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桃見台公園に埋設された汚染土砂(昨年11月初旬)
郡山市のずさんな放射能汚染土砂処分の実態、子どもが遊ぶ公園にもひそかに埋設
12/07/10 | 00:03 東洋経済オンライン
http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/c8f27c3780665edce9de6ae1521223d2/page/1/
福島県郡山市内の公園やスポーツ広場、河川敷など21カ所に、広範囲にわたる除染作業で発生した放射性物質を含んだ大量の土砂や側溝の汚泥がひそか埋設されていることがわかった。埋設場所は明示されておらず、公園やスポーツ広場では事情を知らない子どもが遊んでいる(写真1)。
公文書開示請求の手続きを通じて土砂埋設の事実を知った住民から不安の声が湧き上がっており、市議会でも除染作業や土砂の管理体制がずさんだとの批判が相次いでいる。
■写真1 子どもたちが遊ぶ桃見台公園(7月4日)
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環境省が昨年12月に策定した「除染土壌の保管に係るガイドライン」(以下、ガイドライン)では、市町村やコミュニティ単位で設置した「仮置き場」に該当する場合、柵を設けて立ち入りを禁止し、さらに掲示板を設置して保管場所である旨を明記するとともに、空中の放射線量の測定や地下水に含まれる放射性物質を監視するための井戸の設置および地下水のモニタリング実施が求められている。
郡山市の「放射性物質除染マニュアル」(2011年10月策定)でも、「地下埋設による一時保管」の場合、「人が立ち入ることのないように囲いを設け、放射性物質を含む土砂等を埋設する旨を表示します」と記されている。
ところが、除染マニュアルを定めた郡山市自身が柵や掲示板の設置、埋設地点での定期的な空間線量の測定や地下水に含まれる放射性物質のモニタリングを行っておらず、除染前と除染後の公園内の空間線量の測定結果が公園の入り口に掲示されているにすぎないことが判明した(写真2)。大量の土砂や汚泥を埋めた事実自体も公表していない。
■写真2 田向公園の入り口の掲示板。埋設の事実は記載されていない(6月6日)
http://lib.toyokeizai.net/public/image/2012070901004145-8.JPG
周辺地域の除染作業で発生した土砂や汚泥が公園などに埋設されている事実は、たまたま除染作業を目撃した近隣住民が疑問を感じて、郡山市に公文書の開示を請求したことで判明した。東洋経済記者が住民を通じて入手した市の文書(写真3)によれば、郡山市が除染活動を実施した町内会などに補助金を出す「線量低減化活動支援事業」に関連して「不適切な保管」の疑いが持ち上がったのは21カ所(下表参照)に上っている。
市の文書によれば、昨年10月3日までに除染が実施された喜久田スポーツ広場には960立方メートルもの放射性物質を含む土砂や汚泥が埋められており、そのうち市の補助金に基づき住民が自主的に除染活動を行う「線量低減化活動支援事業」によって埋められた土砂が160立方メートルに達している。
また、昨年11月18日までに土砂の埋設が完了した桃見台公園では、近隣住民への説明会が実施されないまま、「市および業者により、軽トラック5台、水中ポンプ2台、ダンプ4台、ふた上げ機20機、土嚢袋1000枚」などという大掛かりな作業が行われていた(写真4、5、6)。
その一方で、「説明会を開いてほしい」との住民からの電話での要請に対して、市の担当者が「除染作業の主体は市ではなく町内会なので預かり知らない。今回は時間的余裕がないので周辺住民への説明会はしない」と答えていたことも、住民による電話の録音記録で明らかになっている。
放射性物質汚染対処特措法(以下、特措法)および同法に基づくガイドラインが施行された今年1月以降も、柵の設置や埋設した事実を示す掲示板の表示もないまま、島中央公園など8カ所に土砂や汚泥が持ち込まれていることも市の開示文書でわかった。
■郡山市線量低減化活動支援事業で発生した土砂の保管場所と保管状況
