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8月1日【内容起こし】小出裕章氏:玄海原発1号機の危険性『延性と脆性』とそれを審査する仕組み@たね蒔きジャーナル
http://bochibochi-ikoka.doorblog.jp/archives/3509285.html
2012年08月02日04:49 ぼちぼちいこか。。。
保安院に代わり原子力発電所の安全性を規制するために作られる『原子力規制委員会』の人事について、その独立性を保つために、一度任命されてしまえば5年は罷免することができず、もし今後何かあったとしても政治が介入することができない立場となってしまうにもかかわらず、ある種確信犯的に原子力村の方をその地位に置こうとしています。
これに反対される方、是非署名をお願いします。
⇒ http://fs222.formasp.jp/k282/form2/
では、どうぞ。
20120801 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】
(水野氏)そして東京には近藤さんです。
今日はまず原発の寿命に関係してくる話で、九州電力の玄海原発について伺いたいと思います。
玄海1号機というのは、36年以上経っているんですよね。これは、小出先生が最も危険性の高い原発の一つだというふうに指摘してこられた原発なんですが、今回、保安院が、
「いや、玄海1号機、まだまだ行ける。20年はまだいける」
という意味のことを言っているので、その意味を教えていただきたいと思います。
まず、小出先生がどうして玄海原発1号機は危険性が高いとおっしゃっていたのか、もう一回教えていただけませんか?
(小出氏)はい。
何回かたね蒔きジャーナルでも聞いていただいたと思いますが、原子炉というものの一番重要な部分に原子炉圧力容器という鋼鉄製の圧力釜があります。それだけは交換もできない。とにかく最後までいくしかないというそういうものなのですが、その圧力容器というのは鋼鉄でできています。そして鋼鉄というのは皆さん判っていただけると思いますけれども、鉄ですから、叩いたところで簡単に割れませんし、叩いて延ばそうと思えば伸びることもあるし、曲げようと思えば曲げることもできる、そういうものです。
それを私たちは『延性』=延びる性質と呼んでいます。
(水野氏)延びる性質、延性。
(小出氏)はい。ところが、この世にあるものは全てが延性ではなくて、例えばガラスというようなものは叩けば割れてしまうわけです。それは『脆性』=脆い性質ものもと。
(水野氏)「脆い性質」と書いて『脆性』。
(小出氏)物理学的にはそうやって呼んできたのです。
でも、ガラスが今の私たちが生きている通常の温度の世界で脆くて、鋼鉄は脆くなくて延びると思っているわけですが、鋼鉄もどんどん冷やしていってしまいますと、あるところから脆くなってしまうのです。
(水野氏)ガラスのような性質にあるところからなってしまうんですね。
(小出氏)そうです。その鋼鉄というものは、原子炉を運転させ始めると、中性子という放射線に被曝をしつづけるわけですが、被曝をしつづけると、延性と脆性の境目の温度がどんどん高くなってくるのです。
ですから、今現在は本当に冷たい温度でないと金属というのは延びる性質を持っているわけですけれども、原子炉を運転しつづけると、どんどん脆くなってしまう温度が高くなってきてしまうという性質があります。
もちろんそれは原子力を推進する人たちも知っていたわけで、一体何℃になったら鉄が脆くなってしまうかということを調べてきたのです。
実はこれまで科学的な知識は無かったのです。
脆くなってしまうことは判っていたけれども、一体何年でもろくなってしまうだろうかということで、とりあえず30年、40年くらいが原子力発電所の寿命だと思ってきたのです。でも、それを科学的に確かめなければいけないということで、試験片というものを圧力容器の内側に貼りつけて、一体その試験片が何度になったらガラスになってしまうかということを調べてきた・・・
(水野氏)つまり圧力容器と同じ材料の鋼鉄を、試験をするための欠片として中に入れて、取り出して見られるようにしてるわけですね。
(小出氏)そうです。それをある年ごとに取り出して調べてきたのですが、彼らが思っていた以上に急激にもろくなる温度が高くなってきているということが玄海1号炉で判ったのです。
そして、今や98℃という温度、それより以下になると圧力容器はガラスだということが判ってしまいました。要するに98℃以下ということは、普通の温度ですけれども。そういう温度では、もう玄海1号機の圧力容器は、いわゆる皆さんが思っている鋼鉄ではなくて、ガラスなのです。
(水野氏)はぁ・・・。
(小出氏)はい。そういう状態を許容できるかどうかということが問題になってきていて、九州電力も今回の保安院もそうですが、
「運転中は原子炉の中の温度は二百何十℃にもなっているから、そういう温度では金属は延性を持っている。」
(水野氏)「延びる性質を持っているから大丈夫だ。壊れない」と?
