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【原発再稼働の深い闇】宝島社新書より|協力会社エンジニアたちの証言 福島第二の水素爆発疑惑を隠し、柏崎刈羽を再稼働させたい東電―鈴木智彦
http://blog.livedoor.jp/ginzanico/archives/6622602.html
September 21, 2012 銀座ホステスnicoの気まま
今読んでいる本【原発再稼働の深い闇】(2012年9月24日第一刷発行)、ちょっと興味深いので少々抜粋したいと思います。
真相は闇の中、ですが、一応、頭の片隅においておきたい諸事実・・・。
では、以下が抜粋です。
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協力会社エンジニアたちの証言
福島第二の水素爆発疑惑を隠し、柏崎刈羽を再稼働させたい東電
鈴木智彦(フリーライター)
▼現場を駆け巡った福島第二原発「水素爆発」の噂
原発再稼働を巡って国内世論が二分するなか、東京電力福島第二原子力発電所(以下、2F)の復旧作業がひっそりと進められている。2Fは福島県楢葉町にあり、レベル7の甚大な放射能漏れ事故を起こした福島第一原子力発電所(以下、1F)から約10キロメートル、車でおよそ30分の距離にある。
1Fの壊滅的な事故の陰に隠れ、これまでほとんど検証されないままの2Fだが、4基ある原子炉(沸騰水型軽水炉マークU改良型。1Fの5,6号機とほぼ同型)は、震災による津波の被害を受け、一時的とはいえ全電源を喪失した。レベル3というメルトダウン寸前の危機的状況にあったわけで、本来、これはもっと検証されるべき重大事故なのだ。
マスコミがほとんど注目しないからか、東電は態度を留保し続けており、2Fが廃炉となるのか、再稼働するのかさえ、はっきりとは決まっていない。昨年9月、枝野幸男経産相が「運転再開に地元の理解を得られる状況ではない。廃炉は避けられない」との見解を示し、11月には福島県の佐藤雄平知事が「県内すべての原発を廃炉にする」と発表しているが、前者は単なる見解であり、後者はあくまで要望に過ぎず、法的拘束力は皆無で、1Fの5,6号機同様、東電は2Fの今後について明言を避けている。
2F再稼働の可能性は充分にある。
事実、今年6月24日の株主総会直後、東電の新経営陣となった下河邉和彦会長と廣瀬直己社長は、7月4日に1Fと2Fを視察し、あらためて「福島第二原発の今後は未定」との談話を発表した。世論が落ち着くまで方針決定ができないのだろうが、今に至るまで「廃炉」の2文字を口にしない事実が、東電の願望―2Fの再稼働を証明しているといえる。
2Fは果たして本当に再稼働できるのか?
その件に関し、どうしても見逃せないことがある。昨年、筆者が作業員として1Fに潜入取材し、現場勤務を終えた頃、福島で耳にした噂の真偽だ。
「2Fが震災直後に水素爆発していた」
その噂を初めて耳にしたのは、2Fの2号機と4号機を建設・運用している日立が、震災後、放置されたままの2F4号機原子炉建屋内部に入った8月29日直後だった。
「原子炉の上部がありえないほど汚染され、下部が水浸しになっている」(IHIの下請けとなっている福島の協力企業幹部)
調べてみたところ、根の葉も無い噂とは違い、ななりの異常事態がその根底に存在していた。爆発、放射能漏れ、隠蔽・・・三拍子揃ったスキャンダラスな内容だけに、噂はたちまち原発業者間に拡散し、最末端で働く作業員たちにも浸透した。当時、マスコミはもう原発報道に飽きていて、東電の電気料金値上げと原発再稼働にしか興味を示さないような状況だったが、裏がとれればスクープだ。2ヶ月ほど福島の原発業者たちを取材した。
が、原子力工学の専門家や、2Fの原子炉を設計したエンジニアなどに訊いても、東電の公式発表・・・震災後、2Fは速やかに「冷温停止」したという見解をひっくり返すだけの確証は見つからなかった。そのため当時も以後も、2Fの「冷温停止」を疑う者はほとんどいない。福島で働く関連業者たちも同じで、水素爆発説を信じるエンジニアはごくわずかである。
