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阿修羅でもおなじみのアーニー・ガンダーセン氏だが、今年始めに出版された彼の著書
「福島第一原発 - 真相と展望」(岡崎玲子訳・集英社新書)に略歴が書かれていたので紹介する。
1949年生まれ。
レンセラー工科大学に入学、奨学金を受け原子力部門を首席で卒業。
大学の実験炉では、沸騰水型原子炉で気泡がどのような影響を与えるのか計算する
コンピューター・プログラムを検討。これは福島第一でも使われていた。
卒業後は、原発を運転する会社に就職、その後、原発を購入する電力会社に転職。
その次の会社では副社長として70もの原発で働く社員を監督。
GE、ウエスチングハウス、バブコック&ウィルコックスなどの会社の設計を検討。
空港で待たなくても、これらの会社が用意する自家用機で全米を飛びまわれたとのこと。
スリーマイル島の事故ではテレビに出演し、自宅から持ってきた圧力鍋を使って安全性を強調。
原子力の技術畑でずっと働いてきたが、1990年に放射性物質の管理に関する内部告発を
行なったことをきっかけに転機が訪れる。
期待に反して原子力規制委員会(NRC)は動いてくれず、議会へ訴えると民主党は協力してくれたものの、
共和党は彼から得た資料を会社側へ渡した。
表向きは公聴会では彼の指摘が正しいことが認められたが、議会と連絡を取ったことに対して
150万ドルの名誉棄損訴訟を起こされた。民主党議員が彼を援護してくれた。
NRCは波風を立てたくなかったので監察を誤魔化したばかりか、彼の雇用主がNRCの監督官を
買収していたことも発覚。NRCは賄賂を受け取って監察の手を抜いていたのだ。
内部告発者を保護する制度は整備されているものの、実質的には原子力業界では
二度と働くことはできない。
奥様のマギーさんとは原子力業界で知り合い結婚したが、解雇されてからは彼女が一家を支えた。
彼は職を探すのに苦労したが、原子力の独立コンサルティング業務に加えて教職にもついた。
マギーさんは大学に戻ってパラリーガルの資格を取得。
パラリーガル業務と専門家としての意見を提供するフェアウィンズ・アソシエイツを2003年に設立、現在に至る。
以上だが、本書には、原発の模型を使って説明する若き日の写真も掲載されている。
40年前の彼はビル・ゲイツ氏に似ていなくもない。
貴重な情報がいろいろ書かれており、一読をおすすめする。
原発が盛んに建設されていた70年代に一線で活躍していた氏が原発に詳しいのは当然で、
詳細は設計会社に丸投げの東電技術者とは比較にならない。
その彼が4号機プールは危険だと言っていることを、政府・東電は厳粛に受け止めるべきだろう。
彼は反原発運動をしたわけではなく、規制・規則に従うべきだと告発しただけだ。
だが正しい指摘であっても、利益に反する人間は容赦なく追放してしまう。これが原子力ムラである。
日立バブコック・元原子力圧力容器設計者の田中三彦氏もそうだが、
こういった人たちが業界を追放された後、反原発側にまわり手強い批判者となるのだから皮肉なものだ。
原子力ムラは自ら強敵を産み出しているのだ。実に愚かなことである。
ガンダーセン氏のような頭脳明晰で良識のある人間の忠告・警告を素直に受け入れていれば、
原発ももう少し安全になっていただろう。
氏は口には出さないものの、福島の事故に関してはかなり心を痛め責任を感じているようで、
貴重な資料やデータ、意見を無償で提供してくれており、来日もしている。
奥様のマギーさんとのビデオを見て、単なる夫婦ではない、とても苦しい中を助け合ってきたのではないか
と感じたが、やはりその通りであった。
今後も、フェアウィンズ・アソシエイツの発信する情報はいち早く日本に紹介するとともに、
わずかではあるが財政的支援も続けたいと思う。
本書を読んで思ったのは、原子力ムラは人間を選別する”ふるい”だということだ。
正直で正義感のある人、良心、良識のある人間はどんどんふるい落とされていく。
小出氏のようにすぐに原発の欺瞞に気づき自ら去る人。
ガンダーセン氏のように原発推進の立場にありながら内部告発をきっかけに追い出される人。
後藤政志氏のように定年まで勤めたものの3/11事故後に批判を始める人。
人それぞれだ。
こうしてまともな人たちがすべて去った後、最後まで"ふるい"に残った石コロ。
これは選りすぐりのクズ、クズの中のクズである。
子孫が障害者になってもいいから原発を誘致してカネを儲けたい、
福島県人をだまして犠牲にし、被曝データを取りたい、
原発が活断層の真上にあっても稼動させたい、
などと平気で考える始末に負えない極悪人どもである。
全原発を廃炉にするためには、こういった悪魔のような連中たちを相手に
戦っていかなければならないことを、我々はよく肝に銘じるべきだろう。
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