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原爆製造で129万人もの被害者を出していた中国
四川大地震で大規模な放射能漏れの恐れ、観光客も被曝か
2012年09月27日(Thu) 倉田 英世
中国で四川大地震が発生した2008年5月の時点から早くも4年が経過した。地震発生から3カ月後8月13日の朝日新聞に「心も家も遠い再生」という記事が載った。そして一般民衆の生活基盤の復興については、断片的な資料が記事になった。
しかし、中国人民のDNAを考えると住民地域復興が本格化されるのは遠い先か、無視されるのではないかと懸念された。
そこで筆者が捉え得た情報を基に、中国の核開発の中心地である四川省に発生した地震によって大きな被害が発生している可能性、予想される被害の実態などについて述べる。
人命よりも重視されている核兵器関連施設の被害復旧対策を確認したいし、それら核施設修復を国民の救護より優先している政権の態度と、その実態を明らかにしたい。
1.地震被害復旧の現況
中国指導部の会議では、即座に核兵器施設爆発と放射能および水質汚染防止の応急対策を決定したとして、環境保護部副部長の李幹傑氏が、「環監局核安全司の関係人員と、核安全・汚染防止対策関連の専門家からなる21人の環境専門家らを率いて地震被災地域に入り、環境応急救援工作を指導している」と述べていた。
環境保護部統一部署の発表によると、「西南、西北環境督察センターと四川核安全監督所の関係者が、直ちに地震で被害の深刻な地域に入り、協力して現地の環境応急工作に当たっている」と述べていた。そして、次に示す緊急通知と称するものが報道された。
(1)環境保護部は、13日、四川、寧夏、甘粛、青海、陝西、山西、重慶、江蘇、湖北、雲南、貴州、西藏などに、関係者を派遣し、
(2)各級環境保護部門は厳密に核施設の環境を監督コントロールし、核と放射能の安全について1つの失敗もないよう確保し、
(3)化学製品工場、危険化学品、汚水処理場など環境に敏感な施設と地域の関連情報を即座に把握し、さらに大きな環境汚染事故とならないよう可能な限り防備し、コントロールせよ。
2.発表情報と実態の差異
世界各国からの災害支援状況を紹介する際、日本を先頭に持ってきたり、「北京、上海、台湾も揺れた」と、地震伝播範囲の広大さをアピールしたりした。
震源地が、チベット人やモンゴル人が多く住む西方内陸部であったことから、被災地の状況を紹介する際に、「チベットとモンゴルは漢代から歴史的に中国の地である」と付け加えて述べるという手の込んだ対応もした。
しかし、外国からの支援に対して、例えば日本の緊急援助隊の受け入れに時間をかけ、実態への対処が微妙な災害現地に入らせなかった。そのため生存者救出のチャンスをつぶしたうえに、早々に帰国させるなどの操作が行われた。
過去に中国が、新彊ウイグル自治区で実施した核実験による被害で、同自治区のウイグル人など19万人が急死していたという。
そのほか、急性放射線障害などの甚大な被害を受けた被害者は、129万人に達したともいう調査結果が札幌医科大学の高田純教授(核防護学)によってまとめられている。
放射線の被害は、過去シルクロード周辺を訪れた日本人観光客27万人にも及んでいる恐れがある。しかし日本は、この問題を国内で発表していないし、中国に要請して調査もしていない。
教授は、2002年8月以降この事実を2009年6月号の月刊誌『正論』掲載の「中国共産党が放置するシルクロード核ハザードの恐怖」と題する論文で明らかにした。
核実験による爆発では、楼蘭遺跡の近くで実施された3発のメガトン級の核爆発で、高エネルギーのガンマ線やベータ線、アルファ線などを放射する「核の死の砂(フォールアウト)」が大量に発生した。
ソ連の実験場付近であることから、被害は両国ともこの地域付近に集中している。
上空に舞い、風下に流れたフォールアウトは、「東京都の136倍」に相当する広範囲に降り、その影響で周辺に居住するウイグル人らの死亡者は19万人に上った。
甚大な健康被害を伴う急性原爆症は129万人、そのうち死産や奇形などの胎児への影響が3万5000人以上、白血病が3700人以上、甲状腺癌は1万3000人以上に達する。
中国の核実験における核防護策がずさんで、被災したウイグル人に対する十分な医療的なケアも施されず、129万人のうちの多くが死亡したと見られている。
この3発の実験によるだけで、広島に投下された原爆被害の4倍を超える規模だという。高田教授は、「他の地域でこれまで起きた核災害の研究結果と現実の被害はほぼ合致している。今回もほぼ実態を反映していると考えており、人道的にもこれほどひどい例はない。
しかも現在日本では、福島第一原子力発電所の放射能被害が、東京都にも及んでいるような政府の扱いを是とした風評がある。
しかし筆者は、これは四川省地震による放射能が、偏西風に乗って東京付近にも降下した影響の残骸だと考える。日本人は真実を解き明かす目を持ち、将来を見つめていかねばならない。
3.核兵器開発の実態
(1)核開発着手時の意気込み
