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■ 撤退方法、細かく検討=炉心溶融「1時間前に」―東電テレビ会議〔福島原発〕
東京電力〈9501〉福島第1原発事故直後、東電が同原発から全面撤退しようとしたと疑われている問題で、同社が本社で具体的に撤退の準備を進めていたことが、テレビ会議映像から分かった。2号機が炉心溶融(メルトダウン)する「1時間ほど前に退避する」、バスで運べる人数は「目いっぱい乗ったとしても半分くらい」などといった発言があったが、首相官邸には伝えられなかったとみられる。
テレビ会議映像によると、昨年3月14日午後、圧力が高まっていた2号機原子炉の爆発を防ぐために格納容器の蒸気を外部に放出させる「ベント」がうまくいかず、本社では危機感が募っていた。武藤栄副社長(当時)は「早くベントしないと、ヨウ素なんかが上からいっぱい出てきてしまう」と現場をせかしていた。
オフサイトセンターにいた小森明生常務は「どっかで判断しないとすごいことになるので退避基準の検討を進めてくださいよ」と求めた。同日夜、本社社員とみられる人物が「検討の途中状況を申し上げます」と切り出し、「(炉心溶融の)1時間ほど前に退避をすると。その30分前から退避準備をすることを考えてます」と述べた。
また、撤退場所として福島県富岡町の浜通り電力所を第1候補に、福島第2原発を第2候補に考えていると説明した。
さらに、移動手段としてバスが挙げられ、「マイクロが20人乗りが2台、中型が1台30人乗り」「そのほかに構内のバスが7台」「目いっぱい乗ったとしても半分くらい。今構内に850人いますが」などの言葉が交わされた。
国会の事故調査委員会の調査によると、清水正孝社長(当時)が首相官邸に撤退の申し入れをした際に、具体的な残留人数などは伝えなかった。
全面撤退問題をめぐっては、東電が必要な人員を残すつもりだったと反論。民間の事故調査委員会は「十分な根拠がない」と同社の主張を疑問視したが、国会事故調は、全面撤退は首相官邸側の誤解と結論付けた。政府の事故調査・検証委員会は「(全面撤退を)疑わせるものはあるものの、一部退避を考えていた可能性を否定できない」としており、見解が分かれている。
[ 2012/08/18 14:12 配信 ]
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