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■写真3 郡山市の「除去土壌等保管台帳」の一部
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■写真4 住民による側溝の除染作業(昨年11月初旬)。被曝の危険と背中合わせだ
http://lib.toyokeizai.net/public/image/2012070901004145-6.JPG
■写真5 桃見台公園に埋設された汚染土砂(昨年11月初旬)
http://lib.toyokeizai.net/public/image/2012070901004145-5.JPG
■写真6 桃見台公園近くでの除染作業(昨年11月初旬)
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このような保管の方法で問題はないのか。郡山市の原子力災害対策直轄室の本田文男・防災計画推進担当(危機管理課長)は、「福島県と協議したうえで、現場保管に該当すると判断したので囲いや表示板は設けていない。現場保管に当たるので(地下水のモニタリングのための)井戸の設置の必要もないと考えている」と語る。
公園を管理する公園緑地課の椎根係長は「遮水シートを敷き詰めているので放射性物質の地下水への漏出は起こらないと思っている」などと、東洋経済記者の取材に答えている。
次に記者が県に問い合わせたところ、「(広範囲の除染作業で生じた土砂の埋設についても)環境省から現場保管の扱いでよいとの回答を得ている」(菅野信志・福島県除染対策課主幹)との説明があった。そこで環境省の福島環境再生事務所に尋ねたところ、「環境省本省とのやり取りを通じて現場保管の扱いでよいと県に答えた」と、当時の担当者(現在は別の部署に在籍)がやり取りの事実を認めた。
ただ、記者が環境省本省に問い合わせたところ、いつ誰がそのように答えたのかの記録はなく、福島環境再生事務所の担当者も本省とのやり取りの内容は、うろ覚えであることが明らかになった。
本省の湯浅翔・除染チーム主査は東洋経済の取材に「何でもありという考えは持っていない。ただ、郡山市での土砂埋設の実態については把握できていない」と語っている。
広範囲にわたる除染で発生した土砂や汚泥を埋めたにもかかわらず、除染した土砂や汚泥を発生場所で埋設する「現場保管」として扱っていいとすると、管理体制が際限なくルーズになるおそれがある。
というのも現場保管の場合、看板や囲いの設置、継続的な空間線量の測定や水質検査が環境省のガイドラインで免除されているためだ。管理の方法がずさんだった場合、放射性物質を含んだ汚泥が地下水に混入するなど、放射性物質が拡散する可能性もある。
環境省と県の間でいったいどのようなやり取りがあったのか。なぜ現場保管として認めたのか。開示された行政文書を元にたどってみる。
住民が入手した福島県の行政文書は「電話発信票」(11年12月19日および20日分、写真7、8)で、件名は「仮仮置き場について」。この文書には次のような記述があった。
「市町村除染計画において、一部の市町村で除去土壌を発生場所から仮置き場の間に一時仮置き場(以下、仮仮置き場)を設置する事案が出てきたため」
〈以下、(県による)聴取内容〉
【(県の)除染対策課】
「(1)仮仮置き場について、(国からの交付金で県が設けた)除染基金の対象となるのか」
「(2)基金対象となる場合、法的な取り扱いは『除去土壌の保管に係るガイドライン』に示す『現場保管』か『仮置き場』のどちらか」
「また、現場保管は特措法39条『当該除去土壌等に係る土壌等の除染等の処置を実施した土地」の扱いとなると思うが、『除去土壌の保管に係るガイドライン』では『除去した現場等で保管する形態』という表現となっており、具体的にはどういったケースが現場保管となるのか」
これに対して、環境省福島環境再生事務所の除染対策チーム担当者は次のように答えている。
【環境省除染推進チーム】
「仮仮置き場は基金の対象となる」
「この場合、車で数分程度の範囲または同一集落等であれば、『除去土壌の保管に係るガイドライン』の『除染した現場等』に準じた『現場保管』として扱う」……(以下略)。
