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大飯原発再稼働問題―福島事故の教訓は何か―(朝日新聞WEBRONZA)
http://www.asyura2.com/12/genpatu24/msg/827.html
投稿者 ナルト大橋 日時 2012 年 6 月 19 日 12:09:17: YeIY2bStqQR0.
 

http://astand.asahi.com/magazine/wrscience/2012060700005.html

2012年06月11日

 大飯原発再稼働をめぐるこの間の一連の経過は、福島事故の教訓を総括し、日本のエネルギー政策を今後どうするかという問題が何ら解決していないことを示している。福島事故の最大の教訓は、日本で稼働してきた54基の原発が同じ基準と規制のもとにおかれ、地震と津波などの発生に伴う過酷事故、非常事態に対して耐えることができない可能性が高いことである。原発自体のみならず、周辺住民に対する情報伝達と避難体制も十分でなく、「放射能被ばく」を防ぐことができなかった。

 いまも15万人以上の人々が避難生活を送り、福島第1原発そのものが放射能汚染の発生源となり、いまだに収束の目途も立っておらず、第4号機の使用済み核燃料プールも依然として危険な状態を脱していない。福島の事故の組織的・技術的問題点と教訓を明らかにし、日本全国で対応策を取ることがいままさに求められているのである。

 しかしながら、政府は「電力不足」を理由に「即席の基準」をつくり、関西電力の大飯原発3号機、4号機を再稼働しようとしている。周辺自治体や関西広域連合の知事も、これを認める方向である。大飯原発の再稼働は、「電力不足」に対する例外的措置なのか、他の原発の再稼働の前例となるのか、ストレステストの1次評価のみで十分なのか、これらの点が今後大きな問題となる。
 福島の事故からやがて1年半近くになるというのに、いまだに政府と国会による事故調査・検証委員会の報告書はできず、当時の関係者の聞き取り調査が続いている。また当時の政府の各対策委員会の議事録も作成さていないことが明らかになっている。

 これに対して、半年で150回もの公聴会を開いて報告書をまとめたアメリカのスリーマイル島原発事故の例や、事故調査ではないが、2カ月で脱原発の理論づけを行ったドイツの倫理委員会報告の事例を見れば、彼我の差は明かである。

 日本の事故調査の最大の問題は、事故後の対応に焦点が当てられ、「犯人」探しが行われる傾向があり、かつ事故を起こした技術的欠陥に中心がおかれ、制度的・組織的欠陥問題を避けていることである。日本は、ハイテクとされる原子力技術と発電システムを、地震と津波の多い日本の条件で維持管理していく組織的・技術的能力を持ち合わせていないことが明らかになってきたのである。

 このことを明確に指摘しているのが、スイス原子力安全規制局の報告「福島の教訓」(2011年10月)である。スイスは5基の原発を持ち、電力の40%を賄っているが、福島の事故を受けて、原発新設を禁止し、2034年ころまであと20年間運転するという。したがって、単純な「脱原発」ではなく、原発を続けていくうえで、福島の事故の教訓を徹底的に分析して汲み取ろうとしている。特別のチームをつくり、外国である日本から可能な限り情報を集め、2011年8月までに収集した資料をもとに39の教訓をまとめている。とくに、「事故を招いた一連の組織的・技術的不適切さ」に焦点を当てて、体系的に分析しているところが重要である。日本に欠けているのは、この視点である。そこで、改めて、この報告要旨を4つの柱に再整理して(1)制度上、組織上の欠陥、(2)過酷事故、(3)非常時対応の欠如・欠陥、(4)設備機器の欠陥・不備、?予防的措置の欠陥・不備)、全文紹介しておきたい。

 日本の原子力安全・保安院が取りまとめた「技術的知見」(2012年3月)なるものが、ここで指摘された問題群のほんの一部の技術的問題しか扱っていないことは明らかであり、また政府事故調査委員会の中間報告も、制度上・組織上の欠陥については、ほとんど扱っていない。したがって、本報告書は、まさに日本の事故調査のあり方を問い直し、今後の原子力規制と再稼働に向けての抜本的改革と課題を明らかにして行くうえで、是非とも参照する必要がある。

 付録資料 「福島の教訓2011年3月11日」   
                 スイス原子力安全規制局 2011年10月29日

第5章 付録:教訓の要約
 スイス原子力安全規制局は、福島原発事故の包括的分析を行い、その結果を2つの報告で公表している。その調査結果によれば、事故を招いた一連の組織的、技術的不適切さを示している。この分析からの知見をここに、39の教訓としてまとめる。これは、一方で事実による裏付けがあるが、他方で仮説に基づいている(2011年8月までに得られた情報)。一連の教訓は、内容的に限界はないが、これまでの深められた分析を要約している。

【問題群1 制度上、組織上の欠陥】(訳注)

