http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/827.html
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先ほど、原発板に「自衛隊「化学防護隊」の福島原発事故対応を無視し、3号機のメルトダウンを「物資調達」問題に求めたNHKの犯罪的報道」(http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/821.html)を投稿した。
NHKスペシャル「メルトダウン 連鎖の真相」という福島第一原発事故検証番組に対する批判投稿の前編部の詰めとする内容である。
そのために福島原発事故発生後の自衛隊の動きを追っかけていたら、それを通じて別の問題が浮上してきた。
私自身はたいした問題とは思っていない3月14日夜から15日朝にかけての「東電撤退」問題にも関わっている。
■ 自衛隊の動きから福島第一原発の事故経緯を再検証
自衛隊の動きを読むと、政府がメルトダウン→メルトスルーという事故の進展のみならず、水素爆発も予測していたことがわかる。
当然だが、政府・東電は、事故発生当日3.11夜中の時点で1号機がメルトダウンを起こしていることは認識していた。
決定的な事象は、1号機タービン建屋(中央制御室)で放射線量が上昇したことである。
● 原子炉及び格納容器に関する基本情報
東電及び政府は、今なお、地震で原発設備の配管が損傷したことを認めていない。
そうであれば、主蒸気逃がし(SR)弁開操作や頂部ガス用ベント操作を行わない限り、格納容器の圧力はともかく、原子炉の外で放射線量は上昇しない。
原子炉(圧力容器)は、16cm厚の鋼鉄製であり、溶融した核燃料の温度に耐えることはできないが、圧力に関しては90気圧超の耐圧性能がある。意図的になかの気体を放出するか、メルトスルーが起きない限り、格納容器が高いレベルで放射能に汚染されることはない。
また、ジルコニウム被覆管の健全性が保たれていれば、燃料棒から漏れ出す核分裂生成物の量もたいしたレベルではない。原子炉内であっても、大量の放射性物質が燃料棒から出ているわけではない。ジルコニウム被覆管が壊れ酸化を起こすことが、大量の放射性物質が漏出する前提条件なのである。
格納容器の圧力は、空調が途絶え、ジルコニウム被覆管の酸化が始まり原子炉全体の外周温度が上昇すれば、なかの気体が膨張することで上昇する。
そして、格納容器の圧力が高まれば、蓋の接合部に隙間ができ、軽い気体はそこから漏れ出ることになる。
(但し、再循環ポンプの配管損傷などがないまま、原子炉外面の温度上昇だけでそこまで圧力が上昇するかどうかは未確認)
23:00に1号機タービン建屋で放射線量が上昇したということは、格納容器の蓋の接合部に隙間がある状態で、ジルコニウム被覆管が壊れ放射性物質を含む原子炉内の気体が格納容器に流れ込んだことを意味する。
蓋の隙間は、格納容器の圧力が設計圧の2倍前後の8気圧〜9気圧まで達していたことから可能性を認めることができる。(12日02:45で0.941MPa(絶対圧力で約9気圧))
ところが、NHKが番組で示したデータによると、1号機のメルトダウン時刻は、12日01:09ころとされている。
[各号機のメルトダウン日時]
1号機:3月12日01:09
2号機:3月14日19:01(メルトスルー20:12)
3号機:3月13日10:45
メルトダウンから原子炉の底を溶かし核燃料が溶け出るメルトスルーまでは、1時間ほどの猶予があるから、1号機のメルトスルーは12日02:00以降と考えることができる。
そうであるなら、23:00に1号機タービン建屋で放射線量が上昇したというのが事実なら、原子炉と格納容器の隔離が破れ、原子炉内の放射性物質を含む気体が漏れ出ていたことを意味する。
● 政府・東電は水素爆発も予測していたが、予測のズレが自衛隊員の負傷を招く
自衛隊の動きに関して目を引く記述の一つが、13日17:57の「福島原発で空中散水を目的とした放射線モニタリングを16:15から実施する予定だったが、3号機の水素爆発の危険性を考慮し、モニタリング及び空中散水を一時中止」というものである。
この記述は、結果としては14日11:01に起きる3号機の水素爆発が、前日の段階で予測されていたことを示している。
この記述は、3号機が水素爆発を起こす前の13日18:30版が初出で、下線付きになっているから、爆発後に後付けで書かれたわけではないことがわかる。
※「緊急災害対策本部・原子力災害対策本部レポート3月13日18:30版」
