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なぜ「原子力村」のメンバーを選ぶのか [慶大教授 金子勝の天下の逆襲]
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2012/7/31 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
「原子力規制委」人事に異論
細野豪志環境大臣は「原子力村」の官僚に取り囲まれ、その虜になってしまった。新たな「原子力規制委員会」の人事のことだ。
野田内閣は先週26日、「原子力規制委員会」の委員長に田中俊一氏(67)を起用する人事案を衆参両院に提示した。
田中氏は、福島原発事故後、謝罪した原子力研究者16人のうちのひとりだ。福島に除染に入っていることもあって、大手メディアは、市民派だとか、実務派などと評価している。だが、本当にそうなのか。この間、田中氏が、福島県民の被害を放置する役割を果たしてきたことは明らかだ。
「原子力損害賠償紛争審査会」の委員として発言している議事録や彼の発言を追いかけてみれば、そのことがよく分かる。
100ミリシーベルト未満は健康に影響はないと公然と発言し、20ミリシーベルト未満の地域は帰宅しても大丈夫だと言い張り、自主避難者の賠償を打ち切ろうとしてきた。環境省が除染の基準を1ミリシーベルトにしようとした時も、5ミリシーベルトが現実的だと主張している。食品の安全基準を500ベクレルから100ベクレルに引き下げ、水の安全基準を100ベクレルから10ベクレルに引き下げようとした時も、風評被害をもたらす、と反対してきた。
福島県出身でありながら、福島県民を見殺しにし、東電の賠償金額を削減することで自らの地位を上げようとしている人物にしか見えない。
そもそも彼は、「日本原子力研究所」の副理事長や「原子力委員会」の委員長代理をつとめ、福島原発事故を起こした張本人のひとりだ。今も原子力ムラ機関に天下っている、推進側の人間である。
細野大臣は、「原子力村」からは原子力規制委員会のメンバーは選ばないと明言していたはずだが、田中氏は明らかに原子力村のひとりである。
こんな人事をしたら、老朽原発の40年廃炉というルールも藻くずと消え、5兆円を無駄にしている「もんじゅ」も六ケ所村もずるずる続き、一層の国民負担がのしかかる。福島原発事故の前に逆戻りである。
少なくとも国会は、「原子力規制委員会」の候補者を国会に呼び、一つ一つの事実を問いたださなければいけない。
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