(小出氏)そうです。そう言っているのです。
ただし、皆さんにこのことをきっちりを判っていただきたいのですが、絶対的に安全というものは無いのです。どんなものでも。
どこまで安全なのかということを我慢できるかということだけが判断の基準にならなければいけないと私は思います。
それは昔から原子力をやってる人間ではずーっと問題になっていまして、
『How safe is safe enough』
という、そういう英語の言葉で言われてきたのですが、
『どこまで安全なら安全と言えるか』
ということなのですが、それが今まで「ここまでならいいだろう」と思っていたものが、どんどん危険になってきていて、「そこまで我慢をしなければいけない、それでもやるべきなのかどうなのか」という、その判断を問われているのです。
(水野氏)だって、もしもこの玄海1号機で大きなトラブルがあったらですね、冷却水で冷やさなきゃいけませんでしょ?
98℃なんてあったらあきませんやんか。
どんどんもっと冷やしていかなきゃいけない、ということは、ガラスのような圧力容器の中に核燃料が溜まっていることになるわけで、それがパリンと割れてしまったらどうなるかという、そこの危険ですよね。
(小出氏)そうです。そうなれば、もう手の施しようがないということは判っているのです。でも、そういう状態になる可能性がどれだけあるかということで、安全か・安全でないかという判断をしてしまっているわけです。
(水野氏)今まででしたら、今までの計算式で計算したら、運転してからの年数が85年に相当するという結果になっていたんだそうですね。36年経っているんですが、実は85年経ったのと同じ状況になっているという結果が出たので、これはえらいこっちゃと思っておりましたら、今回保安院は、昨年の11月からずーっとまだこれを検証してきまして、今回出した検証結果というのが、
「いやいや、まだまだ大丈夫。十分に健全である」
という言葉なんですね。それも
「2033年までは十分健全だ」
という結果なんだそうです。
ということは、あと21年・・・大丈夫、大丈夫って言ったらおかしいですね、「十分健全」で、スタートから考えますと58年は健全だと言ってるに等しくなるわけですが、これは小出さん、どうお考えになりますか?
(小出氏)要するにこれまで原子力を進めてきた原子力保安院は、「それくらいの危険は我慢できる」と言っているのです。
(水野氏)あ、そういう意味なんですか?
(小出氏)はい。でも、私はこれまで原子力発電所は安全だと言い続けてきた原子力保安院こそが、福島原子力発電所の事故を引き起こした張本人だし、彼らは本当は刑務所に居なければいけない人たちだと私は思ってきました。
その彼らが、未だに原子力の安全を審査するという場所に居て、彼らから見ると「まだまだこれくらいは我慢できる」と言っているのです。
私は彼らの主張を認めたいとは思いませんし、もっときちっと事実に向き合うべきだと思います。
(水野氏)はい。近藤さん?これ、政府は原発は原則40年で廃炉にするって方針を決めてますけど、例外的には60年までOKみたいなのもついてますよね。
(近藤氏)先生ね、保安院がさっきおっしゃったように矢面に立たされている福島原発の事故がありながらね、今のそういうことを踏まえてないような反応をするというのは、私はどういうふうに理解したらいいのかなと思うんですがね。
(小出氏)<苦笑>私も理解できませんし、毎日新聞も含めて、きちっとそれを取り上げて判断して、報道してほしいと願います。
(近藤氏)これ、メンバーはまるで変わってないんですか?
