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6月14日【内容起こし】小出裕章氏:『麻薬患者のような』おおい町再稼働、運転時と稼働時の危険度の違い、2号機S/Cによる破損?、足りる電気@たね蒔きJ
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2012年06月15日11:09 ぼちぼちいこか。。。
20120614 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】
(千葉氏)今日は毎日新聞論説員の藤田さとるさんと一緒にお伺いします。
ではまず、ニュースでもお伝えしたんですけれども、福井県の大飯原発3,4号機の再稼働につきまして、地元のおおい町の町長が再稼働を認める意向を示して、福井県知事に伝えたということです。今週中には県知事が同意して総理大臣に伝えられて、再稼働ということになる見通しなんですけれども、このことについてまず小出先生のご感想をいただけませんか?
(小出氏)はい。大変残念・・・です。ただし、残念・・・というだけでは済まないものがここにはあると思います。
要するに原子力をやってきた長い歴史というのがあって、おおい町もそうですけれども、地域全体が原子力にすがらなければ生きていかれないと、そのような状況に追い込まれてしまった上で原子力を受け入れてしまいました。
そして、一度受け入れてしまうと、それに依存するような町になってしまうわけですし、次々とまた新しいお金を欲しがる以外にないということになってきたというのが日本の原子力のやり方だったと思います。
言葉はわるいですけど、いわゆる麻薬患者を作って、ますます麻薬漬けにしていくという歴史が続いてきたと私には見えます。
地域の人たちにそれを「簡単に抜けろ」ということは、すぐには言えない。どうやればその町全体がきちっと生き延びることができるのかという、そのことを考えなければいけないのだと思います。
ただし、町議会にしても福井県議会、或いは福井県知事にしても、その人たちこそがそういうことを考える責任がある人たちだと思いますので、しっかり考えてほしいと思います。
(千葉氏)その県議会なんですけれどもね、全員協議会を開いて再稼働問題について話し合ったそうなんですけれども、その結果「再稼働は知事の判断だから議会に意見を表明させて責任を負わせるというバカな話はない」といった意見が出て、県議会として採決や意見集約はしないで知事に判断を一任したということで、いろいろ報道を聞いていますとなんだか「総理が決めたから」「町長が決めたから」「知事がこういう考えだから」とみんな責任から逃げているという感じがするんですけど・・・
(小出氏)そうですね。情けない議会ですね。議員一人一人がちゃんと自分の想いを発信しなければいけないと思うし、一人一人が個人の責任を負わなければいけないと私は思うのですが、残念ながら、まぁ少なくとも原子力の世界では、個人としての責任を誰も負わないという、そういうまま今日まで来てしまいました。
(千葉氏)ほんっとに変な世界ですよね。
(小出氏)はい。
(千葉氏)それから、リスナーの方からの質問が来ておりまして、こちらご紹介します。大阪府にお住まいの方で、
『判り切ったような質問をして申し訳ないんですけれども、大飯原発を動かさないのと動かしたのとでは、危険度は違うのですか?』
という質問なんですが、先生、改めて教えていただけますか?
(小出氏)もちろん危険度は違います。運転中に全所停電をした場合には、事故が劇的に進行してしまいます。福島第一原発の1号機から3号機で進行したように、もう本当に手の付けようもないまま事故が進行してしまいますので、まずは動いている状態をやめるべきだということは徹底的に大切だと思います。
では、「動いていなければ安全か?」といえばもちろんそうではありません。既にこれまで日本で原子力発電をやってきてしまったがために、広島原爆が撒き散らした放射性物質の120万発分に相当する核分裂生成物を日本は作ってしまった・・・
(千葉氏)120万発分ですか・・・?
(小出氏)はい。それは消すことができないゴミとして、それぞれの原子力発電所の中に溜まってるわけですし、今でも福島第一原子力発電所の進行中の事故の中でも、それが危機に直面しているのです。ですから、止めれば安全だということではありませんが、まずは止めなければいけないと私は思います。
(千葉氏)うーん・・・。
・・・はい。判りました。
続いてはですね、東京電力の社内の原発事故調査委員会が近く最終報告書を出す予定だというニュースが入ってまして、その案が明らかになったということです。
それによりますと、『原発の北西の方向に重大な汚染を引き起こした最大の原因は、当初言われていたベントではなく、2号機の格納容器から漏れ出したガスだ』と結論付けているんですけれども、詳しい損傷の箇所や原因については書かれていなかったということです。
これ、詳しい損傷の原因がない報告書はほとんど意味が無いと思うんですけども?
(小出氏)はい、おっしゃるとおりです。もちろん現場に誰も行くことはできませんし、原因を確定するということはこれから10年後、20年後、或いは30年後になるかもしれないと私は思います。
ただし、私自身は2号機の放射性物質の漏えいが生じた場所というのは、私なりの推測があります。それは、サプレッションチェンバーと私たちが呼んでいる格納容器の一部なんですけれども、格納容器本体はドライウェルと呼んでいますが、そことサプレッションチェンバーを結んでいる配管があるのですが、配管といっても巨大なパイプなんですが、私はそこが破損してそこから出てきたと思っています。それは、福島第一原子力発電所の最大の安全問題だと。もともと米国のジェネラルエレクトリックの設計者たちが指摘していたことで、それが多分現れたのだと思いますし、そうなると・・・政府と東京電力は津波が原因だと言いたかったわけですけれども、そうではないということになってしまいますので、どうしても東電としては言いたくないということだと思います。
(千葉氏)はぁ・・・、藤田さん、いかがですか?
(藤田論説員)今回おおい町長の同意の表明を受けまして、数日中に福井県知事の同意を受けて、政府が大飯3,4号機の再稼働を正式に発表するということになりますが、しかしこの一連の手続きを見ると、せっかくこの夏みんなで節電をして原発無しでも節電してなんとかやっていこう、原発がなくても乗り切れるという、そういうことを証明できる非常にいいチャンスだったと思うんですが、そういうチャンスも奪われて非常に残念な気がするんですが、小出さんはいかがですか?
(小出氏)藤田さんがおっしゃるとおりです。十分今年の夏も乗り切れたはずだと私は思います。それも今藤田さんが「国民が節電をしようと思ってきた」とおっしゃってるわけですけれども、全く節電もしなくても乗り切れるのです。それは日本の国家の統計データがそれを示していますので、なんの節電もしなくても、日本はいついかなる時も電力供給に支障はないのです、本当は。
(千葉氏)はい。小出さん、どうもありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございます。
【以上】
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