しかし、今回、2F再稼働の可能性を取材したところ、2F水素爆発説はいまだ否定できないものであることが判明した。
▼東電はなぜ曖昧なままにしておくのか
原子力工学は難解で素人が理解するには時間がかかる。そのため専門的な話は最低限にとどめておく。
ネタもとのなかで、いまも2F水素爆発説を支持するエンジニアは6名いた。反面、作業員たちは大半が興味を失っており、「そんなこと、話題にもなりません。2Fはいたって普通の外観だし、水素爆発が起きたなんて、とても信じられないし・・・」(2Fで勤務する協力会社社員)と投げやりだった。
水素爆発説を支持するエンジニアたちの証言を総合すると・・・原子炉上部の放射能汚染は、使用済み燃料プールの水が地震の揺れによって飛び散ったスロッシングという現象のためらしい。そのため、噂の真偽に白黒をつけるなら、原子炉格納容器下部にあるドライウェルやペデスタルという部品などを綿密に検証すればいいという。
肯定派は、それらの部分に「爆発があったとしか思えない痕跡がある」と力説する。
たとえば、ドライウェルという場所に、ありえないほどの水が溜まっており、ペデスタルという格納容器と原子炉建屋の隙間を充填するゴムの部品が破損しているのだから、内部に相当な圧力がかかったはず。これは水素爆発しかない、というのだ。
最も真剣に2F水素爆発説の解説をしてくれたのは、日立系列のエンジニアだった。彼もまた2Fの運用にかかわっており、1Fの事故ではいち早く現場に急行し、大量の被曝をしている。
「再稼働なんてとんでもない話です。2F・・・水素爆発しています。確証があります。爆発にもいろんな種類の規模があって、かなり小さい爆発だとは思いますけど、2001年、浜岡原発(静岡県御前崎市。中部電力)でも同じようなことがあったんです。原子力安全・保安院は、『金属疲労で配管が破断したかもしれない』とお茶を濁していますが、キャリアが長く、知識が豊富なエンジニアたちはみな、浜岡が水素爆発したと思っています。その程度の小規模水素爆発は、2Fが陥った状況で充分起こりうる。(私の前に20枚ほどの写真を広げながら)こうした写真などを根拠に、2Fの原子炉の状況を科学的に検証すれば、水素爆発があったと考えるほうが自然なんです。
2F・・・うちらの会社でも、原子炉の真下の写真や、内部のあちこちを撮影したものなど、手に入るものは全部仕入れてチェックしました。実際、現場もこの目で見ました。やっぱりおかしいんです。一例を挙げれば、ドライウェルの中に大量の蒸気が流れ出た、つまり原子炉が地震によって壊れたとしか思えない痕跡があるんですよ。爆発によってCRD(臨界を止めるための制御棒)が落下したとか、計装の配管が壊れたか、そんな事象が起きたんだと思います。そのため格納容器内の水蒸気が漏れたんじゃないか、と。
そう考える理由の一つは、たとえばボルトのサビです。ありえない場所のボルトがありえないほどサビている。津波で原子炉が停止し、わずか1年半しか経っていないのに、どう考えたってそこまでサビない。こんな原子炉、怖くて使えません。新しい原発を作ったほうがよっぽど安全でコストも安い」
実際、彼が見せてくれた写真には、あちこちにサビたボルトが写っていた。これらのボルトはすべて交換されており、その後、2Fのある福島楢葉町議員や、国会議員の視察が行われ、記者クラブメディアが同行取材したのだという。外部の視察の際には、水素爆発を裏付ける証拠は完全に隠蔽されていた。東電らしいやり口というしかない。
詳細に調べれば、水素爆発がなかったことを証明できるのに、2Fの原子炉はどれも綿密なチェックを受けていない。各地の原発再稼働を控え、東電は2Fの状況を曖昧なままにしておきたいのだろう。
▼エンジニアたちに箝口令が敷かれている
前出の日立系エンジニアは、憤慨した様子でこう語る。