教訓1 学習する組織を発展させない欠陥
国内および国際的事故の経験が十分に考察されていない。2007年のIRRS(IAEAの総合的規制評価サービスIntegrated Regulatory Review Service)委員会が求めた事故について、何も公式の検討がなされず、国外の事故から改善措置が日本の原発でとられていない。(訳注 国外のスリーマイル島事故、チェルノブイリ事故、国内のJCO事故、柏崎刈羽事故などの分析、教訓を活かしていない)

教訓2 貧弱な企業文化
経営者は、偽造と隠蔽を助長する企業文化のもとにあるように見える。(訳注 「やらせ」問題)

教訓3 経済的配慮から安全を制限した
経営企業は、2010年の年報において、コスト節約プログラムのもとで設備検査の回数を減らしたと述べている。

教訓4 保安院が経済産業省に依存している欠陥
保安院は、経済産業省の一部である。これは利益相反であり、結果にいたる決定構造の不透明性をもっている。(訳注 保安院が独立した検査能力も権限もない)

教訓5 検査における全体システムの構造的欠陥
日本の検査機関の役割と責任は不明確に規制されてきた。(訳注 もたれあい問題)

教訓6 不十分な検査の深さ
検査機関は、設備の建設と運転に当たり、津波と安全などをただ表面的にしか検討しなかったという大きな誤りを犯した。(訳注 書類審査中心)

教訓7 企業の安全文化の欠陥
安全検査がなおざりにされ、あるいは偽造された。その結果は欠陥のあるメインテナンス管理であった。

教訓8 意思決定到達の欠陥
海水注入がもっと早く行われるべきであった。多くの理由で、会社・検査機関・政府(首相)が不十分な意思疎通のために、時機に適した決定を妨げた。決定のために必要な設備のパラメーターが連続的に検査されなかった。

【問題群2 過酷事故、非常時対応の欠如・欠陥】(訳注)

教訓9 非常事態対処に対する不十分な準備
日本では、非常事態に対する準備が企業の自主的取組に任された。既存の緊急対処計画は多くの欠陥があった。過酷事故に対する不適切な手立て(過酷事故管理指針:SAMG)が技術的に行われ、連絡手段も貧弱であった。外部の非常対策が節約され、全体のインフラが同時に破壊されることを十分に考慮していない。この大きさの非常事態に対して、要員が不十分にしか用意されていなかった。外部事件(地震、津波など)のコントロールに対する追加システムが日本では、できるだけ部分的にしか行われていない。

教訓10 要員への過大な要求
非常事態のインパクトを緩和する過酷事故管理手段が適切に実施されないので、大規模で長期間にわたる放出が続いた。

教訓11 規制上の欠陥
非常事態への対策が、法律に基づいて適切に規制されなかった。

教訓12 当局の非常事態計画の遅れ
地域の危機管理部隊が準備されず、呼び出されず、関係者の連絡がとれなかったという問題がある。加えて、国際的援助の調整も十分でなかった。

教訓13 不十分な放射線防護手段
洪水の結果、要員に対して不十分な被ばくメーターと防護手段しかなかった。

教訓14 住民に対する不十分な情報
住民に対して、放射線被害と汚染の予想される展開についての情報は不十分で、後で知らされた。

教訓15 グループ力学の危険性(訳注、原子力ムラ問題)
これまでの企業経営で、リスクを過小評価し、警告と事実を無視し、企業の運営内部で可能なかぎり集団主義、自己満足、自信過剰に陥っていた(訳注「原子力ムラ」問題)。

教訓16 過酷な作業環境
事故が起きて、スタッフは非常に過酷な物理的・精神的なストレスのもとにおかれた。事故が起きて、実情についての知識もなかった。

教訓17 放射能の状況が不明
危機対応が困難であったのは、放射能の状況がとくに初期において不明であったからである。

教訓18 過酷事故への不十分な準備
経営者は設備の安全に責任がある。最強の地震と津波の高さへの予想が不十分であった。そのために、設備の設計が不十分であった。津波の適切な解釈がどの程度、監督庁によってテストされたかは不明である。非常用ディーゼル発電機が波をかぶり、除熱できなくなった。ただ福島第一原発の6号機の空冷エンジンのみが作動し、のちの5号機、6号機に利用できた。

【問題群3 設備機器の欠陥・不備】(訳注)

教訓19 建築構造の不備
原子炉建屋上部にある使用済み核燃料プールは、非常対策を困難にした。そのうえ、ケーブルとパイプが密閉されていないために、原子炉の汚染水やベントガスを受けた。

教訓21 不適切で欠陥のある操業
非常用復水器の技術的適正基準に基づく第1号機の非常用復水器の手動停止(おそらく1本のロープ)は、地震発生から10分後であった。非常用復水器のバルブは、交替班長の知識がなかったので、後に閉じられていた。その結果、後の事故のために非常用復水器は自由に扱えなかった。

