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9月5日【内容起こし】小出裕章氏:民主党の『2050年台前半に原発ゼロを実現』政策の意味、六ケ所村の再処理で進む『ガラス固化』試験について@たね蒔きジャーナル
http://bochibochi-ikoka.doorblog.jp/archives/3544322.html
2012年09月05日23:37 ぼちぼちいこか。。。
20120905 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】
(上田氏)今日は毎日新聞専門編集委員の近藤かつしげさんと聞いていきます。
まずなんですけれども、昨日のニュースで民主党のエネルギー環境調査会というところが原発ゼロを実現というのを2050年台の前半というふうにしまして、更にこれを前倒しするために2015年、3年後に具体策を示すという案をまとめたんですけれども、まずこの『2050年台前半に原発ゼロを実現』というのを聞いてどういうふうに思われますか?
(小出氏)なんでそういう話が出てくるのか、私にはさっぱり判りませんでした。
もともと民主党が作っている政府が2030年にゼロにするのか15にするのか25にするのかとそういう質問をして国民から意見を集めたのですね。それで2030年にゼロにするという声が多かったというわけなので、せっかく意見を聞いたなら、それに合うようにするのが政治の役割だと私は思いましたけれども、2030ではなくて今度20年も後の2050だと言いだしたのですね。
一体どういうことを考えてる人たちなのかなと私は思いました。
(上田氏)例えば40年廃炉の規定を厳しく適応していくとこれになるんじゃないかというような考えもあるんですが、その辺りはどうですかね?
(小出氏)もちろん今2010年なわけで、40年で絶対ダメというなら2010年にできた者も駄目になるわけですね。そんなこというなら遥か前にダメにできるわけですし、40年で廃炉にするというならですね、もっともっと計画を前倒しするような案を作るべきだと私は思います。
(上田氏)そして、今度2050年代前半をもう少し前倒しするんだったらという具体策は、2015年・・・3年後に出すというような話が一緒についてきてるんですけど、これはどうですか?
(小出氏)まぁ・・・なんとも期待ができないなぁというのが私の印象です。次から次へと廃炉の期限を延ばしてですね、なんとか原子力を延命させたいという思惑が透けて見えるように思います。
(上田氏)あの、この『3年間』っていうのは、原発を止めていくために何かアイデアを出そうとすると、これだけの期間が必要なんですか?
(小出氏)私は原子力発電所は、2030年にゼロでもなくて、即刻ゼロにしなさいと求めてきたわけであって、原子力発電所をゼロにすることは、今現在でもすぐに可能です。
「今年の夏を乗り切るのに、原子力発電所が無いと停電だぞ」
と言って、政府は脅かしてきたわけですけれども、全く問題もないまま乗り切れたことが既に証明されています。野田さんは「国民の生活を守る」とかいう言い方で大飯の再稼働を認めたわけですけれども、全くのウソ偽りだったことが証明されてしまいました。
何よりもまずは原子力を再稼働させるということは止めて、それならどうすべきなのかということを今の時点から考えるべきだと私は思います。
(上田氏)はい。その辺り、どうしてこういうことになったのかという理由に、野田総理が示したところに『原発ゼロの課題』というのがいくつか挙げられているんですけども、例えば「この使用済核燃料をどう扱っていくのかというのが原発ゼロにするためには課題として挙がってくる」というふうになっているんですが、これが遠い先に原発ゼロになってしまう理由にはなりますか?
(小出氏)もちろんならないです。原子力発電などを進めてしまえば、使用済の燃料が出るということはもう当初から判っていたのです。どうにもならないということも判っていたわけなのに、それを何か「いつかなんとかできるだろう」といって、これまでやり続けてしまったのが現在なのです。もちろん、これから続けたところで使用済燃料の問題が解決できませんし、即刻原発をやめたとしても使用済燃料の問題が解決できるわけでもないのです。
しかし、やればやるだけ重荷が増えてきますので、まずは止めるという選択をするのが賢明だと思います。
(上田氏)はい。そして、「(原発を)止めると他に火力発電などの燃料費が掛かってきます。それが3.1兆円に達して国民負担が増えます」というようなことを説明しているんですが、これはどうですか?
(小出氏)これまで原発を50数基も作ってきたしまったがために、一体何十兆円ものお金を捨ててきたのでしょうか。「安全だ、安全だ」と言いながら、結局は福島の事故も起きてしまいましたし、使用済の燃料は「いつかなんとかなる」と言いながら、結局何もできないまま今日があるのです。その上、火力発電はやればもちろん燃料は要りますけれど、原子力をやったってウランを買わなければいけないのです。トータルに本当にどういう選択が良いのかということを考えなければいけないのですけれども、それを全くやってこなかった政治の人たちが新たにまた国民に対して脅しをかけているということだと思います。
(上田氏)はい。それともう一つ、これは少し別のニュースなんですけれども、『ガラス固化』という言葉があります。使用済核燃料再処理工場でこういった試験をやっていて、この試験が順調だったということで、安定運転、性能確認を実施していくというような記事が出ている新聞があるんですが、この『ガラス固化』というのはどういうことなんですか?
(小出氏)原子力発電をやってしまいますと、膨大な核分裂生成物を含んだ使用済燃料が出てきてしまいます。それを今どうしていいか、世界中が困っているのですが、今これまで有力な方法として考えられてきたのが、使用済の燃料の中からプルトニウムだけを分離して、核分裂生成物はガラスというものに固めるのが一番良いのではないかと思われてきました。
そのため日本でも六ケ所村の再処理工場で、使用済の燃料から分離した核分裂生成物をガラスと混ぜてなんとか固めようという試験が行われてきました。しかし、その試験がやればやるだけ失敗をしてきまして、何年もの時間をつぶしてきてしまいました。その挙句に、またガラス固化をなんとかしようとして先日から試験が始まってきて、第1段階はなんとかやったと言っているのですけれども、第2段階になって私はまた失敗するだろうと思います。
(上田氏)これは第何段階くらいまでいかなきゃいけないものなんですか?
