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かつて執務した官邸に向かって叫ぶ鳩山由紀夫元首相。=20日夕、永田町。写真:諏訪京撮影=
再稼働抗議集会 鳩山元首相が参加「官邸は国民の声を聞かなくてはならない」
http://tanakaryusaku.jp/2012/07/0004746
2012年7月20日 23:27 田中龍作ジャーナル
首相官邸前、午後6時ちょうど。主催者(首都圏反原発連合)の合図で始まった「再稼働反対」のシュプレヒコールに迎えられるように鳩山由紀夫元首相が会場に到着した。日頃は原発のゲの字も言わないマスコミが殺到し現場は混乱した。
揉みくちゃにされながらも元首相は目の前にそびえる官邸に向かって演説した。「私も官邸にいたが、官邸にいると国民の声が聞こえなくなる。今ほど国民の声を聞かなくてはならない時はないのに、声が届いていない」。
20日、金曜夕恒例となった官邸前の「再稼働抗議集会」に元首相が参加したことを、各紙の朝刊はどう伝えるだろうか。同じ民主党政権で元首相が現首相に抗議するということは、自己否定でもある。優柔不断な鳩山さんがよく決断したものだ。よほど腹に据えかねていたのだろう。
歩道はいつものように市民であふれた。『田中俊一、絶対ダメ』のプラカードを持っているのは渋谷区在住の会社員(男性・60代)だ。
田中俊一氏とは政府が原子力規制委員会の委員長に指名した人物。福島原発事故後、間もなく『福島県除染アドバイザー』として飯舘村を訪れ「谷一つ潰せば、貯蔵場になりますよ」と悪魔のように囁いたことで悪名高い。
「御用学者を規制委員会の委員長にするなんて、とんでもない。独立性が尊重されなければならないのに、これまでの保安院と同じだ」。会社員の男性は怒りをぶちまけるように話した。官邸が国民の声に耳を傾けていない証左が、原子力行政の人事にも現れている。
警察は前回同様、歩道と車道の間に鉄柵を置いた。国会議事堂前は横断歩道を渡ることもできない。参加者は移動を厳しく規制されたが、人の列はどこまでも伸びた。
官邸前、国会議事堂周辺の歩道は参加者で埋め尽くされた。だが永田町に参集したのは、氷山の一角であることがわかる。都内の予備校講師(女性・50代)がそれを教えてくれた。彼女は生徒たちの寄せ書きを持参していた―
『僕たちの未来を返してくれ。子供を産んでもいいんですか?…』
「ここまで来ることができない生徒たちの気持ちを持って来た」と話す。
ハイヒールのOL、会社カバンを手に提げた会社員たちが、次々と最後尾についた。「自分たちの健康と生活を守るために、子供たちの将来のために……」再稼働反対に寄せる庶民の願いは、回を追うごとに高まってゆく。
《文・田中龍作 / 諏訪京》
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