http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/448.html
Tweet |
「賠償少なく、移住できない」 福島被災民の憤怒
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012091902000119.html
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11359105482.html
2012/09/19(東京新聞「こちら特報部」) :平和ボケの産物の大友涼介です。
人事案の国会同意を無視した原子力規制委員会が今日、発足する。初代委員長の田中俊一氏は福島原発事故に伴う原子力損害賠償紛争審査会の席上で、東京電力の賠償軽減につながる発言を繰り返してきた。その賠償について、事故の被災住民たちは「遅く、安い」と異口同音に嘆く。移住して生活再建を望む当然の権利は、不十分な賠償により踏みにじられている。 (上田千秋・林啓太記者)
◆東電低額賠償に怒り
「福島では今も多くの人がつらい思いをさせられている。そんな状況に追い込んだ張本人である東電が、なぜ勝手に賠償金額を決めるのか」
福島県富岡町の住人ら四百五十人が避難生活を送る同県大玉村の仮設住宅。四畳半二間の自宅で、山田久夫さん(64)は怒りをぶちまけた。
建築業を営んでいた山田さんは福島原発事故発生直後、姉がいた栃木県佐野市に避難した。その後、昨年七月から妻(60)と仮設住宅で暮らす。
富岡町は全域が同原発二十キロ圏内の警戒区域に入る。山田さんは「富岡に戻るのに五年も六年も待っていたら、七十歳になってしまう。早く別の場所に家を買って新生活を始めたい」と話す。
しかし、東電が提示した賠償基準はその当然の願いと隔たっている。
仮設に近い住宅地で一軒家を買おうとすると、二千五百万〜三千万円は必要だ。しかも家を探している被災者が多く、住宅の価格はじわじわと上昇しているという。
山田さんの自宅は、五年以上帰宅できない帰還困難区域に編入されそうな地点にある。約百平方メートルの敷地に一九八九年築の二階建てだが、基準を基に計算すると賠償額は一千万円ほどという。
事故までは自宅には長男(29)が一緒に住み、双葉町在住の長女(34)も三人の孫を連れてしょっちゅう遊びに来ていた。今は佐野市に一緒に避難した長男と長女の夫は同市で仕事を見つけたため、離れ離れの暮らしだ。
「一番は元の生活に戻ること。でも、それが無理なら、せめて別の場所で安心して再出発できるだけの賠償が欲しい」
賠償を当てにして、県外にマンションを購入してしまった人もいる。
富岡町に自宅があり、事故当時、東京都大田区に単身赴任中だった男性会社員(56)は今年七月、同区に中古マンションを購入した。一千万円を用意し、残る四千万円は二十年ローンを組んだ。
「富岡に戻りたいとは思っているけど、いつになるかはわからない。家賃が高い東京で借家に住み続けるのなら、いっそのこと買ってしまおうと考えた」
しかし、当てが外れた。富岡町の自宅は、数年間は戻れない居住制限区域に再編されそうという。約三百十平方メートルの敷地に九三年築の二階建て。賠償を二千万円以上と踏んでいたが、基準で試算すると、一千万円弱にしかなりそうにない。
男性は「友人と会えなくなったり、土の匂いのしない知らない狭い家に住むストレスもある。事故がなければこんな思いをする必要はなかったのだから、購入費を全額賄えるぐらいの賠償をすべきではないのか」と憤りを隠さない。
◆原発事故は公害
福島原発事故での不動産への賠償は、避難前に暮らしていた自治体が@帰還困難区域A居住制限区域B避難指示解除準備区域、の三つに再編してあることが前提だ。
区域によって賠償額が異なるためだが、富岡町の場合、「除染などを考えると、事故発生から六年間は町に帰れそうにない。全域、帰還困難区域の基準で賠償するべきだ」(同町総務課)と主張。国との調整が進まず、再編は済んでいない。
これに対し、同町から避難し、大玉村の仮設住宅に住む佐々木賢一郎さん(72)は「一日も早く人生設計を立て直したいという若い人もいる。まずは再編を受け入れてはどうか。東電の賠償額が足りないと思う人は、それから個別に交渉していけばいい」と語る。
こうした言葉に共感する人たちはいる。狭く慣れない仮設住宅での一年半に及ぶ暮らしに、疲労を訴える高齢者らは少なくない。ただ、同時に賠償を安く抑えられるだけでは、という不安を抱く人たちも少なくない。
復興庁によると、福島県内外に避難中の同県民は津波や地震が原因の人を含めて約十六万人。東電は事故で避難した人を対象に休業補償の他、精神的損害に一人月十〜十二万円(妊婦らを除く自主避難者には一括八万円)を支払っている。
一方、不動産に関する賠償について、東電は固定資産税の課税標準額などを基に、事故直前の実勢価格に近い額を提示しているという。
ただ、原発直下の同県浜通り地方の地価はもともと安く、建物も五十〜六十年と手を入れながら大切に住み続けている人が少なくない。実勢価格で評価されれば、いくらにもならないというケースは避けられない。
しかも、帰還困難区域と比べ、居住制限、避難指示解除準備の両区域の賠償は当然軽くなる。売るにも売れる見込みは薄く、自主避難者に至っては賠償の対象外だ。
被害者の支援を続けている七つの弁護団は今月三日、新生活を営める賠償にするべきだとして、不動産賠償に関する基本方針を発表した。
弁護団が提示した「標準賠償価格」は、東電が示した基準の三〜四倍に当たる約三千六百万円。昨年度の住宅金融支援機構の「土地付き注文住宅取得費の全国平均額」からはじき出した。
日本弁護士連合会の原子力プロジェクトチーム事務局長を務める秋元理匡弁護士は「三千六百万円あれば、足りない分は他の賠償金などでもカバーできる。原発ADR(原子力損害賠償紛争解決センター)や裁判などで東電に請求する際に、この金額をベースにしていきたい」と強調する。
福島原発事故では地域全体が被害を受け、生活基盤そのものが失われた。「以前と同程度の住宅を同じ地域で探そうとしても不可能なのだから、別の場所で新築の家を買うのは当然だ」と秋元弁護士。「東電は車の物損事故と同じように見なしているかもしれないが、今回の原発事故は公害。見舞金程度の金額で泣き寝入りさせようとする論理は通用しない」
ただ、東電広報部は「別の場所でも住宅を再取得できるよう考慮した適正なやり方(基準)」という姿勢を崩さない。
家族四人で、大玉村の仮設に住む男性(31)はこう憤った。「東電は原発は安全だと繰り返し言ってきた。しかし、事故が起きた。地元には戻れない状況をつくり出した責任は取ってもらいたい」
※デスクメモ 福島の知人がこう話した。「放射能が怖いのは見えず、臭わず、”直ちに健康に影響がない”ことだ」。知識として危険を知っていても、避難生活の辛さから逃れたい。汚染区域でも帰還してしまおうかと迷うという。不十分な賠償が背を押す。東電と政府はそれを待っている。罪に罪を重ねるのだ。(牧デスク)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素27掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。