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8月22日【内容起こし】小出裕章氏:野田首相の『脱原発』の意味、討論型世論調査と政権の有力案、アイナメから2万5800ベクレルについて@たね蒔きジャーナル
http://bochibochi-ikoka.doorblog.jp/archives/3530258.html
2012年08月23日00:51 ぼちぼちいこか。。。
20120822 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】
(水野氏)東京には近藤さんです。
今日はまずですね、毎週金曜日に総理官邸前で抗議行動を呼びかけて、脱原発を求めている市民団体のメンバーと野田総理が面会したという、この辺りから伺いたいと思います。
小出さん、この両者の発言を詳しく見ていきますと、根本的に違うのは、市民団体メンバーの方は「できるだけ早く、一刻も早く原発を止めるべきだ」というふうに主張しているんですが、野田総理はですね、「中長期的には脱原発の体制を作っていく」という、この時間軸が全く違うように思うんです。
科学者として、この両者の言い分を小出先生はどう判断なさいますか?
(小出氏)はい。すみませんが、私は政治には全く期待をしていないと当初から皆さんにお伝えしてきたと思いますし、野田さんにも全く期待をしていません。野田さんが原発をやめるなんて選択は、彼には全くないと私は思います。
(水野氏)それはどういう・・・野田さんの発言から、そのように読み取りはったんでしょう?
(小出氏)彼が大飯原発の再稼働を容認した張本人です。未だに福島第一原子力発電所の事故を引き起こした責任の追及もほとんどしていないと私には見えます。
原子力村は未だに無傷で生き残っているわけですし、東京電力だって株価がゼロになったわけではありませんし、会長、社長、重役ほか、未だに十分豊かに生活をしていると思います。
福島の被災者の方々の生活と比べれば、なんでこの人たちがぬくぬくと生きてるのかなと私は思いますけれども、それを許してきた人たちが今の政権の中央にいるわけですし、野田さんがその主犯だと私は思います。
(水野氏)しかしながら、今日は野田さんはですね、
「再稼働にあたっては、これまでの知見、対策を踏まえた上での安全性を確認した上で、国民生活の必要性を合わせて総合的に判断して再稼働した」
とおっしゃってるんですね。
(小出氏)そうですね。
(水野氏)「安全性は確認した」ということを繰り返しおっしゃっております。
(小出氏)はい。愚かなことですね。原子力発電所の安全性など確認できる道理がないのです。福島事故の原因すら判っていない。収束をどうやってできるかもまだよく判らないという状況なのであって、原子力発電所の安全性を確認できる道理が無いのです。
それなのに、彼は「安全性を確認した」と言って大飯原子力発電所の再開を容認したのです。
(水野氏)はい。あの、この野田総理の考え方についてですけれども、ずっと討論型世論調査というのがございました。
これは2030年までに原発依存を何パーセントにするかっていうのを三つの選択肢から選んでくださいということでしたよね。ゼロにするかとか、15%とか、三つの選択肢がありましたけれども、ゼロにするという方が多いというのは事実で、それでどうなったかというとですね、政府の中で今いわれているのは、「『2030年代前半』で原発ゼロ実現を目指す」案が有力だという情報が出てきました。
えーっと<苦笑>、討論の中では「2030年まで」にゼロかどうなのかだったはずなんですが、今有力なのは「2030年代前半で」って・・・なんかもうこの時間軸がまた変わってるんですよ。
(小出氏)すいません、私ものを言う気が起きません。
私は即刻ゼロにしなければいけないと言ってきたわけですし、2030年にゼロなんて、その選択自身が私には無いのですけれども、政治をやってる方々は、もう初めから私のような希望を叶えてくれるような方は全然居ないのだなと、むしろ思いました。
(水野氏)野田さんはですね、こうも言ってらっしゃって、
「将来、原発依存度をゼロにする場合には、どんな課題があるか議論を深める際に必要だ。だから課題を整理して、どうしたら克服できるか検討するように」
と閣僚に指示したそうです。
『課題』って、原発をゼロにする課題っていうのは、どんなものがあると考えられるんですか?
(小出氏)電力供給という意味でいえば、即刻ゼロにできます。いついかなる時も原発など必要ありません。今年の夏だって、政府は「原発を無くしたらば停電になるぞ」といって脅かしたわけですけれども、そんなことは全くもともとは無いのであって、政府がずっとウソをついてきたのです。
ただ、停電になるかどうかということ以外にも、もちろん課題はいっぱいあります。
原発をやめればもちろん火力発電所を当面は使わなければいけないわけですから、火力発電所の燃料代がかかるであるとか、老朽化力を動かさなければいけなくなりますので、そのための費用が必要であるとかいうことは起きると思います。でも、そんなことは原発をこれからも抱えていくということに比べれば、本当の些末なことだと思いますので、私たちが覚悟をしなければいけないと私は思います。
(水野氏)つまり電気料金が値上がりするだろうということはあるかもしれないが、
(小出氏)短期的にはあります。ただし、長期的にいうならば、原子力が一番高い電源だったわけですから、一刻も早くやめたほうが長期的にいえば助かります。
(水野氏)うーん。
近藤さん?このあたりいかがですかね?