「東電やメーカーは、建屋内部の除染など、肉体的にしんどくてかなりの被曝をする作業は下請けの作業員にやらせます。でも調査に関しては、ごく一部の人間にしかさせない。そのうえ箝口令を敷いています。だから私たちに正確な情報が伝わってこないんです。
東電やプラントメーカーは、水素爆発をしていたかどうか、その結果を知っていると思います。だぶん、水素爆発している可能性が高いと判断したから、他のエンジニアを原子炉内部に入れないんでしょう。メーカーの人間が数人入って、現場検証を行って、それで終わりだから推論になるんですけど、東電の態度や作業のやり方を見ていると、やっぱり水素爆発してたんじゃないかと思えてくる。怪しいです。とにかくおかしい。
昨年末、東芝さんが建設・運用している建屋のドライウェル・・・原子炉の下部が開放され、内部点検が実施されました。社員エンジニアの他、一握りの外注業者さんも入ったみたいです。でも、線量の測定や原子炉の外観の状況確認といった大事な作業は、やっぱり東芝のエンジニアだけがさらっとやった。その後、原子炉建屋は閉鎖されたままで、手つかずです。たぶん東芝は、2Fの原子炉が健全だという既成事実を作るため、いやいや外部の人間を中に入れたんじゃないかと思っています。逆効果ですよね。かえって怪しい。
うちら日立の側には、もうちょっと動きがあります。いろんな人たちに原子炉建屋の内部を視察してもらったから、除染も終わったし、ぱっと見は元通りになってる。年内には核燃料の移動を開始し、4号機を総点検することになっています。東芝系列の人たちには申し訳ないけれど、うちらは作業が先に進んでいるわけです。
話は変わりますが、今後の2Fのことについても、東電はおかしなことを言うんです。電力の担当者が『4号機の総点検が終わった段階で、残りの1,2,3号機も問題ないだろうと判断する』と説明する。4号機がオッケーなら、他の原子炉すべてが健全だという東電の判断は狂っています。2Fは東芝さんが1号機と3号機、うちらが2号機と4号機をやっているわけですが、プラントメーカーも別だし、それぞれ原子炉はまったく違う状態なのに、なぜそんな結論になるのか理解できません。ともかく、なんの問題も無いなら、業者に内部を開放し、どんどん情報を出せばいい。でも東電もメーカーも2Fの情報は言わず、ずっと口をつぐんでいる。不可解です。」
日立系のエンジニアが力説するように、東電は2Fの水素爆発を否定しながら、実際に調査した数少ないプラントメーカーのエンジニアたちに箝口令を敷いている。2Fの健全性を科学的に証明しようとせず、のらりくらりと協力業者たちの要望をはぐらかす。証言者たちが水素爆発説を信じ、「東電はおかしい」と憤るのは無理もない話なのだ。今も2Fに作業員を派遣している協力企業の幹部も、東電に対する不信感を募らせている。
「東電に金がないとはいっても、それなりの予算が2Fについています。1日200〜300人は2Fで作業しているはずです。うちは10人程度の作業員を派遣しています。全面マスクも不要で簡単な装備で作業できるから、ずいぶん楽みたいです。やっているのは、建屋の壁の穴を塞いだり・・・主に津波対策です。工賃は安くて、単価が1万5000円くらいだから、会社の儲けはほとんどないです。うちの作業員に聞いても、東電は何も教えてくれないし、プラントメーカーもだんまりみたいです。
東電の社員はけっこうな人数が2Fに入ってます。みな別人のように腰が低く丁寧です。そんな電力の人たちを見て、かわいそうだな、という気持ちもあります。反面、殿様商売を続け、協力企業に威張り散らしてきたんだから、ざまあみろ、と思うときもある。複雑な心境です。1Fも2Fも復旧現場はみんなバラバラで一枚岩になんてなれっこない。
不信感の理由・・・それはやっぱり、今も昔も肝心な情報を教えてくれないことです。こんな状態になって表面上は低姿勢でも、そこだけは変わっていない。それで東電を信じるなんて無理です。たとえ福島の現地採用の人であっても信用できない。東電の社員の言うことは嘘と思っておけば間違いない」
あらゆる側面から再取材しても、2Fはひどく不可解な状況に置かれている。
