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事故調はお飾りか 大飯破砕帯調査は原子炉メーカー関連会社が受注
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8月1日 東京新聞「こちら特報部」 :「日々担々」資料ブログ
大飯原発(福井県)敷地内の破砕帯(断層)問題で、ようやく経済産業省原子力安全・保安院が調査に動き始めた。しかし、調べるのは設置申請時に調査を担った会社。これで安全性は保てるのか。そもそも福島原発事故での三つの事故調査委員会は、いずれも保安院が規制機関の体をなしていないと断じた。その保安院がいまだに安全審査に携わっている。この国はフクシマから何を学んだのか。 (上田千秋、小倉貞俊)
「速やかに調査に着手したい」。三十一日に経産省で開かれた「地震・津波に関する意見聴取会」。大飯原発の破砕帯再調査について、手順を説明した関西電力の担当者はこう理解を求めた。
この問題は市民団体の要請に応じ、同原発3、4号機の設置申請書などを見直した専門家らの指摘で六月に発覚。1、2号機と3、4号機の間を通る「F−6破砕帯」が周辺の活断層と連動して動き、原子炉に深刻な損傷を与えかねない可能性が懸念されている。
関電と保安院は当初、「活断層ではなく問題ない」と主張していたが、七月十七日の意見聴取会で「活断層の可能性を否定できない」という意見が続出。保安院は関電に対し、再調査の計画を出すよう指示していた。
関電の調査計画では、同原発周辺八カ所でボーリング調査や、数メートルの溝を掘って地層を直接観察するトレンチ調査などを実施。八月から始め、十月末に中間報告、十二月末に最終報告を出す。
この日の聴取会では、委員から「より早く結果を出せないのか」などといった注文がついた。
委員の一人で、京都大防災研究所の遠田晋次准教授(地震地質学)は「一般的なトレンチ調査でなされる地層の写真撮影やスケッチにとどめず、堆積物などの試料を採取した方がいい。最新の科学的知見を基に考えるべきだ」と提言した。
ただ、今回の調査に国や関電が本腰を入れているとは思えない。牧野聖修経産副大臣、関電の八木誠社長ともに「念のため」と発言。関電が意見聴取会に提出した資料にも「念のために実施する追加調査計画について」と明記されていた。
わずかな危険性でも、徹底的に調べなくてはならないことは福島事故から学んだ教訓の一つ。これと「念のため」という発想は矛盾する。ちなみに今回の調査の間も、同原発は稼働し続ける。
さらに疑念を呼んでいるのが、再調査をする会社の“資格”だ。再調査は三菱系の「ダイヤコンサルタント」(東京)が実施する。同社は3、4号機の設置申請時に地質調査を請け負った。その調査結果を基に関電は「F−6破砕帯」が活断層でないと結論づけた。
3、4号機の原子炉は三菱重工が建設した。同じグループ会社が中立な判断を下せるのかにも疑問は残る。三十一日の委員会では、この問題は取り上げられなかった。
市民団体「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」の島田清子事務局長は「再調査は歓迎すべきだが、どういう会社が請け負うのか、まずそこから議論するべきではないのか」と憤った。
この調査をダイヤコンサルタントが担うことについて、関電広報室は「地質の調査に精通している会社。迅速、的確に実施してもらえると判断した」と説明する。中立性への疑念については「適切に選んだ結果」と繰り返すにとどまった。
意見聴取会での議論でも上がった再調査の期間が長すぎるという批判も看過できない。「電力不足」論が傾いた現在、最終報告までの五カ月間、安全性に疑問のある原発を稼働させ続けてよいはずがない。「世論の脱原発感情が沈静化するのを待ちたいのでは」という臆測も広がっている。
広報室は「原発の安全性確保を万全にするために、これだけの期間を取った」とするが、東洋大の渡辺満久教授(変動地形学)は「時間のかけ過ぎというだけではなく、調査内容も適切ではない」と厳しく批判する。
渡辺教授は壁面の地層を細かく観察できるトレンチ調査を重視。「この調査方法なら、期間は一週間もあれば十分だ」と説明する。だが、今回の調査対象八カ所のうち、トレンチ調査をするのはわずか二カ所だ。
残りは「ボーリング調査」などだが、同教授は「小さな面積に穴を開けるボーリング調査では地層断面の様子が把握できない」と指摘。さらに「調査場所もF−6破砕帯から外れる恐れのあるポイントばかり。稼働中の原発の邪魔にならないように選んだとしたら、本末転倒だ」と話した。
◆3事故調 酷評でも「妥当」「健全」続々
今回の再調査計画の可否を判断するのは保安院だが、そもそも保安院にその資格があるのか。
保安院は本来、福島原発事故の責任の一端を取るべき役所だ。強弱の違いはあれ、同事故についての三つの事故調はいずれも規制機関としての保安院を“酷評”した。
いわく「シビアアクシデント対策を事業者に実施させられず、規制機関の役割を果たせなかった」(政府事故調)、「事業者の利益を図り、直接責任を回避してきた。事業者からの独立性は形骸化している」(国会事故調)、「プロ集団には程遠く、人材が脆弱(ぜいじゃく)だった」(民間事故調)−。
だが、保安院は福島事故後も安全審査に関する業務を継続した。再稼働に向け、電力会社から出された大飯原発など二十二基の安全評価(ストレステスト)の一次評価を審査してきた。
三月には四国電力伊方原発3号機(愛媛県)について、一次評価報告書を「妥当」と判断。同原発は、南海トラフ地震や巨大活断層に対する耐震性の点で懸念が払拭(ふっしょく)されていない。
七月に入ってからは、北陸電力志賀原発1号機(石川県)の原子炉建屋の真下に、活断層の存在が浮上。保安院が建設時の調査で見落としていた疑いが明るみに出た。
二十七日には、原子炉圧力容器の劣化が専門家から指摘されていた九州電力玄海原発1号機(佐賀県)について「二〇三三年まで十分健全」とする検証結果をまとめた。
これは事実上、五十八年間の使用を認めるもので、政府の「原則四十年で廃炉」という方針をはるかに逸脱している。
保安院は間もなく原子力規制庁に衣替えするが、大半の職員は横滑りとなる。国会同意が必要な上部機関の原子力規制委員会の委員人事案は「原子力ムラ人事」という批判を浴びている。
これでは各事故調の存在意義すら“儀式”だったことになりかねない。
<デスクメモ> 日曜の夕、ぎゅう詰めの国会前にいた。車道の開放を求め、警官に詰め寄る女性たちの傍らを、脱原発派の議員さんが車道側から演説に来た。警官に一言言って、という声には振り向かない。冷たいものだ。が、せめて国会では職責を果たしてほしい。規制委のムラ人事案。止まるか否かは国会次第だ。(牧)
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