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時事寸評 福島の子供の甲状腺ガンをどう考えるか?
http://takedanet.com/2012/09/post_d32f.html
平成24年9月12日 武田邦彦(中部大学)
福島の子供に甲状腺ガンが見つかり、また検査した子供の100人に36人が甲状腺に異常が見つかり、多くの方が心配しています。これに対して福島の医者団は「チェルノブイリの時に小児甲状腺ガンの発祥は4年目からだから該当しない」とコメントしています。これをどのように考えるべきでしょうか?
まず、かなりの被曝をしたのですから、子供の甲状腺の異常が見られ、ガンも発症すると考えるのが「普通」で、「大丈夫だ」というような科学的な根拠はありません。
また、医師が「事故から1年半だから、甲状腺ガンの発症は考えられない」というからにのは、次の事を説明しなければなりません。
1) チェルノブイリという1回だけの経験によると、明らかに事故の影響とみられる甲状腺ガンは4年目からですが、その前から甲状腺ガンは見られています。
2) どの甲状腺ガンが被曝によるのかは分からないために、「被曝による甲状腺ガン」というのは、「統計的に被曝前から明らかに増えてきた時点」からのもので、その前の甲状腺ガンが被曝かどうかは分かっていないので、医師はウソをついたと考えられます。
3) いずれにしても被曝によって障害が出る可能性は否定できないので、できるだけ被曝を避けるようにしてください。
これでこそ医師です。
被曝によってガン、生殖異常、免疫疾患などがでることは確かで、それは個人差があり、また統計的(誰にでるか分からないし、出ない人も多い)ということです。おおよそは「法規の基準以内なら交通事故より多くなり、法規の基準以上なら交通事故より危険になる」という感覚で良いと思います。
国際的、あるいは国内で「1年1ミリシーベルト」を決めるときには「もともと被曝は有害だが、原発からの電気をもらうためには仕方が無いので、我慢する」という「我慢の限界値」という考え方です。決して、無害とかそのような概念ではありません。
・・・・・・・・・
今回のことで、お子さんを持つ親御さんは福島の方を含めて、「断固として子供の被爆を減らす。できるだけのことをして何も起こらなかったら、それはそれで良いとする」という信念をもってください。福島の人はあきらめているように見えますが、子供は大人を信頼しています。
また、親御さんは今度のことを受けて、驚くことはなく、このようになる可能性があったことですから、そのまま注意を続けてください.注意をした親のお子さんはそれだけ安全です。精神を強くもって頑張ってください。私たちができることはそれだけです。
マスコミも「事故の2日目に自分たちは逃げて、福島の人には安全だと言った」という罪を償う機会ですから、事実を詳細に報じ、解説陣はどんどん被曝を避ける方法を解説してください。日本の子供は日本の親が守るものです。
もう一つ、甲状腺に異常のある36%の子供達の検査は2年後ということになっていますが、親御さんとしては心配です。1年後に検査をして欲しいと希望する子供は検査すべきです。
「インフォームドコンセント」と言われて10年以上が経ちますが、病気に立ち向かうには医学だけではなく、患者さんと一体となった納得性も要ります。その点で、この「2年後」と決めた医師は実に古いタイプというか、威張っている、患者さんを人間と思っていないという感じです。
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