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東京新聞が報じた「たね蒔きジャーナル打ち切り検討」ーー社員が流した涙の意味。
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2012年08月04日13:31 ざまあみやがれい!
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東京新聞が報じた「たね蒔きジャーナル打ち切り検討」 社員が流した涙の意味。「ざまあみやがれい!メールマガジン」vol.266
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2012年8月4日の東京新聞朝刊で、ようやく「たね蒔きジャーナル」の打ち切り検討が報じられた。1日に朝日新聞が報じた3日後だ。
続報をうった東京新聞は、「こちら特報部」にて、朝日新聞より字数を割いて報じている。続報を打つならば、これは当然の姿勢だと思う。当日の現場で何が起きていたか、朝日新聞より具体的だ。
その当日の現場を誰より知っているのは、そこに集った「たね蒔きジャーナル」リスナー40名だ。
その中の30人程度の人々が、7月31日にMBS毎日放送の前にプラカードを持って集まった。僕もその一人だ。
そこで僕は、毎日新聞記者と朝日新聞記者に取材を受けた。毎日新聞は2012年8月4日現在、まだ報じていないようだ。
僕らはMBS前に集まり、参加者が作って持ってきたプラカードを持っていた。そこに警備員がきて、敷地内でのプラカードや撮影は禁止だと伝えられた。僕らは敷地外に出た。
そこへ、MBSの社員の方がきて、僕らに応対した。建物の裏側に集まった人たちを移動させた。東京新聞紙面で石丸次郎氏が書いているように涙を流して僕らに応対した。僕より年上の大人だ。大人が涙を流していた。
集まったリスナーの中には、もらい泣きしている人もいた。僕もそうだった。
僕はサングラス越しに、彼の涙が、本物の涙なのかずっと疑いながら彼を見ていた。どういう気持で涙を流していたのか、もちろん僕には分かるはずはない。だけども、彼のもっている「温度」と僕らの持っている「温度」は、似ているように感じた。
最初、僕らを建物の裏に連れて行ったあと彼は次のように言った。
「たね蒔きジャーナルの存続については、私は知りません」
そして、彼は涙を流した。
30人は思い思いの気持ちをその人にぶつけた。彼は30人の声を一度も遮ることなくきちんと受け止めて、そして度々声をつまらせた。
彼を見守る30人のリスナーの目は暖かかった。
彼の名誉のために明確にしておくが、彼は、毎日放送に不利になるような振る舞いを一切しなかったし、同時に、リスナーにとって不利になるような振る舞いも一切しなかった。
僕は、彼の姿勢から、一貫してラジオというメディアへの愛を感じた。世界中の「たね蒔きジャーナル」を愛するリスナーの気持ちをきちんと受け止めるため に、大きな建物から出てきたことは、彼の人生において、忘れられない時間になればいいと思う。彼は紛れもなく時代のエッジに自らの身を置いていたのだ。
僕はいつも、人生を、インディージョーンズのある一幕のようだと思っている。
下を見ると真っ暗の深い谷底だが、そこには対岸へ続く『透明の道』があるというシーンがある。
透明の道があると示されているにもかかわらず、目の前には、深い谷底へ続く空間しかない。だから、頭では底に足を踏み出せばよいとわかっていながら、恐怖が勝り、その一歩が踏み出せない。
主人公は、勇気を振り絞って足を踏み出す。そして足の裏で、そこに透明の道があるのを理解する。決して目ではわからない。踏み出した足の裏で、道があるのを感じるのだ。
そして、透明の道を渡り切る。
新しい時代がきている。ラジオを愛するリスナーが世界中から、大阪のローカルラジオ局の1時間番組に熱いエールを送り、実際に日本中から30人がMBS前に集まった。
「くればいいじゃん」
そういう僕のライトな呼びかけに応じて、北海道の夕張からも、今行くしかないと思ってやってきていた。「たね蒔きジャーナル」はリスナーにそう振舞わせる、番組だということだ。
そこに、現れたMBS社員は、決死の覚悟でやってきたんじゃないかと僕は思っている。僕は、彼は「透明の道」へと第一歩を踏み出したのだと思っている。MBSの中で一番今の時代を皮膚感覚で感じている1人だと思う。
MBSは、彼を大事にして欲しい。そしてたね蒔きジャーナルに関わるスタッフを大事にして欲しい。
たね蒔きジャーナルに関する情報が、ぽつぽつとメディアに流れている今、僕は危惧していることがある。
これは僕の勝手な推測で、一般論だという前提で読んでほしい。
組織は、内部からの情報が外に出るのを恐れる性質を持っている。
もし、内部から情報をリークした人に罪をきせるような動きをする人がいたならば、僕は絶対に許さない。リスナーのために、番組のために、「善意」で行動した人間を排除しようとするならば、僕は絶対に許さない。
そのようなことをしようものなら、ラジオ局は滅ぶだろう。優秀な人間を排除しようとするならば、番組のクオリティーは下がるだろう。スポンサーは満足しなくなるだろう。
長い目で見て欲しい。今のラジオ局の経営陣は、古い時代の人達だということだ。僕は古い時代の人達の存在を批判しているわけではない。頭の良い経営者ならば、それを当然自覚しているだろうと思っている。そうでなければ、経営者は務まるはずがない。
時代は刻一刻と変わっている。ツイッターやフェイスブックを通じて、YOUTUBEのラジオ音源は数万回の再生回数を弾き出す。この感覚を理解できない経営者は、逝ってよし。
今の時代は、リスナーは、ストーリーを求めている。メディアと自分たちの関係性を求めている。それをメディアは受け止めてほしい。種蒔きジャーナルは、こ れまで、世界中のリスナーが満足するクオリティの放送を続けてきたということだ。3.11以降、「たね蒔きジャーナル」とリスナーの間のストーリーは、素 晴らしいものだったということだ。
それにラジオ局は胸を張らないで、何に胸を張ろうというのだろうか。世界中にスポンサーがいるという事実から目を背けるということに、何の意味があるというのだろうか。
この事実を経営陣も客観的に捉えて欲しい。今、ラジオ局は存亡の危機に瀕していることは事実だ。だからこそ、今の時代を皮膚感覚で理解している人を、大事にしなくてはいけない。そういった人達が支える番組を題字にしなくてはいけない。
リスナーの愛、そしてスタッフや社員の愛を受け止めて、そして前に進んでほしい。
そうでなければ、間違いなく毎日放送MBSは滅ぶ。毎日放送MBSを滅ぼすのは、毎日新聞MBS自身だ。
(了)
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