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「やや危険地帯」のお子さんを守るには パート1
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平成24年6月26日 武田邦彦(中部大学)
【362】 「やや危険地帯」のお子さんを守るには パート1 / 武田 邦彦
1時間に0.11マイクロシーベルトですと、普通の地方は自然放射線がこのうち0.04マイクロシーベルト含まれますから、0.07マイクロシーベルトが憎っくき福島原発からの放射性物質です。この場合、8760時間をかけると1年に0.6ミリシーベルトになり、内部被曝を押さえれば何とか1年1ミリに押さえることができます。
ところが、場所によって0.15マイクロシーベルトの場所があったり、2011年に少し多く被曝したのではないかとご心配になる「やや危険地帯」にお住みのお母さんが2年目に入り、いろいろな問題で迷っておられます。そこで、日常的なことで少し整理をしてみました。
● 全体の放射性物質の動き
2011年4月 福島原発からでた放射性物質(目に見えない小さな粉・・・以下「赤い粉」と言う)が空から降ってきた時代。被曝は大人も子供も平等で空気中に浮かんでいる、ヨウ素、セシウム134,セシウム137の粒からの放射線で被曝する。原発からの距離とは無関係。
2011年5月 空気中の赤い粉が地面に落ちる。地面の赤い粉からでる放射線で被曝するので、子供の方が被曝する時代。赤ちゃんはだっこする必要がある。地面に落ちるときに川に落ちれば水道が汚れ、ほうれん草の上に落ちればほうれん草や牧草が汚れる。
2011年6月 ヨウ素131が無くなり、セシウムだけになる。アスファルト、コンクリートのところは雨で流されて側溝に流れる。浅草の空間線量は0.08で側溝が10マイクロシーベルトという時期。
2011年7月 牧草を食べたウシが汚染される。おそらく牛乳もこの時期にはかなり汚染されていたと考えられる。芝生や公園の藪が汚れている時期。
2011年8月 海に流れたセシウム、ストロンチウム、プルトニウムがサカナに移動。汚染された底魚や海藻、貝類が汚染される。海流は千葉沖から北海道までを汚染させた。
2011年9月 土にしみこんだり森を汚染したセシウムがキノコや竹に移りだす。やや地中にしみこんで来たので、空間線量は減少する。食材の汚れが本格的になり、収穫時期のコメが汚染され始める。
2011年10月 土の上に一度落ちた「赤い粉」が風に巻き上げられて再飛散したり、除染した水が川に流れて川が再び汚染された時期。再飛散は6ヶ月ぐらい続く。
・・・・・・・・・
そして、原発事故から1年数ヶ月が経った今、私たちが子供を守るためにはこの「赤い粉」がどこに移動していっているのかをイメージする力が要る。放射性物質だから「赤い粉」は増えることもなく減ることもない。場所が変わるだけだ。だから「線量が減った」というのは「どこかがそれだけ増えている」と言うことに過ぎない。
● 食材
全体として悪徳業者が減って、柑橘類、川魚、千葉沖から北のサカナ、椎茸タケノコ類以外は今のところそれほど危険ではない。
唯一大切なのは、福島の浜通、中通り以外のところは、「20種類ぐらいの食材を外国産を混ぜて購入し、数日をかけてまんべんなく食べる」ということをすれば1キロ40ベクレルを超えることはない。
朝昼晩とご飯のご家庭は朝をパンにする、時にはうどんを食べる、肉も時にはオーストラリア産のものを食べるなどバラエティをつけると平均が40ベクレルを超えない。
● 線量のバラツキ
「均一に汚れていた時代から、全体は下がってきたけれど部分的に高い時期」に変わった。赤い粉の個数は変わらないが、下水、芝生、森林、交通の激しいところの個数が増えている。
0.1マイクロから0.2マイクロ程度の汚染の場合、測定器を向ける方向によってかなり違う値が得られる。かつては汚染が均一だったから測定器をどこに向けても同じような値が得られたが、今では測定器の「視野」(立体角)・・・つまりどこが測定範囲に入っているのか・・・によって値が違うようになった。
測定の範囲に部分的に高いところがあると、そこの影響を受けて0.15などになり、そのスポットを外れると0.10になるという具合である。だから何回か測定して、「おおよそこの辺はこのぐらい」という感覚をつかむのが一番、良い時期でもある。
それでも文科省の測定値は意味が無いので、自分で測定した方が良い。文科省は今でも地上10メートルとか15メートルで測定しているが、これは「外国や福島から放射性物質が降ってきたとき、空気中にある赤い粉(放射性物質)からの放射線を受けるので、地上15メートルでも良い」ということだからだ。
今頃は地表に放射性物質があるし、そのそばを子供が歩いているのに、それにも関係なく地上15メートルではかって「放射線量をはかっている」というのはずいぶん「図太い表現」、「誠意のない意味の無い役所」とも言える。
少し長くなりましたので、また読者の方からのご質問が多いものをパート2で書きます。
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