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「40年廃炉」適用時、稼働可能な原発数
クローズアップ2012:「2030年代原発ゼロ」目標 世論圧力で明文化
http://mainichi.jp/opinion/news/20120907ddm003010130000c.html
毎日新聞 2012年09月07日 東京朝刊
民主党が6日、「2030年代の原発稼働ゼロ」方針を決めたことで、政府が週明けに決定するエネルギー・環境戦略にも「原発ゼロ」が盛り込まれる見通しになった。「脱原発依存」を求める世論が大勢を占めていることなどから「原発ゼロ」の明文化を迫る党内勢力が押し切った。しかし、その実現には国民生活への影響や再生可能エネルギーの普及などの課題がある。【鈴木美穂、久田宏、宮島寛】
◇民主、迫る選挙見据え
6日の民主党エネルギー・環境調査会の役員会は紛糾し、議論は3時間近くに及んだ。この日示された原案に「30年に稼働している原発は20基」と記されていたためだ。
原発の運転期間を40年に制限する仕組みを適用すれば、30年の時点で稼働可能な原発は20基になる計算で、脱原発派は「これでは単に事実を書いただけだ」などと猛反発。一方、原発維持派も「ゼロは現実的ではない」などと批判し、議論は平行線をたどった。
議論が始まってから2時間以上たったところで、前原誠司政調会長、同調査会の仙谷由人事務総長ら4人が別室で協議に入った。「30年代の原発稼働ゼロ」との修正案を提示し、ようやく拍手で了承された。
原発の40年運転制限と、原発を新設・増設しないという原則を適用すると、39年時点で稼働している原発は5基になる。民主党議員は「実質的に、原発依存ではやっていけなくなる。30年代の原発稼働ゼロは現実的な記述だ」と強調した。
調査会終了後、前原氏は野田佳彦首相に電話を入れると、首相は「よくまとまっている」と語り、調査会の結論を尊重する意向を示した。
一方、より先鋭的な「25年に原発ゼロ」の達成を主張してきた菅直人前首相は、調査会終了後に開いた自身のグループ会合で「最終案について了とも可とも言わなかった。『黙ることにしよう』と思った」と説明し、不満をにじませた。
同党が「30年代の原発稼働ゼロ」を提言に盛り込んだ背景には、原発ゼロを求める声の高まりがある。
政府が全国11カ所で開いた国民向けの意見聴取会では、出席希望者の約7割が30年の原発ゼロを支持した。首相官邸前では、原発の再稼働に反対したり、脱原発を求める抗議行動が続いている。次期衆院選が近いとの観測が広まり、党内には「原発依存では選挙はとても戦えない」との危機感が広がっていた。
前原氏は6日の記者会見で「この問題を議論するにあたり、私は原発ゼロにしたいと思っている。できれば30年代より早くしたいと思っているが、いくつかの点を留意しないといけない」と述べ、課題を認めつつも、実現を目指す考えを強調した。
◇工程表なく実現不透明
民主党がまとめた「2030年代の原発ゼロ」目標達成までの道のりは、平たんではない。
4日開かれた政府の「エネルギー・環境会議」では、枝野幸男経済産業相が「原発ゼロを打ち出すと現在停止している原発の立地自治体の理解を得られず、原発を再稼働できなくなる恐れがある」と指摘したばかり。政府は電力需給を安定させるため、順次、原発の再稼働を模索しているが、その方針と矛盾する将来の原発ゼロ方針を打ち出せば地元自治体に不信感が広がりかねない。
使用済み核燃料を青森県内の再処理工場で処理し、再び核燃料として使う国策の核燃料サイクルも、提言は「一から見直すべきだ」と現行の全量再処理の修正を求めた。核燃料サイクルをめぐっては、青森県と事業会社の日本原燃が「再処理の実施が困難になれば、使用済み核燃料を各地の原発に返還する」との覚書を締結しており、今後、国と青森県との折衝は難航を極めそうだ。
国民生活に身近な電気料金も、提言は「引き上げられる可能性は否定できない」と今後の値上げを示唆した。政府は30年の原発ゼロで電気料金が10年比で最大約2倍に上昇すると試算しているが、提言では経済の再生による所得向上や家庭の省エネ・節電への政府の支援で負担を軽減するとした。長引くデフレで所得増は難しく、省エネにも限界があり、家計にしわ寄せが及びかねないのが現実だ。
電気料金の値上げは企業活動にも影響を及ぼす。提言は「政策的に強力な支援を行う」と明記したが、電気料金の高止まりは、企業の海外移転に拍車をかけかねず、国内の雇用に与える影響も懸念される。
「原発ゼロ」実現は風力や波力、太陽光など再生可能エネルギーの実用化と低コスト化も不可欠となるが、具体策は示されていない。
課題は多岐にわたり、原発ゼロの目標実現には強い政治的なリーダーシップが必要だ。しかし、総選挙後の政権がこの方針を継続する保証はなく、明確な工程表を示さない限り、目標は絵に描いた餅になりかねない。
◇シェールガスに期待
原発ゼロ実現の鍵を握るのは、国民の節電意識の高まりと「シェールガス革命」だ。
福島第1原発事故以降、節電意識が全国的に浸透。計画停電の危機が叫ばれた今夏も大飯原発2基だけの再稼働で乗り切った。米国のシェールガス革命を機に、数年後には天然ガスを従来より大幅に安く調達できる可能性もある。国民生活への悪影響を抑えつつ原発ゼロを実現するには一層の節電浸透や火力燃料の安値調達にどこまで踏み込めるかが重要になりそうだ。
今夏、関西電力管内では7〜8月、10年夏比約11%のピーク需要減を実現。政府が掲げた「10%以上」の節電目標を乗り越えた。関西圏は震災直後の深刻な電力不足を経験しておらず「節電が浸透するか未知数」(関電幹部)だったが、家庭の多くがエアコン利用を控え、企業も休日振り替え操業などに応じた。
また米国では00年代半ば以降、岩盤の隙間(すきま)に潜むシェールガスの採掘技術が確立された結果、天然ガス価格が急低下。日本企業もシェールガス輸入に向けた交渉を進めており、輸入が実現すれば「火力発電コストを大幅に引き下げられる」(大手商社)とみられている。
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