(近藤氏)僕は野田さん、ご承知のとおり消費増税を三党合意でやったわけで、次の総選挙、脱原発依存を仮に掲げていても、自民党との協力なくして自分の政治では前に動かないということは判ってますから、当の自民党が脱原発で有り得ない以上ですね、野田さんが絵の中の前面に出てる限り、私は原発をやめるなんてのは、口先で言ってるにすぎないと思います。
(水野氏)はぁ・・・。そうですか。
(近藤氏)はい。
(水野氏)小出先生のお話では、「本当に差し迫った課題はないにも関わらず、原発を止められない」ということになっていくわけですが、例えば電気料金が上がったら企業が海外へ出ていくんじゃないかという議論もありますが、小出さん、どうですか?こういうものを克服しなきゃいけないという議論がありますが。
(小出氏)そうです。もちろん克服しなければいけないのです。日本という国は、もともと天然・・・いわゆる地下資源に恵まれた国ではありませんので、そういう国として国家の戦略を建てなければいけなかったのですけれども、何か原子力があたかも国家のエネルギー戦略で必要だと思い込んでしまったというのがある時期にあって、国家全体がそれにのめりこんでしまった歴史が続いてきたのです。
でもそれが間違いだったということに今気が付かなければいけませんし、それをいつか重い責任を持っても直さなければいけない時が必ず来るのです。
それを今できなければ、もっとひどい痛みを被ることになると思います。
(水野氏)はい。もう一つ教えてください。
アイナメというお魚についてです。福島第一原発からおよそ20q離れた沖合で獲れたアイナメから、大量のセシウムが検出されました。1sあたり2万5800ベクレル。これは今置かれている食品の基準の258倍の濃度です。1年半近く経ってですね、これまでの魚介類の調査で最大の値が出たということ、私なんかはびっくりするんですが、なんで今、今までで一番高い値が検出されるのか、いかがでしょう?
(小出氏)今まで測定をしなかったからです。
(水野氏)あぁ。
(小出氏)福島県は漁を自粛していましたし、それが市場に出回るということを漁民が痛みを抱えながら引き受けてきたわけですけれども、これをとにかく漁民としてはなんとか漁をしたいと思って測定を始めているわけですけれども、もちろん、アイナメというのは定生魚類で海底の汚染を引き受けやすい生き物ですので、当然のことがわかっているということです。
(水野氏)ということは、海底にどんどん海の表面、海面にあったようなセシウムも下がってきているということですか?
(小出氏)はい。セシウムという放射性物質自身は、水にも溶けやすいですし、土・泥にものすごい吸着しやすい性質を持っていまして、多分福島の原子力発電所の周辺の海底の土は、猛烈に汚れているはずです。そういう場所で生きてしまう魚、或いは貝類ですね、そういうものは猛烈に今汚れているはずだと思います。
(水野氏)ということは、アイナメのような海底近くに住む魚介類は、これからまだ濃度が増すってことになりますか?
(小出氏)はい。増す可能性もありますし、当面下がらないと思います。
(水野氏)例えば、何年単位で下がらないんですか?
