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「仮の町」待ち受ける難問の数々 いわき市からの報告
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9月1日 東京新聞「こちら特報部」 :「日々担々」資料ブログ
福島原発事故で避難中の住民が集団移住する「仮の町」構想の検討が本格化してきた。八月二十八日には、福島県双葉郡八町村の首長といわき市の渡辺敬夫市長が意見交換した。いわき市は有力候補地で、すでに避難住民が二万人以上暮らしている。ただ、避難長期化とともに、市民との摩擦も漏れ聞こえる。被災住民の不安定な暮らしは原発事故の一断面。事故はまだ収束していない。 (荒井六貴、中山洋子)
いわき市東南部のJR常磐線泉駅近くの仮設住宅には、避難中の富岡町民ら二百二十世帯が入居している。同町は、現在も全域が警戒区域だ。
同町で生まれ育った入居者の一人、中村武文さん(72)は子ども夫婦と孫三人が岡山県に移住。現在は独り暮らしだ。
「放射線量が高く、富岡に戻るのはもう無理。『住んでも大丈夫』と言う学者が住めばいい。仮設住宅はまるで留置場だ。長生きできない」
現在、人口三十三万人のいわき市に、富岡町を含めた双葉郡八町村から約二万三千人が避難している。この状況に一部のいわき市民からは不満の声がくすぶっている。
同市の小名浜港近くに住む運転手の男性(59)は「車の渋滞がひどくなった。避難してきた人は税金を払ってない。こっちは浸水被害が出ても補償はなく、税金を取られているのに」とこぼす。
飲食店の従業員男性(40)は「結婚して賃貸住宅を探したが、仮設として供給しているので物件がない。平日からパチンコ店は、避難住民たちでいっぱいだ」と憤った。
そうした空気に仮設住宅の住人たちも敏感だ。昨年九月から住む堀内則夫さん(69)は「私たちは税金を払わない居候の身。差別されるかもしれないので、スーパーでは避難住民用に配られている割引券は使っていない」と漏らした。
そうした中、仮の町構想が浮上した。避難している自治体が当面、別の自治体に集団移転する構想で、放射能汚染が深刻な浪江、大熊、双葉、富岡の四町が検討中。政府の「福島復興再生基本方針」にも盛り込まれているが、具体的な内容はまだ固まっていない。
感情的なもつれがあっては、どんな構想も絵に描いた餅になる。そこでいわきと双葉郡の住民ら約五百人が立ち上がり、「いわき・ふたば絆の会」が設立された。
八月二十五日に設立総会が市内で開かれた。行政サイドは構想の具体化に踏み込んでいないが、同会は設立総会で泉駅と隣の植田駅の間にあるリゾートゴルフ場に仮の町(約五千戸)を設置する計画を披露した。インフラが整っており、工期も三年と見積もった。
いわき市民で会の事務局長を務める新妻寿一さん(64)は「いわきと双葉郡は、兄弟の付き合いなのにあつれきが生まれてしまった。仲良くやるために一石を投じた。仮設住宅では多くの人が死んでおり、戻れるかも分からない。だから『仮の町』ではなく、いわきで『安住の町』を造っていく。国や東電は三世代百年の生活を保障してほしい。人口増は、いわきにとってもいいことではないか」と意気込んだ。
ただ、仮の町構想の検討を始めている四町の間でも、その中身や期待の程度には差がある。
双葉町は二〇一五年の構想実現を目指してはいるものの、移転候補地を挙げていない。町では「事故で失われた地域のつながりを再生させるため、学校や病院を集中させたい」と強調する。
大熊町では、町民アンケートで七割が「いわき市周辺」を支持。八月下旬の復興計画案では、一五〜一七年ごろまでにいわき市周辺に「町外コミュニティ」を整備することが盛り込まれた。
富岡町はいわき、郡山市の両市に「サテライト拠点」の整備を検討。「生活拠点になるので『仮』という表現には抵抗がある。介護施設などの福祉拠点もつくりたい」
浪江町は八月まとめた復興計画の中間報告で、一四年をめどに県内三カ所を検討。町民の多くはいわき市や南相馬市を希望する。「災害公営住宅を造り、学校や病院などは相手先の施設を利用させてもらい、足りなくなる部分を補う」
独立志向の強い自治体もあれば、「居候」の立場を強く意識する自治体もある。避難住民は現在、避難先の行政サービスを受けている。しかし、仮の町ができた後は町独自の学校を回復したい自治体もあれば、その逆を望む自治体もある。
そうした違いはともあれ、具体化への道は決して平たんではない。
例えば、公営住宅を新設するにも、上下水道などインフラ整備の財源や管理を誰が担うのかも判然とはしていない。
なにより、現在、政府が求めている汚染物質の中間貯蔵施設が造られれば、仮の町の「仮」の文字が飛びかねない。
これまで未検討だった葛尾村も「除染が終われば帰還できると考えていたが、線量の高さに住民の不安は大きい」(職員)と含みを持たせた。
浪江町復興推進課の担当者はこう訴えた。
「場所の確保も自治体間の調整も、国が前面に出てやってほしい。被災者にとって、事故はまだ何も終わっていない」
<デスクメモ> 政府の試算では、五年後も福島原発事故の被災住民のうち、約二万七千五百人が故郷に帰還できない。その大半が不十分な賠償により、移住すらままならない。まさに棄民状態である。そんな状況をおっぽり出し、永田町は「維新」の看板をめぐり、血道をあげている。フクシマからノロシは上がるか。(牧)
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