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週刊朝日 2012年6月15日号
原発事故はいまだ収束せず、検証も対策も中途半端なままだ。そんな中、野田政権は原発再稼働に向けて動いており、大きな波紋が起きている。
そんな中、国民を唖然とさせたのは、この人の手のひら返しだろう。
「負けたと言えば負けたと思われても仕方ない。変に屁理屈をこねて、ああだこうだ言っても仕方がない」
6月1日、大阪市の橋下徹市長は、大飯原発の再稼働問題について「敗北宣言」をした。
ずいぶんなものだ。
かねて橋下氏は、滋賀県の嘉田由紀子知事や京都府の山田啓二知事らと、「脱原発」の姿勢を鮮明にしてきたではないか。順に発言を振り返ってみよう。
「電力が足りないから原発が必要と言うのは脅し。『サインしなければ、あなたの命はどうなるかわかりません』という霊感商法と同じだ」(昨年6月29日)
4月に野田政権が再稼働を押し切ろうとしたときは、「ストップをかけるには民主党政権を倒すしかない」とボルテージは最高潮に。それが5月に入るや、
「原発がどうしても必要だという場合にも、動かし方はいろいろある。安全基準ができるまで、1〜3カ月の臨時運転という方法もあるのでは」(5月19日)
と急速にトーンダウン。そして冒頭の敗北宣言だ。なぜこうも簡単に白旗を掲げたのか。橋下氏をよく知るジャーナリストの大谷昭宏氏は、「変節でも何でもない。最初に大風呂敷を広げて落としどころを考える、橋下さんのいつものやり方です」とバッサリ。さらに大谷氏は「橋下さんはそもそも原発推進論者だ」と言い、こう続けた。
「府知事時代、彼は関西電力の元役員を副知事に据えるなど、関電と蜜月関係にありました。元々が財界寄りの人間です。深読みすると、最初から『暫定的な再稼働』という落としどころを考えつつ、有権者には『脱原発』というポーズを見せ、財界にはギリギリで再稼働に舵を切ってみせる。そうして財界に恩を売ろうとしたのでは」
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