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福島原発・最高幹部の警告 東京電力「最終報告書」は噴飯ものだ
週刊朝日 2012年07月06日号配信掲載) 2012年6月28日(木)配信
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/asahi-20120628-01/1.htm
東京電力が6月20日、福島第一原発の事故調査について「最終報告書」を公表した。その内容は、新聞各紙も報じたように「責任逃れ」そのものである。いったい彼らは事故から何を学び、どう責任を取り、どう将来につなげていくつもりなのか。本誌でおなじみ、福島第一原発(フクイチ)最高幹部が警告する!
まずは言っておきたいことがある。先日、フクイチの原発事故を取材する記者から、本誌にこんな情報がもたらされた。
「東電側は、週刊朝日が報じている『最高幹部』は、絶対にうち(東電)の人間じゃないと言ってますよ。原発にかかわる東芝や日立の現地事務所の“最高幹部”だというんです」
まったく呆れて言葉が出ない。何を言うかと思えば、本誌が考えもつかなかった詭弁である。改めて言っておくが、「最高幹部」とは紛れもなく東電の人間だ。
本誌が事故直後からこの最高幹部の証言を再三、報じてきたのは、二度とこのような悲惨な事故が起きないように、そしてその教訓を未来に役立てるために、いま原発で起きている“ありのままの姿”を伝えることが重要だと考えたからだ。
それが、当事者である東電がその言葉を真摯に受け止めるどころか、言い逃れに汲々としているというのだから、つくづくこの会社の体質をよく表している。
最高幹部も、呆れながら本誌にこう語った。
「私が誰なのか、まだ本店(東電本社)が犯人捜しをしているようですね。協力会社の幹部じゃないかという話があるのですか。笑ってしまいますよね。そんな暇があるなら避難者の方々のおわびに現地へ行くべきですよ」
なぜこの話を冒頭に書いたのかといえば、東電が公表した福島原発事故の「最終報告書」にもまた、この“言い逃れ”体質がよく表れているからである。
この社内事故調査委員会による「最終報告書」は、資料も含めて厚さ10センチを超す“力作”だ。しかし、そこで並べられているのは、当事者とは思えない無責任さと、反省のない言葉ばかり。最高幹部はうつむきながら、こう切り出した。
こんな恥ずかしい内容の報告書しか出せない会社が、電力供給という国民生活に直結する重大な任務を負っていていいのか──そう感じました。自己責任を回避し、謝罪もない。情けないばかりです。
調査委員会は、委員長の山崎雅男副社長を始めとした東電役員らで構成されていますが、言ってみれば、事故を起こした犯人です。自分たちが犯した犯罪を自分で調査、検証している。そこで話し合われることなんて、次からどうすれば完全犯罪を成立させることができるか、ということでしょう。
調査委員会には、サポート役として多くの東電社員が投入されたという。その一人が、本誌の取材に内情をこう打ち明けた。
「最初から結論が決まっていました。事故原因は大津波で、事態が悪化したのは、口出ししてきた官邸の責任。先に結論があって、調査しているのです」
実際、最終報告書には信じがたい主張が並ぶ。
東電は震災前に、10メートル以上の津波に襲われる可能性があることを予測し、その場合、電源喪失の危険があることも予見していた。しかし、最終報告書は、
〈実際には今回のような大きな地震や津波がくるとは想定していなかった〉
〈(巨大地震は)どの地震関連機関も考えていなかった〉
〈知見を超えた巨大地震・巨大津波〉
などと繰り返し、津波対策の不備については〈結果的に備えが不十分〉だったと書いた。
さらに、事故当時の「官邸の介入」について、報告書は吉田昌郎前所長を登場させた。〈吉田所長の意志〉のタイトルで、
〈菅(直人)総理の言動について「極めて高圧的態度で、怒りくるってわめき散らしている状況だった」と記憶している〉
などと批判した。
東電は震災前に10メートルを超す津波を予測していた。だが「試算」と突っぱね、原子力安全・保安院も早急な対策を要求していなかった、と書いた。どんな手段を使っても正当化するのです。
言うまでもなく、巨大地震を巡る研究は日本中で進められていることで、どこに知見がなかったといえるのか。こんなウソを堂々と書いた報告書など、まったく信用が得られませんよ。
さらに許し難いのは、本店の自己弁護のために吉田前所長の証言を使っていることです。吉田前所長は良かった点、ダメだった点をはっきり分けて説明したと聞いた。報告書では、証言の都合のいいところだけ書いているが、すべて書くべきじゃないのか。
報告書ではさらに、事故当初は決して認めようとしなかった原子炉の「メルトダウン」について、〈炉心溶融を認めず/事態を矮小化しようとしたとの指摘について〉の項目でページをさいて、こう述べている。
〈「炉心溶融」や「メルトダウン」といった用語については言葉の定義自体が共通認識となっていない〉
その上で、「もともとメルトダウンを否定していない」「当時は情報が少なかった」などと釈明している。
当時の現場と本店のやり取りの中で、どれほど「メルト」という言葉が出たことか。ずっと、「燃料棒を冷やせなければメルトする」という認識でやっていたじゃないか。「言葉の定義」「情報が少ない」というのは、単なる言い訳です。あの時点で、本店が事故を小さく見せたがっていたのは「メルトダウン」という言葉以外にもたくさんある。問題をすり替えて、ごまかしています。
これまで何度も指摘してきた「情報公開」は、いまもって不十分です。たとえば、事故当時の現場と本店のやり取りはビデオに録画されている。記者会見でも、その公開を求められたようだが応じてない。
当時、現場は生きるか死ぬかの瀬戸際で、必死だった。私は、極限に追い込まれた状況を見てほしいと思っている。これは後世に残る資料です。オープンにして検証してもらえば、最終報告書の記述が正しいのか、はっきりするじゃないか。都合のいい情報は出して、悪い部分は隠す。フクイチの廃炉までに何十年もかかるのに、いつまでたっても信用されません。
そして、この最終報告書で何よりも問題なのが、反省がうかがえないことだ。
報告書では、
〈当社(東電)を含めて関係者は大いに反省すべき〉
との記述があるが、いかにも他人事である。
この「含めて」という言葉は、官邸や政府機関へのあてつけとしか思えません。事故が拡大したのは、自分たちよりも国が悪いと言いたいように読めるでしょう。それどころか、報告書は「懸命」「必死」「一丸」などの言葉を駆使し、頑張ったことのPRに腐心している。責任を免れないポイントでは、「結果的に」「考えられる」などと、まるで評論家のような言い回し。最終報告書は国やマスコミ向けではない。国民に向けてのものです。いちばんの当事者なのに、この期に及んで責任を回避しようとする神経が理解できません。
しかも、当時の幹部たちは結局、天下りです。清水正孝前社長は富士石油の社外取締役になり、勝俣恒久会長は日本原子力発電の社外取締役に再任。テレビで「電気料金値上げの理解を」と触れ回っていた高津浩明常務も、関連会社の東光電気社長になる。これじゃあ、値上げの理解などとうていされない。避難者は仕事がなく、今日明日の生活すら見通しが立たないというのに、話になりません。
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