(小出氏)まずは操業を始めるまでに第2段階までは必ず行かなければいけませんけれども、六ケ所村の再処理工場に作ったガラス固化施設もAという炉とBという炉があって、Aでは第1段階をなんとか抜けて第2段階になったら失敗してしまいました。今Bで第1段階を抜けたと言ってるわけですけれども、同じことをやるわけですから、どうせまた第2段階で失敗すると思います。
(上田氏)あー、じゃあこれ、実験が順調だったというのは、あまり・・・
(小出氏)全く意味の無いことを言っています。
(上田氏)そうですか・・・。近藤さん、聞いてどうですか?
(近藤氏)うーん、「意味の無いこと」っていうことでいうと、もんじゅの話だって、要するに既得権者がいるからまだぐじゃぐじゃ言うてるんだろうけど、恐らくもう原子力発電より遥かに技術を要するお手上げの状態じゃないかと思うんですよね、先生?
(小出氏)はい。私もそう思います。
(近藤氏)恐らく。そうすると、いろんな放射性廃棄物の処理を巡ってでも、僕はやっぱりそのこと自体問題あるわけですけど、地震ということで考えた時に、いくら地中に埋めたって、この国はそういう危険を常に持つわけでしょ?
(小出氏)おっしゃるとおりです。
(近藤氏)放射性廃棄物の使用済の核燃料プールもいずれは満杯になるわけですよね?
(小出氏)そうですね。もうほとんど満杯にどこもなっている。
(近藤氏)なってくるわけですよね。そのことを考えたら、要するに技術としてどうにもならないことをやろうとしてるという無謀さに早く気が付かないと、なんか・・・ね、経済だの政治だのなんだの言ってたって、もうとんでもない領域に手を付けたんだという反省が早くないと、ぐじゃぐじゃしたごまかしの議論が続くような気がしてならんのですがね。
(小出氏)そうですね。これまで、事故だって起きないと言ってきたのに、今福島第一原子力発電所の事故が事実として起きてしまっているわけですから、本当に反省をしてほしいと思うのですけれども、原子力村と呼ばれてきた人たちは誰も反省もしないし、誰も責任をとらないという、どうもそういう組織のようなのです。
(上田氏)ありがとうございます。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】
【参考記事】
原発ゼロ社会目指す 民主のエネ政策提言案
共同通信(2012年9月 4日)
新たなエネルギー・環境戦略をめぐり、民主党エネルギー・環境調査会がまとめた政府への提言案が4日、明らかになった。「原発ゼロ社会を目指す」と目標を明記し、原発の新増設をせず、運転期間を40年に限る規制を厳格に適用するなどして、原発ゼロを「可能な限り早期に実現すべきだ」とした。
核燃料サイクル政策を全面的に見直し、使用済み核燃料を地中に廃棄する直接処分を実施。燃料を管理し最終処分も担う専門機関「原子力バックエンド機構(仮称)」を国が主体となって創設することも求めた。
脱原発の時期をめぐっては党内で意見の隔たりが残るため、6日の取りまとめを目指して文案を調整する。決定した提言は政府に示し、将来の原発政策を盛り込んだエネルギー・環境戦略に反映させることを狙う。
提言では、40年運転ルールの適用で2050年代前半には原発がゼロになるとしたうえで「国民がより早い時期に原発に依存しない社会を望んでいることは明らか」として、実現時期を前倒しする姿勢を示した。
今後3年間は、原発ゼロに向けた「スタートダッシュ期間」として重点的に政策を実施。15年に経済への影響などを検証して、脱原発に向けたより具体的な方策を提示するとしている。
http://www.kyodonews.jp/feature/news05/2012/09/post-6624.html
原発ゼロ「50年代前半」 民主、結論は15年に先送り
朝日新聞社 2012年9月4日18時28分
民主党のエネルギー・環境調査会(会長・前原誠司政調会長)は4日、「原発ゼロ」実現を2050年代前半とし、さらに前倒しするため、15年に具体策を示すとした素案をまとめた。事実上、結論を3年間先送りする。一方、野田政権は同日、「原発ゼロの課題」をまとめた。政権は党の提言を踏まえ、来週にも新しいエネルギー政策を決める。
民主党調査会の素案は、「原発ゼロ社会を目ざして」と題し、原発ゼロを実現する前提でまとめた。
「40年廃炉」の規定を厳しく適用する、停止中の原発は原子力規制委員会の安全確認を得たものだけ再稼働する、新増設をしない――という3原則を明記。これで50年代前半に原発ゼロが実現する。さらに前倒しを目指して15年にその後の目標を定める。そのため、今後3年間を再生可能エネルギー導入や省エネルギー推進の「スタートダッシュ期間」と位置づけている。
http://www.asahi.com/politics/update/0904/TKY201209040239.html?tr=pc
A系炉も事前確認終了/再処理
東奥日報 2012年8月31日
日本原燃は31日、六ケ所再処理工場のガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)製造試験について、25日から進めてきたA系統ガラス溶融炉の事前確認試験を終えたと発表した。9月上旬の終了を見込んでいたが「計画していた全項目の確認が終わった」(原燃)と判断、想定より早く終了した。もう一つのB系炉は6月18日から7月27日まで試験を実施済み。二つの炉で事前確認試験が終了したことで、今後はガラス固化体製造の安定運転や性能を確認する本格的な試験に入る。
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2012/20120831233506.asp
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