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原発ゼロ方針:政府・財界、深まる溝…米倉氏戦略会議欠席
http://mainichi.jp/select/news/20120919k0000m020067000c.html
毎日新聞 2012年09月18日 21時13分(最終更新 09月18日 22時37分)
経団連の米倉弘昌会長が18日、国家戦略会議への出席をボイコットしたのは、政府が30年代の原発ゼロ方針を閣議決定した場合、「国内産業の空洞化が加速し雇用の維持が困難になる」との危機感を内外に訴えるためだ。米倉会長は戦略会議にぶつける形で経済同友会の長谷川閑史代表幹事、日本商工会議所の岡村正会頭と緊急記者会見を開き、財界の総意として政府に再考を迫ったが、政府は19日にも原発ゼロを閣議決定する方針で、両者の溝は深まるばかりだ。
「(原発政策は)本来なら国家戦略会議で議論すべき問題。(戦略会議には)報告するだけというのではとてもじゃないが納得できない」。米倉会長は18日の会見で、戦略会議欠席の理由を語気を強めて語った。
財界3団体は電気料金の大幅上昇や電力供給不足への懸念から、原発ゼロに反対してきた。米倉会長は過去の戦略会議で原発ゼロへの異論を表明。しかし政府は、エネルギー政策論議の場を政治家と官僚で構成するエネルギー・環境会議に設定。戦略会議を議論の場とせず、財界の意見を受け入れなかった。
経団連関係者が「民主党は目先の選挙で頭がいっぱい。エネルギーという国家の根幹すら人気取りの材料としている」と語るように、財界における政権への信頼は失墜。民主党政権に比較的近いとされる同友会の長谷川代表幹事も会見で「(原発ゼロは)早急に見直すべきだ」と訴えた。
最近では自民党総裁選に立候補した町村信孝衆院議員が経団連幹部を秘密裏に訪ねるなど、自民党の経団連詣でが活発化している。「我々を敵視する民主党に義理立てするより政権交代に備えた方が生産的」(総合電機幹部)との声は財界内でも強まりつつある。
しかし、国民の多くが原発に不安を抱き、脱原発を支持する以上、「(政権として最も重みのある意思決定手段となる)閣議決定をされてしまうと、自民党政権がその後誕生したところで簡単にはひっくり返せない」(財界幹部)。米倉会長の戦略会議欠席は閣議決定前に「財界としてできる最後の抵抗手段」(金融機関首脳)だったともいえる。【宮島寛、和田憲二】
◇国家戦略会議◇
中長期的な経済財政運営の政策課題を議論する政府の会議。野田政権の重要政策の「司令塔」として、民主党政権で乱立していた政府の会議を統合して昨年10月に発足した。メンバーは議長の野田佳彦首相と関係閣僚、日銀総裁のほか、米倉弘昌経団連会長や長谷川閑史経済同友会代表幹事ら民間議員も加わる。7月には20年度までの成長戦略を盛り込んだ「日本再生戦略」をまとめた。「革新的エネルギー・環境戦略」を決定したエネルギー・環境会議は、戦略会議の下に位置付けられている。戦略会議は閣議決定に基づく会議だが法的な裏付けがなく、法的権限があった自民党政権の経済財政諮問会議と異なり、政策決定過程で存在感を示せていないのが実情だ。
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