教訓22 非常用設備の復旧のさまたげ
非常用手段の実施(SAMG)は、停電と津波の結果、施設部分の障害(破片)のために、妨げられた。携帯電源の接続が第1に確立されるべきであったが、これがすぐに作動しなかった。海水供給の準備は、不測の事態の技術的問題があった。

教訓23 電気設備の不備
非常用電源の全面的な脱落の結果として、第1号機、第2号機、第4号機の照明と設備が稼働しなくなった。これらのシステムは困難な条件のもとで操業せざるをえなくなった。例えば、圧力容器の水位表示計の損傷がおきた。

教訓24 局所的な条件が非常用手段の妨げとなった
コントロール・ルームの放射線が急激に上昇し(一時的であれ)、オペレーターの数を減らし、一時的に全てのオペレーターが避難しなければならなかった。同じことが非常免震棟についても当てはまる。同じように放射能の条件が通信手段を悪化させ、照明設備の故障のために、非常用手段の指示と実施を妨げた。

教訓25 通信手段の不十分な準備
非常用と命令伝達のための通信手段が当初、部分的に使用できなかった。福島第1原発の外線電話と携帯電話も同様であった。

教訓26 ベントの問題
ベントの実施に困難がともなった。バルブの電気駆動装置は、停電のために動かなかった。したがって、コントロール・ルームから操作できなかった。バルブの手動操作は、アクセス困難のために、不可能であった。そして、高度の放射能のために、バルブを開くことが何度も妨げられた。

教訓27 不十分なメインテナンス
安全上、重要な設備が十分にメインテナンスされていなかったという非公式の情報がある。どの程度、この情報が正しいかは明らかでない。

教訓28 技術的に条件づけられた遅れ
海水注入の遅れの可能性があり、これは圧力容器の圧力が下げられなかったからである。それは、まだ存在していた崩壊熱への冷却水の注入量が十分でなかったからである。
【問題群4 予防的措置の欠陥・不備】(訳注)

教訓29 水素爆発に対する不適切な予防
水素の漏れによる原子炉建屋の爆発が予想されなかった。したがって、原子炉建屋内の水素爆発を防ぐ手段も用意されていなかった。

教訓30 非常用対策の設備と人員の弱点
非常用対策の実施が困難だったのは、設備のブロックとシステムが互いに独立していなかったからである。これらは使用中のパイプ、ケーブルダクト、圧縮空気供給、非常用ディーゼル、共同排気口が一緒になっていた。ブロックごとの人員に重複があった。これは非常事態に際しての人員の節約につながった。

教訓31 不十分な電力供給
電力供給が、非常事態に対して不十分であり、ほとんど多様化していなかった。

教訓32 安全設備の不十分な防護
非常時に求められた安全設備を、津波が損なった。おそらく冷却水の循環を停止させ、建物への空気取り入れ口が水の浸入を招いた。

教訓33 使用済み核燃料の欠陥のある冷却
使用済み核燃料の冷却の欠陥は、これまでリスクとは見られていなかった。それは熱の発生が比較的少なく、冷却の復旧のための時間と技術的可能性が致命的ではないと見られていたからである。福島では、建物の強度の損傷によって、冷却の循環設備のいくつかがだめになり、技術的に不能になった。

教訓34 水供給の不足
原子炉圧力容器への内部の水供給ができず、3月12日に海水注入がはじまった。・・・・・続きを読む
 

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コメント
 
01. 2012年6月19日 13:54:19 : 4wQHigiXKg
朝日をはじめとする原発マフィア新聞は、停電恫喝、電気料金値上げ恫喝に積極的に加担したうえ「関電や野田の詭弁」や「インチキ安全審査」もまったく批判もせず、デタラメな大飯再稼働を野田に決めさせた。

そうして再稼働という目的を達しておいて、本投稿記事の「大飯原発再稼働問題―福島事故の教訓は何か―」で再稼働を批判し、あたかも良識的ジャーナリズムを装う。

事故が起きた場合に、「我々朝日は、福島の教訓が生かされていない大飯再稼働に批判的であった」というアリバイ作りがミエミエな朝日である。

犯罪新聞、朝日の真骨頂である。このような狡猾な犯罪を行う新聞は潰さねばならない。


02. 2012年6月19日 16:59:01 : 691AYwvONb

思ったよりたいしたことなかったな。

こんな大事故をおこしたのだから、内閣総辞職、東京電力倒産、日本各地で暴動発生と思ったが

内閣も野田に引き継ぎTPP、消費税増税、原発再稼働なんでもOK

東京電力も国民の血税を大量に投入して、誰も逮捕者は出ずに安泰です。

ヘタレ国民は「再稼働反対!」ぐらいしか叫ばないし、負け犬の遠吠えのようだ。

野田は国民いじめの政策を全力で不退転の決意で実行。現代は武士の時代ではないので警察に守られ悪事の限りをつくしている。

武士の時代であったなら、サムライにより1番隊から3番隊ぐらいを結成して豚は屠殺されている。

よかったな、偽装法治国家のヘタレ時代でな。


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