http://www.asyura2.com/12/genpatu26/msg/184.html
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今回は、栃木県県北で福島原発事故による放射能汚染と放射線防護の啓もう活動をされている、もみの木医院の川口幸夫先生が、医療関係者向けの講演会で使用されている資料から〜脱原発のすすめ〜をご紹介します。
あくまでも医療関係者向けに作成された資料とのことで、公開を遠慮されていましたが、“脱原発”が国民の大多数の声となりつつある今日この頃、“なぜ脱原発なのか”を正しく知っていただく一助に、何度かお願いして公開して頂けることになりました。少し長い文章ですが、ぜひ一読されることをお勧めします。
<<<前回までの阿修羅掲載記事>>>
福島県中通りで、栃木県北部で、東京で! 中性子線検出!!
http://www.asyura2.com/12/genpatu22/msg/280.html
福島県から栃木県北地方の内部被ばくについて
http://www.asyura2.com/12/genpatu22/msg/163.html
ホールボディカウンター検査は、受ける必要はない??
http://www.asyura2.com/12/genpatu21/msg/892.html
〜脱原発のすすめ〜
歴史を無視する者には、歴史は繰り返す。
科学を信じない者には、科学は死をもって報いる。
Ⓒもみの木医院長 川口 幸夫
1. チェルノブイリ原発事故の悲劇は、必ず、福島や関東の人々に襲ってくる。
昨年7月に発表された文部科学省の航空機モニタリングデータによると、栃木県県北地方のガンマ核種であるセシウムを中心に調査した土壌の放射能汚染は、チェルノブイリ分類の定期的健康管理区域の第Vから、一部選択的移住地域の第Uに該当する。福島県中通りと浜通りの汚染は、第Uから強制移住地域の第Tに該当するところがある。
ICRP(国際放射線防護委員会)が発表している、チェルノブイリ原発事故により、原発職員の約50名が急性放射線障害で死亡したが、一般住民の健康被害は、子供の甲状腺がんが増えただけであった〜という結論は、多くの日本の科学者や医学者がいまだに信じているが、完全に間違っている。
ロシア、ベラルーシなどでは、他のガン患者、子供だけではなく、大人も含めて、また心臓疾患なども明らかに大量に増えている。その総数は、軽く100万人を超えると言われている。しかしながら、これらの患者は、被曝の証拠がなく、学会に認められる症例が少ないことから、作為的に“原発事故による健康被害ではなかった”と、統計から排除された患者がほとんどである。したがって、この結論は、ICRPが内部被ばくを基本的に認めない立場から、意図的に導き出された間違った結論である。〜科学者はうそをつく(ECRR)〜これは科学者の常識でもある。
ICRPは、国連の関連機関であるが、アメリカの原子力政策を遂行するために創設された機関で、もともと原子力推進のための機関である。WHOと協定を結び、原子力関連の健康に関する調査や提言は、WHOはできないことになっている。
日本の原発関連の科学者や放射線医学関連の医学者のレベルは、残念ながら低い。いつまでたっても、このICRPの作為的な間違った結論を信じている〜信じて疑わない者が多く、政府や電力会社に都合の良い話をする御用学者が多い。
現在の放射線防護や避難政策では、早ければ3〜4年後、遅くとも15年以内に原発から100キロ以内の10万人が放射能汚染によるがんを発症し、半径100〜200キロ以内の同様に12万人が放射能汚染によるがんを発症するというECRR(ヨーロッパ放射線防護委員会)の予想の確率は、極めて高いと考えられる。ドイツのメルケル首相は、元々は原発推進派であったが、このECRRの福島原発事故に関する報告書を読んで、脱原発を決意した。
放射性物質は、においもしないし、味もしないし、目に見えない。また、体に取り込んでも、すぐにはわからない。放射性物質は、最高の毒である。
2. 現在の日本政府、福島県、栃木県が行っている政策は、計画的殺人と言えるかもしれない。
昨年3月の原発事故直後の日本政府の対応には、重大な問題がある。SPEEDIデータを隠して、一般住民に知らせなかったのは、殺人的行為であり、歴史的犯罪である。
政府は、事故当初、SPEEDIは地震で壊れてデータがないと言っていた。ところが、欧米の大使館には事故直後から送信し、日本人には1週間後に流した事実が判明した。管直人の日本政府は、欧米人は早期に情報を流して避難させたが、日本人は大量被曝させても仕方がないと思っていたようである。住民に対しSPEEDIのデータを流さず、ろくな避難もさせず、ヨウ素剤もきちんと服用させなかったことは、欧米の研究者から、“日本人は、バカかそれとも気が狂ったのか”といわれても仕方がない。
