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官邸前 再稼働撤回の訴えを空撮(東京新聞)
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7月6日 東京新聞「こちら特報部」 :「日々担々」資料ブログ
大飯原発再稼働の撤回を求める毎週金曜日夜の首相官邸前デモ。参加者が回を重ねるごとに膨れあがる巨大デモの真実を多くの人に知ってもらいたい−。先月二十九日、こんな思いでフリージャーナリストらが自らヘリを借り切り、ビデオや写真撮影してインターネットで配信するなどの空撮プロジェクトを行った。それは「民意」を正しく報道しようとしないメディアとの戦いでもあるという。 (上田千秋、秦淳哉)
「地下鉄の出口からどんどん人が出てくる。これほどの熱気とは思っていなかったですよ」
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)に所属する写真家の野田雅也さん(37)は五日、いまだ興奮冷めやらぬ様子でヘリから見た首相官邸前の様子を話す。
二十九日午後五時前、ヘリは東京・新木場の東京ヘリポートを飛び立った。最初は俳優の山本太郎さん(37)が乗り込み、官邸前の状況をビデオ撮影でリポートして一時間後にいったん帰還。日没前の午後七時前に再び離陸し、今度は野田さんがスチール写真を撮りながらリポートするため官邸前に向かった。
「前回のデモより少し多いぐらいだろう」。そんな野田さんを霞が関上空で待ち受けていたのは、ものすごい数の人たちがゆっくりと官邸に向かう姿だった。ペンライトや携帯電話の明かりが連なり、「福島を返せ!」などと書かれたプラカードが揺れる。
霞が関から官邸前で浮かび上がる人の波や群れを三十分ほど撮影し続けた。「ちょうど帰宅ラッシュの時間に重なり、デモに参加しなかった人にもこれほどの人が再稼働に反対しているという現状は伝わったはず。あのエネルギーが官邸に届かなかったはずはない」
ヘリの手配をしたのは同協会共同代表でジャーナリストの綿井健陽(たけはる)さん(40)。作家の広瀬隆さん(69)から空撮プロジェクトを依頼され、「正しい報道ヘリの会」を設立。実際に動きだしたのは二十九日のデモの一週間ほど前。それからは綱渡りのような作業が続いた。
ビデオカメラを手で持つとぶれてきれいな映像が撮れないため、カメラが搭載されているヘリを探したが、予約済みなどで空いていない。デモの三日前にようやく借りられることが決まったものの、今度は撮影した映像を再生する特殊なデッキが見つからない。
映像の配信を手掛けたNPO法人「アワープラネットティービー」の白石草(はじめ)代表理事は「取引先のレンタル業者も持っていなかった。デッキが借りられないと編集プロダクションなどに持ち込まなければならず、ネット配信までかなりの時間がかかるところだった」と振り返る。
付き合いのある技術会社が何とかデッキを探しだし、当日午後七時ごろには、山本さんが乗り込んだ前半部分の映像を同法人とネットメディア「IWJ」が配信した。
ヘリを一度ヘリポートに戻したのも速やかに映像を流すためで、綿井さんは「最初は、映像を見た人がデモに駆け付けられるようにと生中継を考えていたが、航空法の規定で無線が使えず映像は流せない。それでも前半の映像でデモを知って官邸前に向かった人もいたかもしれない」と話す。
大飯原発再稼働をめぐるデモは三月二十九日に始まり、先月二十九日で十四回目と今や一大イベント。報道関係のヘリも飛んでいたが、大手メデイアが状況を十分に伝えてきたとは言いがたい。
綿井さんは「今回の行動の背景にあるのは、『これほどの人間が集まっているのにどうして報じないのか』というメディア不信。ならば自分たちでやればという発想になった」。今回の空撮した映像と写真は「資料として広く使ってもらえたら」と、非営利目的であれば誰でも無料で利用できるようにした。
ヘリを飛ばして国民に何が起きているかを伝えようと“空中戦”に挑んだ「正しい報道ヘリの会」。とはいえ、資金が必要だ。広瀬さんは城南信用金庫営業部本店に口座を先月二十七日に開設し、「有志は、酒一杯分のカンパを」と呼び掛けた。「五十万円集まれば…」との思いだった。
ところが知人らに送ったメールは、あっという間に日本各地に広がっていった。大飯原発3号機の再起動に踏み切った翌日の今月二日、広瀬さんは城南信金の支店で通帳に記帳すると、一冊目では記入し切れない。
窓口で新しい通帳作成を依頼すると、信金職員から「大変な量なので二十分か三十分かかります」と言われた。手にした五冊目の通帳を見て、驚いた。繰越残高は七百八十七万八千九十八円。
その後も増え続け、五日時点で約八百六十万円に上る。「振り込んでくれた人の名義を確認して涙が止まらなかった。ほとんどは私が知らない人。これが大飯原発を止めていく意思だと感じた」と広瀬氏は語る。
ヘリのチャーター代や、スタッフへの支払いなどは百五万円。残った金額のうち五百万円を、福島原発事故の被害を受けた県民約千三百人が刑事告訴した「福島原発告訴団」にカンパした。
だが二十九日のデモの際、野田佳彦首相は「大きな音だね」と警護官(SP)に話し掛け、「再稼働反対」の思いは届かなかったようだ。広瀬さんは「国民の代表が国会議員。その中から選ばれる総理大臣が、国民の声に動じないのは普通じゃない」とあきれる。
批判の矛先は既存メディアにも。「(アラブの春が起きた)エジプトなどや(反貧困で若者が集まった)米ウォール街のデモは伝えながら、自分の国で起きているデモの取り上げ方が少ない。テレビがひどいが、新聞も小さな囲みやベタ記事程度。国民の怒りを伝えるという本来の役割を、報道が果たしていない」
報道不信がきっかけとなったヘリによる撮影。
今月十六日には東京・代々木公園で大規模な「さようなら原発10万人集会」があり、これもヘリで撮影する予定だ。
綿井さんは「ひと昔前なら、ヘリで空撮なんて新聞やテレビでしかできなかった。原発事故以降、市民の力で独自の特色が出るようになった。他の地域にも広がっていくのでは」と言う。
広瀬さんは「報道機関が、再稼働に怒る国民と電力会社の橋渡し役を務めてほしい。事実上破綻した東京電力は別だが、再稼働は電力不足が原因ではなく、電力会社の経営破綻防止が目的。われわれは誰も電力会社をつぶそうとは思っているわけではない」と、こう呼び掛けた。
「危険な大飯原発を止めれば暫定的に電気料金の値上げをのみ、いったん引き下がることもできる。大事なのは原発をどう止めるかで、お互いが考える段階に来ている」
<デスクメモ> 自分の思いや主張を訴えるデモは「非暴力行動」だ。霞が関から官邸前までの歩道は身動きができず、参加者があふれて広がった。一部の車道は車一台が通れる幅しかない。警察官が車をゆっくりと誘導する。そんな理性ある抗議行動を「音」という首相は失格だ。国民の思いが届くまで続くだろう。 (呂)
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