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桐生広人2008/07/08
再開した途端に停止した日本原燃の再処理工場ガラス固化試験。6月30日に、核燃料サイクル安全小委員会は日本原燃の試験再開に向けた報告を妥当と評価し、原子力安全・保安院も再開を了承したことで7月2日に試験が始まった。美浜の会の小山英之さんは「ガラス固化試験の再開は絶対認められない」として、ガラス固化技術の本質的欠陥を明らかにした。
日本 事故 防災・復興
(前回記事:ガラス固化再開直後、装置の故障?でまた停止)
安全小委員会に報告された日本原燃の新たな運転方法について「何ら効果的な対策がとられておらず、報告書はガラス固化試験の重大な欠陥を明らかにしている」として再処理に反対する市民グループが国会で保安院の担当職員らとの討論会を6月25日に行ない、運転再開を認めないよう要請したばかり。
美浜の会(美浜・高浜・大飯原発に反対する大阪の会)の小山さんは,ガラス固化試験の再開は絶対認められないとして,その技術の本質的欠陥を明らかにした(以下、解説の要旨)。
ガラス固化技術に重大な欠陥があるのは明らか 六ヶ所再処理工場営業運転の危険 | 原燃のガラス固化試験再開に向けての報告書の問題点を解説する美浜の会の小山英之さん
原燃のガラス固化試験再開に向けての報告書の問題点を解説する美浜の会の小山英之さん
「白金属の堆積は防げない」として防止策を放棄
溶融炉の中で白金族が沈降・堆積して、ガラスの流下がうまく行かないのがガラス固化失敗の一番大きな問題だが、白金属の沈降・堆積は防ぎようがなく打つ手がなかったというのが原燃の報告書にある。対策としては監視強化と、「回復運転」という白金族が溜まったら撹拌したり、運転を止めて取り出すことを繰り返すしかないとしている。
沈降・堆積をどうしたら防げるかが本来の対策だがその道筋は示されておらず、どうしようもないとしている(白金族の沈降・堆積は,「宿命で防止はできない。どういう状況になったら取り出すか管理が大事」=30日の安全小委員会委員の発言)。
六ヶ所に先立った、東海1号溶融炉でのガラス固化試験は「おおむね成功した」とされているが、やはり白金族が炉底部に沈降・堆積した。原燃・六ヶ所の溶融炉は東海と同じシステムだがその大きさは5.5倍と大きく、それだけ多くのガラス材と高レベル放射性廃液が入るがゆえに、多くの白金族の沈降・堆積が起こりこれを防ぐことは一層困難になると予測される。しかし、報告書では規模の違いを考慮した分析が何もなされていない。
崩壊熱を忘れていたというお粗末
溶融炉にガラス材を落としてもすぐには溶けないので、落とし蓋のような仮焼層をつくって熱が逃げないようにし、炉内のガラスを暖める。実際にガラス固化を始めた時は仮焼層があまりに薄く、ガラスの温度がなかなか上がらず、基準温度1100度に達しない状態でつくった欠陥ガラス固化体がいくつかできてしまった(保安院は欠陥品と認めたが心配ないとしている)。
仮焼層が十分にできなかった原因は、崩壊熱を忘れていたことだったと原燃はいう。廃液の中の放射能が熱(崩壊熱=放射能が自然崩壊するときに出す熱)を出し、その熱で仮焼層が早く溶けてなくなってしまう問題がある。放射能がない廃液で試験して運転の基準をつくり、実際に放射能のある廃液にもそのまま適用したからだ。「廃液から出る熱を忘れていた」と報告書にはっきりと書いてある。こんなお粗末なことがまかり通るのは驚くべきことで、なぜ忘れたか、その責任はだれが持つか、そういうことはいっさい問題にされていない。
実際の廃液で放射能の崩壊熱を考慮した運転を解析してみると、今の廃液の濃度では安定した運転はほとんどできないことが分かった。濃度の低いわけは廃液の濃縮を省略したからだとみられる。東海1号炉では濃縮過程があるが、六ヶ所では濃縮器を付けるとコストがかかり運転が複雑になるので省略したとしている。これには設計ミスの疑いが浮かんで来るが、報告書では全く何も触れていない。
ガラス固化技術に重大な欠陥があるのは明らか 六ヶ所再処理工場営業運転の危険 |
東海1号炉にはあった濃縮機が六ヶ所では省かれていることが問題か?
対策としては、廃液の濃度を高めて仮焼層が一層できやすくする必要がある。そのために模擬廃液を別に作って廃液に加える「廃液調整」を行なうとしている。こうして合成廃液を作り濃度を高めたうえでガラス固化しようと原燃はしているわけだ。廃液調整にはその他の問題の発生が考えられ,この方法で問題が解決するという保証はない。
その他にも、試行錯誤を続けながらのガラス固化試験の幾つもの問題点が詳細に解説された。その上で、保安院の原子力規制課の金城班長との質疑が行なわれたが「私の口からは答えられない」などの回答が多く絶えず消極的な姿勢だっだ。それだけにけすぐ止まってしまった試験再開を承認した保安院の評価は今後問われる。
経産省での記者会見で美浜の会の小山さんは、廃液調整などの対策は本末転倒だと述べた。「模擬廃液を混ぜると全体の廃液の量が増える。仮にガラス固化がうまくいっても、未だ処分場のないガラス固化体もそれにつれて増える。したがって高レベル放射能廃液をそのまま溶融炉に入れてガラス固化するのが当たり前。現在の廃液でも安全なガラス固化体ができるように溶融炉をつくらなければいけないのに、別の人工の廃液を混ぜてつくれるようにするのは本末転倒というか、もともとの目的からはずれてる。あきれて物が言えないというか、そんなことが許されていいのかと思う」。
再びガラス固化試験が中断したことからわかるように,設計ミスや現在の方式そのものにも問題があるかもしれない。安全なガラス固化体がつくれないだけでなく環境中への放射能放出を止められない限りアクティブ試験は中止すべきであり、再処理工場の本格稼働も断念するべきである。
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