日本政府は、国民を守る気はない。(ECRR) これは、間違いないようである。
ほとんどのマスコミが作為的に無視して国民に知らさないようにしている、昨年の8月26日に経済産業省から発表された福島第一原発から放出した核種の試算表データは、致命的である。
プルトニウム、ストロンチウムをはじめとする致命的な放射性物質が大量に放出され、しかもSPEEDIのデータによると、福島から関東全域にこれらの放射性物質が拡散し、土壌などを濃厚に汚染した。これは、アメリカのNNSAの調査でもはっきりしていることであるが、チェルノブイリ事故との決定的な違いは、アルファ核種の広範な飛散〜すなわちプルトニウムやウランの広範な飛散である。大量のプルトニウムとウランが、東京、神奈川、千葉などの首都圏から、関東北部、そして福島のほぼ全域に飛散し、土壌を汚染した。
前述の航空機モニタリングの土壌汚染の濃度を加えて検討すると、残念ながら、福島県中通り、浜通り、栃木県県北、群馬県県北は、子供には居住不適当、大人も居住不適当な地域が多いと言える。ところが、これらの県は、御用学者を駆使して、講演会、テレビ、新聞などで、でたらめな安全神話を住民に刷り込み、危険性に全く目を向けないように仕向けている。これは、まさに計画的殺人であろう。
もう一つは、除染である。除染の効果は、せいぜい空間放射線量を3分の1に下げる程度である。空間放射線量が1.5マイクロシーベルト以上の地域では、除染しても0.5以下には下がらず、これでは、放射線管理区域(3カ月積算で1.3ミリシーベルト以上)のままであり、居住不適である。
いまだに原発近隣の住民を避難〜移住させなかったり、除染して早期に帰宅させるなどと、歴史に学ばない、非科学的なことをやろうとしている日本政府や福島県の政策は、“異常”と言う他はない。
空間放射線量の高い地域は、外部被ばくだけでなく、高線量の内部被ばくを考慮しなければならない。特に、今回の事故では、空間放射線量が高い地域は、アルファ核種やベータ核種もその分多く存在すると考えられるから、このことは非常に重大である。除染を行っても十分に取りきれないアルファ核種やベータ核種は、ホットパーティクルとなって、食物よりも呼吸で取り込まれる。その線量を正確に見積もることは難しいが、確実に発がんに結び付く。
3. 最終的に、住み続けて安全かどうかは、土壌汚染の程度で決められる。
住み続けて安全かどうかは、土壌汚染の程度で決められるべきである。
チェルノブイリの経験で安全と言えるのは、570㏃/kgまでである。小児はもっと低い値とすべきである。
栃木県県北は、前述1.の文部科学省の発表の航空機モニタリングデータによると、土壌汚染は、60,000㏃/uから300,000㏃/uであり、換算するとおおよそ1000㏃/キロから5000㏃/キロとなり、完全に基準オーバーである。群馬県県北は、栃木県県北と同様である。福島県中通りや浜通りは、これ以上に汚染されているところが多い。関東地方の南部でも、かなり汚染されている地域が存在する。
加えて、前述2.の経済産業省発の放出核種の試算表データによると、飛散した核種が悪い。アルファ核種〜プルトニウム、ベータ核種〜ストロンチウムという内部被ばくに致命的な意味を持つ核種で大量に汚染された。
私見であるが、わかりやすい判断方法として、簡易な方法である空間放射線量計のデータで代用すると、おおむね屋外で0.5μ㏜/hrを超える地域は、移住するべきであると考える。
是非、政府や御用学者のでたらめにだまされず、テレビ、新聞や周りの人間の間違った情報に惑わされず、的確な行動をとることを勧める。
4. 原子力発電は、壮大な無駄であり、人類には何のメリットもない。
燃料費が石油に比べて格段に安く済み、二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化防止に大きな効果があると信じられてきた原子力発電であるが、実際は全く違うものである。
まず、ウラン燃料は化石燃料と違って調達費は安いが、使用済み燃料の中間貯蔵、再処理、MOX燃料の作成(プルサーマル)などに多大な費用がかかり、1キロワットアワーあたりの単価は、火力発電と変わりないか、状況によっては高くつく。
プルサーマルは、日本は“もんじゅ”という高速増殖炉計画があり、多大な投資を行っているが、今後とも成功する見込みは全くない。世界的にみても、成功した国はない。
