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中央に見えるドーム型の物体が格納容器。その右側に、1535本の核燃料が入った燃料プールがある。そうした大量の核燃料を、東電は2年間で取り出すという〔PHOTO〕桐島 瞬
装置故障で核燃料が冷却不能になる異常事態が、30時間以上も続いていた フクシマ4号機の屋根が、消えた!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33003
2012年07月13日(金)フライデー :現代ビジネス
福島第一原発の作業員が、不安げな表情で打ち明ける。
「4号機は現在、屋根がなくなり格納容器が剥き出しの状態です。1535本の核燃料が入っている燃料プールも、上部にかけられた網以外に保護する物すらない。もし大きなトラブルが起きたらと考えると、背筋が凍ります。1000本以上の核燃料が溶け、想像を絶する量の放射性物質が放出されても防ぐ手立てがないんです。日本中の人々が、超高濃度の放射能に晒されることになります」
東京電力は現在、4号機の解体作業を急ピッチで進めている。使用済み核燃料を取り出す作業を、来年12月から開始するという工程を守るためだ。すでに屋根は完全に撤去され、最上階の5階部分も一部の柱を残して取り除かれている。
だが6月30日午前6時過ぎ、作業員が危惧するような恐ろしいトラブルが、内部が剥き出しになった4号機で起きた。燃料プールの使用済み核燃料が、冷却不能になってしまったのだ。原因は電源装置の故障。電源を失ったため、稼働していた冷却システムだけでなく、予備のシステムまで起動できなくなってしまった。代替のポンプを使い翌日午後3時過ぎに冷却は再開されたが、実に30時間以上にわたり冷却不能の状態が続いたのである。
一つ間違えば大惨事になりかねないトラブルに危機感を募らせるのは、京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏だ。
「東日本大震災後の事故では、広島に落とされた原爆168発分の放射性物質が飛散しました。私が独自に計算したところによると、4号機の使用済み核燃料が冷却できなくなり溶解すると、被害はその30倍になる。つまり、原爆約5000発分の放射性物質が拡散するのです。福島、茨城両県はもちろん、首都圏全域の住民が避難を余儀なくされるでしょう」
これだけ危うい事故を起こしたにもかかわらず、東電の認識は相変わらず甘い。
「6月30日のトラブルは、UPSという電源装置の異常のためです。冷却装置停止時のプールの水温は33・3℃で、再開時は42・9℃。原子力安全・保安院の規定上限の65℃には達しませんでした。計算上65℃になるには、60時間かかります。30時間ほどでの再開は、適切に対応できたためと考えています」(広報部)
自分たちの措置を誇らんばかりの回答である。こうした東電の悠長な態度に、元東芝の原子炉格納容器設計者・後藤政志氏が怒りを露にする。
「問題は冷却不能という重大なトラブルが起きても、すぐにバックアップできる機能を4号機が持っていないことです。水温が保安院の上限に達したか達しなかったかなど、重要なことではない。東電は保安院の規定に抵触しないことだけを考えて、冷却システムを構築しているのでしょう。そんなシステムでトラブル対応しているのは、非常に危険です」
4号機のプールでは、6月4日にも循環水ポンプの故障で冷却停止になる事故が起きたばかり。東電が対策を見直さなければ、再び大惨事がおきかねない。
「フライデー」2012年7月20日号より
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