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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012082902000117.html
2012年8月29日 朝刊
政府の節電要請から今月二十六日まで八週間の関西電力管内の電力需給実績がまとまった。最大需要は大阪市の日中最高気温が三六・七度に達した三日午後二時台の二千六百八十一万キロワット。記録的猛暑だった二〇一〇年夏並みの暑さを想定した八月の需要予測(二千九百八十七万キロワット)を10%下回った。
関電は七月、夏場の電力不足を理由に大飯原発3、4号機(福井県おおい町、いずれも出力百十八万キロワット)を再稼働させたが、広報室の担当者は本紙の取材に「節電効果があり、現時点では原発がなくても供給力は維持できた」と話している。
本紙は節電要請が始まった七月二日以降、二週間ごとに関電管内の電力需給を調べ、大飯原発再稼働の妥当性を検証してきた。今回は八月十三日以降の二週間を新たに加えた。
それによると、お盆から八月中下旬にかけての十三〜二十六日、最大需要の更新はなかった。二十七、二十八の両日も二千五百万キロワット台で推移している。
関電は原発を除く発電能力を公表していないが本紙の独自調査で少なくとも二千八万キロワットあることが分かっている。これに、中部電力の融通電力など七百四十二万キロワットを加えると、供給力は計二千七百五十万キロワットで、大飯原発3、4号機の再稼働がなくても今月三日のピーク需要時でもぎりぎりカバーできた計算になる。
関電によると三日の供給態勢は大飯二基をフル稼働する一方、需給調整を理由に相生火力1号機(兵庫県相生市、出力三十八万キロワット)を休止していたという。
大飯原発3、4号機のフル稼働とそれに伴う揚水発電の増加を加えた潜在的供給力は少なくとも三千百八十二万キロワット。ピーク需要時ですら原発四基分に相当する五百万キロワットの余力があったことになる。
◆再稼働根拠崩れる 関電供給力維持
世論の反対を押し切り、政府や関西電力が進めた大飯原発3、4号機の再稼働の根拠が揺らいできた。関電は、今夏のこれまでの電力需給実績を基に「原発がなくても供給力は維持できた」と認めた。専門家は昨年三月の福島第一原発事故で広がった「節電の社会的な動きを見誤った」と指摘、過大な需要見通しを批判している。
関電は五月、原発ゼロで今夏を迎えた場合、15%の電力不足に陥ると試算、「計画停電は避けられない」とした。これを受け、野田佳彦首相は「国民生活を守るため」として、大飯3、4号機の再稼働を容認した。
ところが電力需要のピークは、猛暑だった二〇一〇年夏のピークに比べ10%も低下。計算上、原発なしでも供給力の方が上回った。
関電は九月以降について「残暑で電力需要が高まり、大飯を足しても供給力不足になる可能性が残っている」と説明。しかし、大阪管区気象台の予報によると、関西地方の九月の気温は平年よりやや高くなる見込みだが「その年の最高気温を更新することはめったにない」と話す。関電管内で過去十年間、九月に最大需要を記録したのは〇三年の一度だけしかない。
関電の試算では、今月十七日時点で管内の節電効果は一〇年夏比で11%に達し、目標の10%を上回る。
大阪府と大阪市でつくるエネルギー戦略会議座長の植田和弘京都大大学院教授(環境経済学)は「大飯の再稼働がなければ、市民の危機意識が高まり、節電効果はもっと上がったはず。他社からの電力融通を含めれば、原発なしでこの夏を乗り切れた可能性はかなり高い」と指摘。「政府は夏場の電力不足を理由に再稼働させたのなら、夏が終わったらすぐに原発を停止させるべきだ」と話す。
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