(小出氏)保安院は全く変わっていません。
(近藤氏)それも異常ですよね。
(小出氏)そうです。
(近藤氏)はぁ・・・。
(水野氏)そして9月上旬にも原子力規制委員会というところができますけど、そこにこの結果、報告書は引き継がれるんだそうです。
専門家の間でも、今回この保安院の中でやってらっしゃる専門家会合でも異を唱えてらっしゃる先生いらっしゃるんですよね。
(小出氏)そうです。
(水野氏)「データが充分ではない。原子炉の状態は把握できない。健全性には疑問がある」
とおっしゃってる方もいらっしゃるんですが、もう保安院は専門家会合での確認を終えて、8月中には報告書をまとめるという段取りが決まっているんだそうです。
(小出氏)そうです。
(水野氏)そうした異を唱える方の声って、今もまだ保安院を動かすことはできないんですか?
(小出氏)もちろん昔からずーっと異を唱える方達はいました。もちろん私もそうですし、私だけではなくて保安院がやってきたこと、原子力委員会、原子力安全委員会がやってきたことに異を唱える人は居たのです。
しかし、そんなものは、国家が原子力を進めると決めて、マスコミもそうですけど、全てが一体となった社会の中では、ほとんど力を持たないままここまで来たわけですし、今現在もそういう状況が続いているということです。
(水野氏)はい。ありがとうございました。
(小出氏)はい。
【以上】
【関連記事】
玄海原発:劣化の1号機 「33年まで健全」と保安院
毎日新聞 2012年07月27日 19時56分(最終更新 07月28日 00時37分)
九州電力玄海原発1号機(佐賀県、定期検査で停止中)の原子炉圧力容器が予想を上回り劣化していた問題で、経済産業省原子力安全・保安院は27日、現時点の劣化は異常なレベルではなく「2033年までは十分健全」との見解をまとめた。1975年に運転開始した1号機は、2033年まで運転すれば58年となる。政府は原発を原則40年で廃炉とする方針を決めているが、9月に発足予定の原子力規制委員会が再検討することが決まっており、今回の見解は論議に影響を与えそうだ。
保安院は昨年11月からこの問題を検討。27日開かれた専門家による意見聴取会で大筋了承を得た。
原子炉圧力容器は、核分裂反応で生じる中性子を浴び続けるともろくなる。劣化の程度を間接的に調べるため、各電力会社は圧力容器内に同じ材質の試験片を設置。定期検査の際に取り出して、劣化の程度を示す「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度」などを調べる。この値が異常に高いと、事故の際の注水がきっかけで圧力容器が破損する恐れがある。
http://mainichi.jp/select/news/20120728k0000m040062000c.html
九電は玄海1号機について97年までに3回分析。いずれも脆性遷移温度は予測値を下回っていたが、09年の値が約14度上回る98度と、国内の原発で最高値を記録した。想定以上の老朽化を示す結果に、圧力容器の健全性を不安視する声が上がり、保安院が専門家会合で検討してきた。
試験片を電子顕微鏡で詳しく調べたところ異常な劣化は見つからず、現時点では「健全」と判断。圧力容器の内壁は試験片より炉心から遠く、その分浴びる中性子の量が少ないため劣化は遅く、実際に圧力容器の劣化が試験片と同程度になるのは、運転開始から約58年後の2033年ごろになるとした。
議論では、圧力容器の脆性遷移温度が98度になったと仮定しても、理論上は事故の際の注水で容器の破損には至らないとの意見が多数を占めた。
一方、1号機の脆性遷移温度が予測値を大幅に上回った理由は説明がつかないとして、予測に使われる計算式の精度を今後、学会などが詳しく検証するよう求めた。【奥山智己】
http://mainichi.jp/select/news/20120728k0000m040062000c2.html
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