(小出氏)判りませんけど、セシウム137の半減期は30年です。水に溶けている限りは拡散してしまう、つまり拡散してしまうというのは無くなるわけではなくて、薄く広く広げるという意味ですけれども、そういう意味でいえば、福島県沖からは薄くなっていくとは思いますけれども、土に関して言うならば、一度くっついてしまうとなかなか離れませんので、汚染は長引くと思います。多分10年、20年という単位で猛烈な汚染が続くと思います。
(水野氏)調査をもっとこまめに、いろいろなところでやらなきゃだめですね。
(小出氏)その上にストロンチウム90という放射性物質も、海産生物は重要ですので、今回の発表では無かったようですけれども、きちっと測定して公表してほしいと願います。
(水野氏)はい。どうもありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】
【参考記事】
野田首相:面会の反原発団体代表「不完全燃焼」の声
毎日新聞 2012年08月22日 20時39分(最終更新 08月22日 20時50分)
毎週金曜日の夕方から夜、東京・永田町の首相官邸前で脱原発の声を上げている市民の代表11人が22日、官邸に入り、野田佳彦首相に全原発の廃炉などを直談判した。話は平行線をたどり、脱原発行動をまとめる市民団体「首都圏反原発連合」には「主張を十分に伝えられず、不完全燃焼」との不満も。だが、面会後に衆議院第1議員会館であった記者会見では「ここは到達点でなく、通過点」と言葉に力を込めた。
行動は3月に300人で始まり、共鳴した一般市民が次々と参加。首相と面会した代表者も普段は会社員や介護士などとして働いている。
その一人でイラストレーターのミサオ・レッドウルフさんは「面会がパフォーマンスや政局がらみの可能性もある」と警戒しつつ「何十万人もの力がこの場所に押し上げた。抗議の声を可視化して圧力をかけることで、国会議員を動かすこともできている」と手応えを語った。
http://mainichi.jp/select/news/20120823k0000m010057000c.html
この日の面会中も多くの市民が官邸前で抗議を続け、その声は官邸の建物の入り口まで届いていたという。大学非常勤講師の小田マサノリさん(46)は「社会運動やデモに対する一般市民の嫌悪感がなくなりつつある。この流れは止まらない」と強調した。【水戸健一】
http://mainichi.jp/select/news/20120823k0000m010057000c2.html
討論型世論調査:「原発ゼロ」46.7%に増加
毎日新聞 2012年08月22日 11時37分(最終更新 08月22日 12時46分)
討論型世論調査の参加者が支持する各選択肢の構成
http://mainichi.jp/graph/2012/08/22/20120822k0000e020197000c/001.html
新たなエネルギー政策の策定に向け政府が今月実施した「討論型世論調査(DP)」の実行委員会は22日、調査結果を発表した。2030年の総発電量に占める原子力発電の比率について「ゼロ」を支持した参加者の割合は、討論実施前の41.1%から46.7%に増え、「15%」と「20〜25%」を含めた3案の中で最大となった。「15%」と「20〜25%」の2案は横ばいか減少した。
「15%」を最も高く支持した人の割合は討論前後で18.2%から15.4%に減少、「20〜25%」は13.3%から13.0%とほぼ横ばいだった。
エネルギー政策を考えるうえで最も重視する項目を聞く質問では、「安全の確保」を挙げた人が討論前の74.0%から討論後に80.7%に増え、「エネルギーの安定供給」(15.8%)や「コスト」(2.1%)を大幅に上回った。討論には原発の専門家らも加わり質疑に応じたが、それでも安全性を信用できない参加者が多かったことが調査結果に反映されたとみられる。
http://mainichi.jp/select/news/20120822k0000e020197000c.html
調査の実行委員長を務めた曽根泰教慶応大大学院教授は記者会見で「(参加者は)再生可能エネルギーの推進など全体を考えたうえで原発ゼロを選んでいる」との見方を示した。
討論型世論調査件は、全国から無作為に選んだ6849人に電話で質問した上で討論会への参加を呼び掛け、そのうち285人が東京都内に集まってエネルギー政策を討論して、討論前後にも質問に回答した。原発比率の三つの選択肢に対して、それぞれ「強く反対」から「強く賛成」までの11段階から賛否の度合いを聞いた。
政府はこの調査や全国11カ所で実施した意見聴取会などの結果について、同日午後開く「国民的議論に関する検証会合」(座長.古川元久国家戦略担当相)で世論調査の専門家らの意見を聞いて検証に入る。それらを踏まえて、9月にも中長期の指針となる「エネルギー・環境戦略」を正式決定する方針。すでに政府は「30年代前半の原発ゼロ」を目標とする方向で検討に入っている。【久田宏、小倉祥徳】
http://mainichi.jp/select/news/20120822k0000e020197000c2.html
セシウム:アイナメから2.5万ベクレル 福島第1沖
毎日新聞 2012年08月21日 22時01分(最終更新 08月22日 00時00分)
東京電力は21日、8月1日に福島第1原発から20キロ圏内で採取したアイナメから、3月の測定開始以来最大値となる1キロあたり2万5800ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。
東電によると、アイナメは福島県南相馬市の太田川沖合1キロ付近で2匹を採取。放射性セシウムはそれぞれ、1キロ当たり3万8000ベクレルと9300ベクレルで、両方合わせると同2万5800ベクレルとなった。
同日同じ地点で取った魚は、コモンカスベが同260ベクレルだったが、それ以外は数十ベクレルだった。
東電は7月18日から8月1日に魚介類を採取し、放射性物質による影響を調べた。国が定める一般食品の基準値(1キロあたり100ベクレル)を超えたのはクロソイなど10種類に上った。
原発20キロ圏内では漁業は再開されていない。高濃度のセシウムが検出されたことについて、東電は「ホットスポットのようなものがあり、アイナメがそこの小エビなどを食べた可能性が考えられるが、今後さらに詳細な分析をして原因を調べたい」としている。【奥山智己】
http://mainichi.jp/select/news/20120822k0000m040093000c.html
【東京電力HPより
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_120821_01-j.pdf
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