▼地震で2Fに放射能漏れが起こったとすれば全国の原発再稼働が困難に
とどのつまり2Fは再稼働するのか?それとも廃炉か?2Fで働く現場監督やエンジニアたちに訊くと「いまさら動かせるわけがない」という声が多い。
機械を動かさずに放置しておけば、どんどん部品が劣化する。原発という巨大装置ならなおさらである。2Fの原子炉内部に溜まったままの冷却水は”死に水”と呼ばれているという。循環しないままの水が腐敗し、あちこちの配管を劣化されていくからだ。
福島県の他、東電管内にある他見の原発メンテナンスも受注している協力企業幹部がこう説明する。
「2Fはかなりやばい状態だったんです。4号機なんて絶対に再稼働できないほどむごいです。再稼働ができる状態まで復旧させ、その後、再稼働するか廃炉にするかわかりませんが、東電のやり方では金も時間も余計にかかるだけ」
かといって、そう簡単に廃炉にもできない。
一般的な原発の廃炉には、原子炉1基あたり、300〜500億円の費用がかかると見込まれている。それぞれの原発では、耐用年数を越えた際の廃炉費用が積み立てられているが、設計が古くトラブル続きだった1Fや2Fでは、積立金がほとんど貯まっていない。仮に東電管内の全原発を廃炉にするとなれば、およそ4000億円不足するといわれる。1Fの事故終息さえおぼつかず、原発事故被害者への賠償金さえろくに払えない東電に、その費用は用意できない。とくに2Fは、今後修復作業を始めれば、ギリギリで復旧できる可能性があるだけに、東電はいつまでたっても決断ができない。
「事故調査委員会の報告でも、1Fは、あくまで津波が大事故の原因とされている。しかし、さほど大きな津波の被害を受けなかった2Fまで水素爆発していたとなれば、深刻な放射能漏れを引き起こした原因は地震だったということになる。こうなると防波堤などの津波対策だけでは、充分な再発防止策にはならない。それぞれの原子炉を根本的に見直す必要がある。でも、それには膨大な費用がかかります。ただでさえ1Fの廃炉費用に莫大な金がいるのに、根本的見直しが必要となれば、さらに発電コストが上がる。原発で作った電気が割高だということを、東電自ら証明してしまうことになる。だから2Fのことは調べず、情報を出さずに放置する。再稼働をもくろむ東電にはそれがベストの選択です」(同)
東電の下請けとして働く協力企業によれば、東電はまず柏崎刈羽原子力発電所を再稼働させたいと熱望しているという。極めて危ない2Fには最低限の延命処置だけ施したまま放置し、まずは柏崎を再稼働させる。その後、2Fの保守点検を本格化させ、世論の動向をみながら再稼働か廃炉かを決定する。
煮え切らない東電の態度は、現場の士気をどんどん下げている。たとえば原発作業員の質の低下は、大きな問題となっている。
「作業も下手だし、時間もかかる。それは仕方ない。だけど治安が・・・なんて言ったら大袈裟ですけど、盗難が頻発してるんです。着替所で財布が盗まれるなんてことは日常茶飯事。作業員の多くは、Jヴィレッジに車を停め、会社のバスやトラック、ワンボックスカーやバンなどで現場に向かうんだけど、車に戻るとガラスを割られ、コンポやカーナビが盗まれている。先日はタイヤを盗られて途方に暮れていた作業員がいました。
一番困るのは放射能の表面汚染を測定するサーベイ・メーターが頻繁に盗まれることです。1Fからも2Fからも、これまであったサーベイはほとんど盗まれました。40万円ほどする高価なものだし、一般人にも欲しがっている人は多いから、知り合いを通じて売買してるんでしょう。いままでならこんなことなかった。でもマスコミは、もう原発事故のことなど見向きもしない」(同)
2012年7月、『朝日新聞』がビルドアップ社による悪質な線量のごまかし事案を報道した際も、後追い報道はほとんどなかった。
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原発再稼動の深い闇 (宝島社新書)
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