■写真7 環境省とのやり取りを記した県の「電話発信票」
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■写真8 「来庁者調書」では県と郡山市のやり取りが記録
http://lib.toyokeizai.net/public/image/2012070901004145-2.JPG
「仮仮置き場」は耳慣れない言葉で、特措法や環境省のガイドラインでは記述がない。だが、汚染土砂の中間貯蔵施設や仮置き場の選定が周辺住民の反対で難航する中で、県は現場保管と仮置き場との間に位置する「一時仮置き場」「仮仮置き場」という新たな概念を考案した。
そのうえで、「車で数分」という広範囲にわたる除染を実施した場合でも「現場保管に当たるので掲示板や柵の設置、地下水のモニタリングなどは一切不要」という言質を環境省の担当者から引き出した。そして「現場保管と見なしていい」との見解を県を通じて得た郡山市では、特措法が施行された今年1月以降も引き続き広範囲な除染を実施した場合でも、一切の表示をしないで済ませている。
だが、表示をしない場合、何も知らない住民を被曝リスクにさらすことになりかねない。
環境省が今年5月11日付で都道府県宛に出した通知では、特措法に基づく除染実施計画策定前に実施された除染作業で発生した土壌や廃棄物について、特措法の規制対象にはならないものの放射性物質を含むことから、「特措法やガイドラインに沿って対応することが望ましい」とされている。
郡山市の場合、中間貯蔵施設や仮置き場の設置場所が決まっていないことから特措法に基づく除染実施計画はいまだに策定されていないものの、特措法やガイドラインの趣旨が補助金を得て実施される除染作業に及ぶことは通知からも明らかだ。
とはいうものの、環境省が広範囲の除染の場合でも埋設土砂は「現場保管として取り扱う」という見解を示したことから、通知そのものが形骸化している。
郡山市では今年度の線量低減化活動支援事業に関する町内会からの申し込みを6月から受け付けており、再び公園やスポーツ広場に放射性物質を含む土砂や汚泥が持ち込まれる可能性が出てきている。
加えて問題なのは、不適切な除染作業であっても、国の補助金が県を通じて市町村に交付される仕組みが維持されていることだ。川田龍平参議院議員(みんなの党)の質問趣意書への環境省の回答によれば、福島県の補助事業として市町村単位で実施されている線量低減化活動支援事業に関し、11年度に国が県に交付した補助金額は約180億円に上る。県は基金を設けたうえで市町村に配っている。ずさんな管理を見逃している責任の一端は環境省にもある。
郡山市の対応については市議会でも疑問の声が出た。滝田春奈市議は「汚染土砂を埋めた事実を示す表示がいまだにないのはなぜか」と6月20日の定例議会で質問したが、「地域内で保管する場合は『現場保管』に該当する(ので表示する必要はない)」(鈴木茂清・原子力災害対策直轄室室長)などと市側は答弁している。
東洋経済記者に前出の本田・郡山市原子力災害対策直轄室防災計画推進担当は、「公園内に囲いや表示をすると利用に支障が生じかねない」として、住民への周知については否定的な姿勢を貫く。
さらに驚くべきことに、前出の椎根・公園緑地課係長によれば、「住民が持ってきたもの(=土砂や汚泥)をうち(=公園緑地課が管理する公園)で埋めただけ。埋設許可というものは特に存在しない。持ち込んだ土砂に放射性物質がどれだけ含まれているかはわかりかねる」などと言い、責任の所在があいまいになっている。
環境省のガイドラインには「自宅や学校等の敷地で行われる現場保管等については、囲いや掲示板について特段の措置は不要です」との記述があるが、「等」が何を意味するかについては一切の記述がない。
その「等」が拡大解釈されて「車で数分」までの広範囲の除染土砂の扱いが現場保管でよいとされたことにより、郡山市ではずさんな管理がまかり通っている。そして、公園やスポーツ広場では埋設の事実を知らぬ子どもが走り回っている。
(岡田広行 =東洋経済オンライン)
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