65. 2012年7月17日 23:54:11
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<21. 2012年7月17日 08:21:11 : ggpxbLSczT 私は山下俊一を生涯許さないだろう 2011年6月24日の日経新聞は、長崎大学が福島県に「放射線健康リスク管理アドバイザー」として派遣した山下俊一・長崎大教授に対し、地元の福島地方の市民団体などが「山下教授は低線量被ばくのリスクを軽視している」として、同教授解任を求める署名活動をしている件について報道し、長崎大学の片峰茂学長が山下教授の立場を完全に支持するコメントを出したことを伝えている。
この報道によれば、片峰学長は「山下教授は専門家として、原発事故による健康影響を一貫して科学的に正しく発言している」と評価し、「放射線による健康リスクについては様々な見識が流布され、ある意味で混乱の極みにある」と評し、山下教授らが重要な役割を果たしていると強調し、「被爆を体験した大学として支援を続ける」との談話を発表した。 http://hukushimagenpatu.seesaa.net/category/10241955-1.html この日経新聞の報道の通りだとすると、まさに恐ろしい福島の市民団体の態度ではないか。専門家の判断が自分たちにとって気に入らないから、その専門家を解任せよと主張して、署名活動をするというのは身勝手な態度の極みと言わねばならない。 市民団体としては、低レベル放射線のリスクを専門家が強調し、国や自治体がさらに徹底的な対策を取ることが自分たちにとって好都合なのであろう。 健康状態について、深刻に判断する医者ほど患者から信用されるという誤った論理が通用することは絶対に避けねばならない。 ミュンヘンで誕生したヒトラーを指導者とするナチ党が1933年についに全ドイツを支配するに至るまで、ナチはしきりに共産主義者とユダヤ人たちの危険性を誇大に宣伝し、共産党とユダヤ勢力を弾圧することを政権奪取へのバネにした傾向が見られる。 自分たちの気に入らぬ判断を下す専門家の追放を図る福島の市民団体の行動はヒトラーのナチ党が採用した戦略に似ている。 <21. 2012年7月17日 08:21:11 : ggpxbLSczT 彼らは年間100ミリシーベルトまでは大丈夫だと言った。確かに言った。
ある被ばく量になると、将来の発がんリスクが上昇します。将来がんになる危険性が高まるということです。しかし、発がん以外の健康被害はないといえます。つまり、一般市民にとって、「被ばくの問題は、がんの問題」なのです。 今、論争になっているのが、いわゆる「100ミリシーベルト以下の被ばくをどうみるか」ということです。100ミリシーベルト以下だと発がんリスクはきわめて低い、と申しあげます。 その根拠になっているのが、広島・長崎のデータです。より低い線量の被ばくになると、広島・長崎の被爆者を長年にわたって調査した結果をもってしても、発がんのリスクが上昇したというデータはありません。 この100ミリシーベルトより低い被ばくをめぐり、専門家の間でも意見が鋭く対立しています。 放射線から公衆を守る国際的な防護の専門家は、100ミリシーベルトより低い被ばくでも「影響は出る」との前提に立ちます。被ばくがゼロから100ミリシーベルトへと増えるのに応じて、発がんのリスクも上昇するという「直線閾値なし仮説」を採用しています。100ミリシーベルト以下を、ゼロまで直線でつないでいますが、これは科学的な「仮説」ではなく、少しでも被ばくを減らすという「ポリシー」を示したものです。 科学的には100ミリシーベルトより低い被ばくで発がんの増加は確認されていません。 つまり、100ミリシーベルト以上については、科学的データがある。それ以下では、データが足りないのです。これはたとえリスクがあったとしても、データとして検出できないくらいわずかなものだということです。 例えば毎日私たちの食卓にのぼる砂糖やバターで「がんが増えない」という科学的証拠はありません。もっとも、砂糖やバターを毎日のように何キロも食べ続けていたら、がんのリスクはほぼ確実に高まることでしょう。しかし、だからといって日々口にする、ほどほどの量についても「科学的証拠がない」からといって、「がんのリスクが高まる。なぜなら大量に摂るとがんは確実に増えるから」というふうに結論づけられるでしょうか。 証拠がないということは、もちろん科学的なデータをとるのが不可能だからともいえますが、そもそもリスクが極めて少ないからと考えていいでしょう。 直線閾値なし仮説の問題は、科学的データと放射線防護のポリシーを同時に示している結果、両者が混同されがちな点です。 放射線は、100ミリシーベルト以下だろうと、50だろうと10だろうと、危ないものは危ない。被ばくのリスクは低線量に至るまで直線的に存在し続ける。最小限の被ばくであっても、人類に対して危険を及ぼす可能性がある。 ・・・・・こう主張する人たちの根拠となっている「直線閾値なし仮説」は、「仮説」でしかありません。なぜならば、100ミリシーベルト以下のデータが足りないからです。この議論に決着をつけるには、極めて多数の低線量被ばく者のデータを集めるしかなく、それは現実問題として不可能です。例えば、10ミリシーベルトで発がんが増えないと証明するには、500万人のデータが必要になってきますが、もちろんこれはヒトでは不可能です。 