地球温暖化防止に効果が大きいというのは、全くの間違いである。福島第一原発クラスでは、1秒間!!に500トン!の冷却水を使用し、約7度上昇した海水を海に還流させている。日本全体の原子力発電所では、日本の河川の水量の約5分の一の水量の冷却水を使用し、同様に約7度上昇させて還流させている。“地球温暖化に極めて効果的”な、約33%と熱効率の悪い発電方式である。
また、平常運転時でも、非常に危険な発電方式である。キセノンなどの希ガスは、ほとんど漏れっぱなしである。これは、乳がんの原因といわれている。同様に、トリチウムなども出っぱなしである。 “原子力発電は、内部被ばくを無視して成り立つ商売である。”(矢ガ崎教授)
原子力発電をすべてやめても、日本のエネルギー事情には何の問題もない。
最新のきわめて効率の良い、冷却水のほとんどいらないガスタービン発電を何箇所か増設するだけで、真夏のピークに対応できる。燃料の液化天然ガスは、国際的にだぶついており、円高も追い風となり、調達にはなんの問題もない。風力発電や太陽光発電は、設備コストが高い発電方式であり、これらは追い追い進めていくべきであり、急ぐ必要はない。
決して、電力業界や“原発村”の学者どもに、だまされてはいけない。
5. 福島原発事故の今後の見通しは、かなり厳しい。
昨年3月12日から同年4月にかけて、広島原爆の150個分の放射性物質が放出され、その内の30個分の放射性物質が福島県から関東地方を中心に降り注いだ。現在も少量であるが、放射性物質の放出は続いている。
日本の沸騰水型原子力発電所の特徴である、使用済み燃料プールが原子炉建屋にあるという構造が、チェルノブイリ原発で行われた、原子炉全体を石棺で覆うということを不可能にしている。
使用済みプールは、今後とも数十年にわたり冷却を続けて行かなければならず、原子炉建屋内が極めて高い放射能で汚染されている1号機から3号機には、人間が入れないため、燃料を取り出して別のプールに移して廃炉を進めることは、現実的に不可能である。
4号機は、うまい具合に屋根が吹き飛んでいるため、使用済み燃料を取り出して別のプールに持っていけそうであるが、一瞬でも空気に触れれば周りの人間は即死するほどの放射能を持っているため、その取り出しは極めて難しい。その4号機建屋は、震度6以上の余震がくれば、倒壊することが予想されており、そうなれば、野外原子炉状態となり、燃料棒の中に閉じ込められていた大量の放射性物質が放出され、関東地方や福島県は居住不可能となる可能性が高い。
事故当時、原子炉内から燃料が取り出されていた4号機を除く、1から3号機の燃料はすべてメルトダウンしている。沸騰水型原子炉の特徴として、圧力容器の下部はもともと弱い構造であり、メルトダウンした燃料は、すぐにメルトスルーして格納容器底部にたまる。メルトスルーした燃料は、十分に水で冷却されない限り、格納容器のコンクリートを溶かしてメルトアウトし、地下水に到達する。ここで“象の足”状態になって、1号機から3号機の燃料は固まっていると考えられる。これらの溶け落ちた燃料は、ごく一部が再臨界したり、元の状態に戻ったりを繰り返していると考えられる。
いずれにせよ、明らかにチェルノブイリ原発事故を超える世界最悪の世界最大の原発事故であり、その収束には30年どころか、数百年の時間が必要と考えられる。福島原発事故は終息したという、政府の終息宣言は、世界中の笑いものである。
6. 世界の中では、福島原発事故の意味合いは、微妙である。
前述のように、ドイツのメルケル首相は、福島原発事故を教訓にして、大きく舵を切って、脱原発を決定したが、世界の他の経済大国の方針は、国別にかなり異なる。
世界第2位に原発の多い国であるフランスは、福島原発事故を受けても方針に変化はなく、原発依存度を80%以上に維持する方針である。
新興経済国家である中国とロシアは、現在の経済発展を維持させるために、今後原発をどんどん建設していかざるを得ないようである。
世界第1位に原発の多い国であるアメリカは、あまり知られていないが、シェールガスが国中で発見されており、それだけで100年くらいはアメリカ経済がやって行ける埋蔵量があるとのこと。将来的にはそちらをエネルギーのメインにしていく方針で、今後原発を造るつもりはない。
実は、アメリカはすでに原発には関心がない国であって、福島原発事故の後処理にもあまり積極的ではないようにも思われる。彼らに言わせると、事故のリスクの大きい、使用済み燃料の処理経費が莫大な、地球温暖化防止にも火力発電と大差ない原子力発電は、何のメリットもないとのことである。
アメリカは、“消極的に脱原発をしようとしている国”と言えるかもしれない。
2012年7月 もみの木医院長 川口 幸夫
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