http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/pdf/201103131830.pdf
1号機が12日の15:36に水素爆発を起こしているから、“同じ手順”で事故対応をしていれば、メルトダウンに至った3号機でも水素爆発が起きると予測するのは当然である。
(※ 私は、原子炉内の水素を、意図的に、頂部ガス用ベント菅から建屋に似がしたことが水素爆発の原因だと考えている)
ここで問題にしたいのは、1号機よりも定格出力が大きく、核燃料ジルコニウム被覆管の酸化で生じる水素の量も格段に多い3号機が水素爆発を起こすと予想していながら、住民避難は12日18:25に出された「福島第一原発半径20km圏」のままであったことである。
3号機の水素爆発は、核爆発だったのではとも言われているほど激しいものだった。
オレンジ色の火の玉が二つほど見え、その影響か、水素爆発だけでは考えられない黒煙が噴き上がった。
原子炉内で発生する水素の量から爆発規模は予測できる。建屋に蓄蔵されている可燃物質もわかっているはずである。
それでも、政府は、この情報を住民や国民に対して隠し続けたのである。
自衛隊などは、3号機が1号機のように(1号機を超えるレベルで)推測爆発を起こすと予測しながら動いていたが、20km圏の外にいる住民はそれさえ知らされずに不安を募らせるだけだったのである。
この「3号機水素爆発予測」問題は、これだけにとどまらない。
ご記憶のかたも多いと思うが、3号機で起きた水素爆発では、現場にいた自衛隊員4名が負傷している。(過大な被曝が心配され放医研に運ばれたひともいる)
政府・東電・防衛省は、3号機で発生した水素が、建屋で水素爆発を起こさないまま拡散してしまったと判断したフシがある。
それは、翌14日09:42に「安全性の確保ができたためポンプ車両7両で第1原発3号機に向かう」という記述があるからである。
“安全性の確保ができたため”というのは、水素爆発の危機がなくなったことを意味すると推測できる。
ここからは憶測という話になるが、政府がそのように判断したのは、1号機の水素爆発がメルトダウンから14時間30分後に起きたことに依ったものだろう。
1号機:12日01:09メルトダウン:12日15:36水素爆発:メルトダウンから水素爆発までの経過時間およそ14時間30分
3号機のメルトダウンは、3月13日10:45である。それから15時間後は、14日01:45である。
“安全性の確保ができたため”と判断した14日09:42であれば、メルトダウンから23時間も経過したことになる。
おそらく、実際に3号機に到着する頃は24時間の経過になるから、水素爆発はもう起きないと思ったであろう。
ところが、自衛隊員(中央特殊武器防護隊)が3号機に到着してほどなく11:01に、3号機は水素爆発を起こしたのである。
住民に対してはともかく、自衛隊員に対しては、細心の注意は払っていたはずだ。
1号機は閉じたままだったが、3号機のブローアウトパネルは地震の影響(と思われる)で開放状態になっていることから、この23時間で建屋内の水素が外に拡散し爆発を免れたと判断した可能性が高い。
しかし、ブローアウトパネルの位置から言えば、もっとも軽い物質である水素は、一部は外に漏れ出ても、そう簡単に全部が外に拡散することはない。だからこそ、安全対策の2番目に天井に穴を開けるドリルが持ち出されたのである。
建屋内にあった可燃物質に引火したことが3号機の水素爆発につながった可能性が高いとみている。
※ 2号機、3号機、4号機のブローアウトパネルが地震当日から開いている映像
taked4700さんの投稿「福島第一原発4号機の爆発についての改訂版記事」(http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/578.html)のなかに、
「地震当日の福島第一原発のビデオhttp://www.youtube.com/watch?v=sOy07KDHR1k
*開始50秒程度のところに福島第一原発の2号機、3号機、4号機のブローアウトパネルが開いているシーンが写っている。」
政府は、SPEEDIの情報だけではなく、事故の進展や起こりうる事象についても、情報を得ていながら国民に対して秘匿していたのである。
そのような情報を隠したこと以上の問題は、非難範囲を広げるなど、守るべき国民の生命と安全に寄り添った対策を講じなかったことである。
続いて、もう一つの重大な問題を投稿するつもりである。
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