しかし、動物を使ってこれと似たような実験が環境科学研究所で行われました。 400日間、同じ環境に住み、同じものを食べるマウス4000匹を用意し、このうち3000匹に放射線を当てました。 3000匹のうち、1000匹(雄雌各500匹)には400日で累計20ミリシーベルトになるように放射線を当て、別の1000匹には同じ期間で400ミリシーベルト、残る1000匹には同じ期間で8000ミリシーベルトと、放射線の量を変えて被ばくさせました。 マウスを使ったこの実験では、雄の場合400ミリシーベルトから8000ミリシーベルトの間(ずいぶん広い範囲ですが)に、影響が出るか否かの境目(閾値)があると考えられます。 人の場合、100ミリシーベルト以上の被ばくになると、発がんリスクは上昇します。つまり、この領域は明らかに「黒」です。よく100ミリシーベルトが境目と思われますが、100ミリシーベルトの被ばくでがんによる死亡率は約0.5%上昇しますから「立派な」黒です。 では、90ミリシーベルトや80ミリシーベルトになれば影響はないかというと、それはわかりません。100ミリシーベルトより低い被ばくの領域も「純白」とは言い切れないのです。 100ミリシーベルトより低い領域のどこかに、白か黒かの境目(閾値)があるのではないか、と思います。人体に有害な化学物質は、ある量を超えて体内に取り込むと、健康への影響が出てくるわけです。これは、塩分にせよ、アルコールにせよ、同じです。放射線も例外ではなく、閾値があるのではないかと内心思っています。 しかし、本当に閾値があるということを、ヒトで証明することはできません。要するに、低線量被ばくで、がんが増えるかどうかを、科学的に明らかにすることは不可能に近いのです。 ただし、100ミリシーベルトの被ばくといっても、発がんのリスクとしては、決して大きなものではないことは間違いありません。むしろ、検出できないくらいわずかな影響だと理解すべきだと思います。 これが、「100ミリシーベルト以下の被ばくでは、発がんの可能性がきわめて低い」と申し上げる理由です。 今のような’有事’において、「100ミリシーベルト以下も危険」と強調することによるデメリットをお伝えしましょう。 それは、原発事故の1カ月後、東京大学医学部附属病院の放射線科のチームとともに、福島県の飯館村を訪れ、現地の様子を見、住民の皆さんの声に接して感じたことでもあります。 私たちの命を危険にさらし、生活を困難にするのは、被ばくによるがんだけではありません。生活が大きく変わることによるストレス(子供の場合でしたら外で遊べない、親御さんたちの不安感による心労など)、不規則な生活習慣(タバコ、飲酒、睡眠不足など)なども、非常に深刻な影響をもたらします。 被ばくの問題は、発がんの問題です。 今、日本人の3人に1人ががんで死ぬ時代です。結核が死因の1位だった戦前、戦中に比べると私たちの暮らしぶりはずいぶん贅沢で、便利なものへと変わりました。肉を食べるようになり、クルマ社会の発達で慢性的な運動不足に陥っています。喫煙、飲酒も増えていますし、仕事や対人関係のストレスなど、がんを誘発する原因は暮らしに溢れるようになりました。 ちなみにタバコを吸うとがんで死亡する確率が男性で2倍、女性でも1.6倍になります。飲酒では毎日3合以上のお酒を飲むと、やはり発がんリスクは1.6倍ほど上昇します。本気でがんを減らすなら、タバコを吸わず、お酒を控え、野菜をたっぷり摂り、肉と塩分を控えめにすることです。適度な運動で肥満を防ぐことも大切です。 私が申し上げたいのは、100ミリシーベルト以下という、科学的なデータによる裏付けもない領域についても、「危険」と強調し続け、ストレスを抱えて生活習慣が悪化すると、かえって発がんのリスクを高めかねないということです。 小さなお子さんのいる親御さんの心配はよくわかります。たとえわずかな放射線であっても、できるだけ子供を遠ざけたい。もちろんそれが簡単に叶うならば、それに越したことはありません。しかし、運動不足は、100ミリシーベルト以上にがんのリスクを高めます。 私は福島県飯館村の高齢者施設を訪れました。ここは入居者の年齢は平均年齢80歳で、なかには100歳の方もおられました。職員から話を伺うと、「かえって避難させることのデメリットが大きい」という結論に達しました。慣れない場所へ移り、新しい環境の中でストレスを抱えて生活するデメリットはいかばかりでしょうか。(なお、ここの年間放射線量は10ミリシーベルト以下です)。 福島県内の老人ホームに入居している高齢者が、避難を行うと、死亡率が通常の3倍にも達します。一方、100歳の方に100ミリシーベルト以上の被ばくでがんができるには、20年もかかります。このような現地の状況、そして生活を変えることがそう簡単にできない多くの家族のまなさんのとこを思うと、遠く離れた東京から「100ミリシーベルト以下でも危ない」とばかり強調することのデメリットを感じずにはおられません。 実際、直線閾値なし仮説を提唱する国際放射線防護委員会(ICRP)も、その報告書のなかで、「10ミリシーベルト以下では、大きな集団でもがんの増加は見られない」としています。’哲学領域’である100ミリシーベルト以下の線量ではありますが、さすがに、10ミリシーベルト以下では、’科学的に’見ても、まず大丈夫だろうと言っているわけです。 |