2008年大地震があった四川省周辺は、毛沢東の指導により核兵器関連の研究・開発、製造、貯蔵のなど多くの施設を内陸地域の、しかも「地下に集中建設されている中心地域」である。
しかし中国は、核兵器関連施設の建設に先立って大断層の存在を調査していたか否かは不明だが、四川省の核施設地域は、大活断層地帯の上であることで大被害を被った。
しかも一部が公開されている陰で、四川省を中心に軍事機密である核兵器関連施設が集中して建設され稼働していることは秘匿されたままである。
リチャード・フィッシャー副所長は、次のように語っている。
「四川省には、中国全土でも最も重要な核弾頭開発や製造の一連の施設がある。省内の綿陽地区には核兵器の開発、特に構造や機能を設計する研究施設がある。廣元地区には、核兵器用プルトニウム製造などの一群の施設がある。この廣元地区の研究所・工場は中国全土で最大のプルトニウム関連施設であり、大地震が起これば大量の放射能漏れの危険性がある」
(2)地震前の中国核兵器の実態
上記のような過程を経て、核兵器および関連する最新兵器を保有するに至った中華人民共和国は、現在国連の常任理事国となり、しかも核5大国(P―5)の1国となった。
中国の核兵器の保有数は、トップシークレットであり、その数は共産党と軍のトップにしか知らされていない。中国が公表しないことから信頼し確信が持てる数字は少ない。
しかし、信頼できる一例として世界的な機関の公表資料を他の核保有国と比較して示すと「第1表:戦術核兵器の数、形式、投射システム等」のように予想されている。
中国が核兵器を保有するに至った経緯を、改めて簡単に振り返っておく。先に述べたように、毛沢東は核兵器の保有に国運を懸けた。
その経緯は、「第2表:中国の核戦力発達の経緯概況」の通りであった。核保有に関する基本的態度をまとめておくと、政治・軍事面では、次の通りだった。
(1)核を外交の切り札として位置づけ、それをバックにして対外関係の向上を図る
(2)核報復能力を維持・確保し、アジアの核大国の地位を確保する
(3)核を保有する唯一の開発途上国として、他の核大国の核独占を打破する
(1)1981年 南アフリカに核兵器開発用の濃縮ウランを輸出
(2)1982年から87年にかけてインドにプルトニウム生産用の重水を売却し、インドの核兵器開発(1974年7月第1回核実験=10〜15キロトン)を促進させた
(3)1983年〜86年にかけてパキスタンに核兵器の設計図、核兵器用ウラニウムおよび水爆用のトリチウムなどを売却
(4)1991年からアルジェリアに対して核兵器開発用と見られる重水炉の建設を資材面で支援
(5)1991年8月シリアに対して射程300キロの核弾頭搭載可能なM−11ミサイルを輸出
1991年10月にイランに対しても、核関連物質を輸出するなど核拡散に貢献してきた。
注:各種資料を総合して表記
4.核兵器中心地、四川省施設の状況
繰り返し述べるが、四川省とその周辺は、1960年代から国防上の最重要秘密地区に指定されている。
その内容は、「第3表:中国の核開発メッカの状況」に示すように、「中国のロスアラモス」と呼ばれる核関連施設の集中地域だった。
これは毛沢東が、当時圧倒的優位にあった米国とソ連から徹底した核攻撃を受けても中国が生き残るために、軍事上の重要基地や施設を沿岸部から内陸部に移すことを目的とした「三線建設」の中心が、四川省であったことによる。
地震直後に、前国家核安全局長で、環境保護部副部長であった李幹傑が、第3表に示す核施設及び軍事施設を訪問したという情報もある。
その一方で、毛沢東の言にもあるように、外から徹底的な核攻撃を受けても生き残らせ反撃の基地とするために、建築に当たって核関係の施設には十二分な強度を持たせた。
そのことによって、大災害は免れていると考えることもできる。もしそうなら、中国の報道のように被害が極めて少ないのかもしれない。いずれにしても、地震の前までは第3表のような実態であった。これらがどこまで修復されつつあるかが問題である。
(1)廣元市北東25キロに中国最大核兵器用Pu239製造原子炉と821工廠があった
(2)綿陽市は、核兵器開発、特に構造設計最重要研究所、実験用小型原子炉が存在
(3)綿陽市の北に、プルトニウムを核弾頭用の小型球体にする特殊工場があった
(4)綿陽市の西に、核弾頭の爆発を補強する素粒子開発に関する特殊の高速度爆発原子炉が存在
(5)綿陽市の北の険しい山岳地帯に核兵器貯蔵の大規模な秘密トンネル網が存在
注:各種資料を総合記述
しかも中国は、その西方に存在する高山岳地帯のチベットに核廃棄物貯蔵施設を建設しているという情報がある。
もしそうであれば、中国はひた隠しにしているが、今回の地震で破壊された核廃棄物施設からの放射能汚染物質が、アジアの下流地域に住む多くの国々の人々の使う水、特に飲料水を汚染し、癌の発生、放射線障害の増大等の重大な被害が発生することを懸念しているのは筆者だけではないはずである。
戦略に長けた中国は、今回の地震による核関連施設の被害が世界的レベルで懸念が示されているので、先手を打って周生賢環境保護相が、ほんの一部の情報を総てであるかのように開示した。
