1号機が爆発したのでは」という一報には「爆破弁を作動させた可能性がある」とコメントした。

経産省が昨年二月、同1号機が設計寿命(四十年)を超えて十年間の運転継続を認可した際、「審査基準に適合」と判断した総合資源エネルギー調査会のワーキンググループ主査も務めた。

茨城県の原子力安全対策委員だった一〇年度には、原発プラントメーカーの三菱重工業などから約四千二百万円の資金提供を受けていた。

◆どうなる国会の事後同意 信頼回復ほど遠く

東大大学院の大橋弘忠教授(システム量子工学)もメンバーだ。元東京電力社員で、原子力委員会の新大綱策定会議委員などを歴任した。

九電が〇五年十二月に開いた”やらせ討論会”に参加した際には「格納容器が壊れることは考えられない」「プルトニウムを飲んでもすぐに排出される。なにも怖いことはない」などと”迷言”を連発した。この後、九電玄海原発はプルトニウム混合燃料を使用した。

規制委の田中委員長が会長を務めた財団法人・高度情報科学技術研究機構(旧原子力データセンター)の石島清見理事もメンバーの一人だ。石島氏は高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する独立行政法人・日本原子力研究開発機構安全研究センター長だった。

いわば、原子力推進論者たちが内部告発の受け皿役の一部を担ってきた。近く新たに二人を加えた十一人体制にする見通しというが、大半を占めるメンバーの居残りと「本当の信頼を回復を回復する」(田中委員長)こととは、矛盾しそうにみえる。

居残りの理由について規制委事務局の担当者は「新組織に移行する混乱の中でメンバーをがらっと変えるのでなく、これまでの仕組みを熟知されている方を残した方がよいため」と説明する。

しかし、法政大学法学部の五十嵐敬喜教授(立法学)は「委員会や審議会では、人選こそが最重要の課題だ。看板を付け替えても中身が変わらなければ、従来の政策や運用にとどまる恐れは大きい」と指摘する。

「規制機関が経産省から独立したとはいえ、スタッフの官僚は横滑りしており、不安はある。ましてや委員がそのままの内部告発の受け皿機関に十分な役割を果たせるのか。疑問は拭えない」

◆原発担当相も消極的

今月中には臨時国会が開かれる見通しだが、国会同意が必要なのに「緊急事態」を理由に、首相権限で任命された原子力規制委員会の委員人事問題はどうなるのか。

内閣改造で原発事故担当相に就いた長浜博行氏は、記者会見で「早く国会を解散しろという状況で、人事問題を議論する時間があるのか」と後ろ向きの姿勢をみせた。

しかし、連立を組む国民新党の事務局は「国会にかけるべきだ」と主張する。自民党の政務調査会は「政府が同意を求めてくるのが筋。そうでない場合、どの程度、どう対応を取るかは不明」と回答。公明、社民、みんな、たちあがれ日本、新党きづなは「今後の対応は未定」とし、国民の生活が第一の事務局は「党所属の議員の多くがこのままでいいのか、と言っている」と答えた。

共産党国会対策室は「原発推進が前提の田中委員長の人事は撤回するべきだ」。新党大地・真民主は「スルーできない」。新党日本は「政府はベストの人選と言うのだから、同意を求めるのが当然です」と皮肉った。

超党派議連「原発ゼロの会」に参加する公明党の加藤修一参院議員は「国会軽視もはなはだしい」と憤る。「野田首相は昨年末、冷温停止状態で事故の収束を宣言した。緊急事態と言い訳するのは矛盾するのでは」

同会に所属する民主党の近藤昭一衆院議員は「本来は通常国会でやるべきだった。事後同意は必要。野党から追及されると、国民の反発を招くと思う」と懸念する。

同じく民主党の初鹿明博衆院議員は「党内でも人事の内容自体に反対する議員が多かった。国会の原発事故調査委員会で委員長を務めた黒川清氏らを委員にすればよいのに」と語っている。

※デスクメモ 「不十分でも福島事故の前よりは謙虚になったはず」と原発推進派の姿勢をみる人は少なくない。だが、逆の可能性も考えておくべきだ。つまり「あれほどの過酷事故でも、この程度の補償と手直しで済む」という悪しき前例が作られるという危険だ。関心が薄れつつある現在こそ、正念場といえる。(牧デスク)


 

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