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NHKの「メルトダウン 連鎖の真相」という福島第一原発事故検証番組に触発され、久々に原発事故問題をあれこれ考えている。
NHK自体がそうだし、日本に限ったことではないとも思っているが、支配層の多くは、国民に対し秘匿すべき事柄を取り違えている。
私自身、それは限定的であるべきだと思っているが、外交を含む統治活動で隠すべきことはあると思っている。
例えば、自国との関係で重要な国に属する不埒な人たちが乗った船が不審な動きを示したためについには撃沈したとする。元々は非友好国が違う目的で航行しているという認識を持っており、結末に至るまでそれがわからなかったとする。
このようなケースであれば、裏で非友好国との交渉は行いつつも、撃沈するまでの認識をその後も公表し続けることに異を唱えない。(間違いは主張するが..)
また、日米安保体制についても、それが国家国民のためになると考えている支配層であれば、それを維持するためにウソをつくのも合理的だと思う。反対派は、様々な方法とルートでそのウソを暴かなければならない。
原発事故問題についても、SPEEDIの公表遅れが非難の的にもなったが、私自身は公表遅れが問題ではなく、発生源情報云々は言い訳にならないのだから、住民避難にそのデータを活用しなかったころが重罪だと思っている。
(※ 防衛省・自衛隊は、SPPEDI的な情報をもとに、北西方向にある福島市を避け、直線距離ではより福島第一に近い郡山に撤退していると思われるからである)
原発事故問題についても、原発廃止に向かうことが国家国民のためになると判断するのか、原発を維持することが国家国民のためになると判断するかで言動が変わるのは、実に嫌なことだが、当然だと思っている。
今回取り上げる菅前首相については、原発導入後はじめて国会の場で“脱原発”を政策として打ち出したことでは高く評価している。
菅氏は、日本国内閣総理大臣として、事故発生から2週間ほどの間、それこそ命を投げ出してもなんとかしたいと思ったに違いない。
そして、引用する民間事故調のヒアリングでわかるように、過酷事故が進めば3千万人が避難を余儀なくされ、東日本が長期に居住不能の地になるという絶望を超えた恐怖も味わった。
そのような菅氏が、これからの日本のためには、原理的に絶対安全はない原発に依存しない電力供給構造をつくらなければならないと考えるのは当然である。
菅氏とともに初期の事故対応に当たった枝野氏や細野氏は、現在も原発に濃厚にかかわる大臣の職にあるが、ずぶずぶの原発推進派ではないようにも見える一方、脱原発に向かうための政策を明確にする動きは見せていない。
菅氏は、「脱原発依存」を国会で表明した内閣総理大臣という経歴を持つ与党政治家として、自分の信念と政策を一歩でも前に進める責任があるはずだ。
そして、原子力災害対策本部の本部長として、福島第一原発事故については、総体レベルで誰よりも情報を得たはずである。
脱原発をめざすなら、菅氏は、原発維持派や責任を回避したい官僚機構に乗せられてウソヤゴマカシに手を染めるのではなく、福島第一原発事故は、実状はどれだけ深刻な放射能放出事故だったのか、住民の被曝量増加をやむを得ないと考え放置した理由はなんだったのか、そして、回避はできたけれどそれが不能だったときにどのような惨事が発生する可能性があったのか、事故対応でどのような間違いや失敗があったのかを明確に説明しなければならないはずだ。
民間事故調のヒアリング書き起こしを読むと、菅氏も細野氏も、悪いと思ってウソをついているのではなく、国家のためと思い堂々とウソをついているように思える。
菅氏は、ヒアリングのなかで、「やはり私はこの日本、世界にとっても原発依存しないで十分エネルギー供給ができる世界をつくることが望ましいし、日本をそのモデルの国にできれば、この事故を経験した日本ということのある意味での役割、責任としては一番いい形かなと、こんなことも思っています」と語っている。
その言葉にはウソがないと思う。
ならばこそ、菅氏は、どういう言動が国家国民のためになるのかをよく考え、ごく一部は隠すべきことがあるとしても、ほとんどをありのままに国民に示す責務があると思う。
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福島原発事故独立検証委員会ヒアリング内容
【菅直人前首相】実施日:2012年1月14日
一般財団法人日本再建イニシアティブ
http://rebuildjpn.org/wp/wp-content/uploads/2012/07/97fe55fafbf8b89e7a79ba90deab8b55.pdf
P.4(PDFファイル5頁):菅氏の説明の途中から引用
「これはこれ以上言っていいのかどうか、ちょっと私も迷うんですけども、私も3.11までは、原子力については安全性をしっかり確認しながら活用していこうと、そういう立場で政治家としても行動してきましたし、発言をしてきました。しかし、今回のことを経験して、やはり最悪の状況の中では、10`、20`ということではなくて、もっと広範囲な、首都圏を含むところまでが避難対象になるかもしれないという、そういうリスクを強く感じる時期もありましたので。その後、そのことを含めて考えているわけですが、それだけのリスクに対してどれだけの安全性の準備をすればいいのかということを考えた中で、私としては、一番の安全性は原発に頼らないことではないかと。逆に言うと、原発に頼らないでも済む、いいとか悪いとかじゃなくて、原発に頼らないでも済むエネルギー供給を考えるべきではないか。こういうふうに私なりに結論を持って、総理の時代もそういう方向で少しかじを切ったわけです。私は今の政権も、全く同じかどうかは別として、基本的な方向、つまりは原子力に対する依存度を下げていって、それにかわる再生可能エネルギー等を拡大していっていると。これは実は世界の問題でもあると思っています。今、たしか世界で400基余りの原発がありますが、このままいくと、中国、インド等々を含めて、新興国を中心に相当の原発のプランが出ております。そのときに、果たして日本と同じようなことが起きないか。地震、津波が少ない国が多いですけど、場合によったら、リビアにもし原発があったとしたら、カダフィ大佐が最後に立てこもるのは、私なら原発に立てこもるわけです。(笑)そのときにどう対応できるか。
そういうことを考えますと、やはり私はこの日本、世界にとっても原発依存しないで十分エネルギー供給ができる世界をつくることが望ましいし、日本をそのモデルの国にできれば、この事故を経験した日本ということのある意味での役割、責任としては一番いい形かなと、こんなことも思っています。多少ちょっと範疇を超えたかもしれませんが、そういうことの私自身の見方や思いをお伝えして、冒頭陳述にかえさせていただきます。」
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