被害の内容は、「地震で32個(5月23日の資料では50個)の放射性物質がガレキの下に埋もれていたがそのうち30個を回収し、残りの2個(5月23日の資料では15個)については回収されていないが場所は特定できている」と発表した。
なぜかと言うと、四川省周辺の核施設は、大断層地帯の地下に埋設設置されている。それらの施設が、今回の地震で次々と誘爆したとも考えられるからである。
山頂に穴が開いて、幅約1キロ、長さ約2キロの巨大な溝ができ、地下から直径20センチから50センチのコンクリートの塊が大量に噴出した、とも報じられている。
5.現況及び将来における中国の核兵器への対応
現在までに入手し得た、中国の核戦力に関する情報(米国の「国策評価研究センター」フィッシャー副所長の情報)および雑誌「選択」の8月号の資料を主体に、筆者のコメントを付けつつ列挙し、皆様の中国の核についての判断の参考に供することとする。
(1)チベット亡命政府情報・国際関係省環境開発部によれば、中国はチベットに核廃棄物の投棄施設を造っている。これに対してチベットは、世界の峰にあるチベットに核廃棄物を投棄し続ければ雪解け水に乗って世界中が放射能に汚染されると危惧している。
(2)2007年7月29日のワシントン・ポストの記事によれば、オーストラリアに亡命した陳用林氏(37)が米議会で、「中国の核兵器の数はトップシークレットで、軍と共産党のトップしか知らされていない。中国の核兵器は、『核子能源公司』、表向きは原子力発電所を建設し運営する会社であるが、ミサイルなどの弾頭に搭載する核兵器も製造している(要旨)」という証言がある。
陳用林氏は、さらに対米戦略として、ケ小平が「実力を隠し、時間を稼ぐ」方針を堅持し、西側諸国、特に米国を想定した核兵器部隊を建設せよ」と指示したと述べている。
(3)さらにフィッシャー氏は、中国の核関連施設は、すべて極秘にされる存在だから、地震被害の実態は重大な機密扱いになる。だから表面に出た情報だけで即断するのは禁物であると述べている。
中国地震局によると、四川大地震の被災地で、8月25日に至ってもマグニチュード6.1の余震があり、四川省広元市でも余震が続き、7月24日には余震で1人が死亡、15人が負傷と報道されている。
その地震だけでも1人が死亡し、300人以上が負傷、7万戸以上の家屋が倒壊したと報道された。大地震の後には、大きな余震が続くのが実態である。
これはその1つについて被害を報じたのだと見ることができる。余震が発生するたびに被害をさらに大きくするのが大地震後の実態である。今回の中国の地震では、余震が数百回に上ったという報道もある。
まとめ
これらが、法輪功系の大紀元時報をはじめとする新聞などが提示する実態である。これを信用するか否かにかかっている。
これらの中から、中国が四川省地震で破壊された核能力再興にかける中国の戦略的活動の一端がうかがえる。
現在、対北朝鮮の核問題に関する6カ国協議が行われているが、議長国である中国は、わざと断続させていると疑える。この組織の進展に関心を集めさせつつ、その陰で本格的に自らの核施設の復興を図っている国があると考えられる。
その国は最近、ICBM及びSLBMの開発と実験に成功したことを誇示した経緯がある。その一方で、尖閣諸島領有の可能性などないことを自覚しつつ、徹底した対日行動に世界の目を向けさせようと連日侵犯行動及びデモを行わせていた。
この間に米国との核戦力の対等を追求し、確実かつ大量に米大陸に送りこみ得る核弾頭保有のため、全力を傾注していると考えられる。
現在の行動は、4000年の歴史の中で育まれてきた中国人の戦略眼が、日本はもとより世界の眼を核能力復活から逸らせようと行ってきている、示威行動だと捉えるべきであろう。
中国はさらに将来、100基に上る原子力発電施設の建設、揚子江、黄河等の河川の改修などに国力を傾注する。
もし将来中国で、原子力事故が起これば、偏西風、日本海流に乗って、大きな被害は主として日本に来る。などなど多くの問題点を提示しているが、日本は気付かないでいる。
いずれにしても我々は、オリンピック後から上海万博後の中国情勢、さらにはGDP=8%以上の発展が必要なのに、4〜5%に落ちると見積もられている中国の現況をつぶさに観察しつつ、それらの事態に的確に備えるために「平成維新」を断行し、対抗できる国家戦略体制を確立していくことが日本に与えられた達成すべき道である。
航空自衛隊は、過去核兵器国の核実験が行われた際には、輸送機を飛ばして放射能調査を実施してきていた。問題としている四川省大地震、東日本大震災の際に、調査を行っていたか否かには口を閉ざしている。
しかし実行されていたと信じたい。いずれにしても日本は、核被曝国として国家の将来をかけ最小限の対核防護能力保持の準備を開始しなければならない。これを怠れば日本の将来は危うい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36170
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