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6月7日【内容起こし】小出裕章氏:ガンマ線計測とベータ線計測の必要性、福島原発共用プールの使用済燃料6375本、ブラジル人に募集をかけた20q圏内作業@たね蒔きJ
http://bochibochi-ikoka.doorblog.jp/archives/3445282.html
2012年06月07日23:48 ぼちぼちいこか。。。
20120607 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
【以下、お時間の無い方のために内容を起こしています。ご参考まで】
(千葉氏)今日は毎日新聞論説員の二木和夫さんと一緒にお話を伺います。
小出さん、まずはですね、今日はメールでの質問から参ります。福島県郡山市からいただきました。
『私の住む郡山市では、6月7日から保険所でホールボディカウンタによる内部被曝検査を行うそうなのですが、ガンマ線しか測れないと聞きました。郡山市は福島第一原発から60q前後の距離にありますが、アルファ線、ベータ線などによる被ばくの恐れはないのでしょうか?また、あるとしても無視してよいのでしょうか?』
という質問です。
(小出氏)去年の3月11日に事故が起きて、ほぼ1年経ったわけですが、住民の人たちが被曝をしている主犯人は、大気中に放出されたセシウム137と134だと私は思います。大気中に放出された放射性物質は他にもありますし、アルファ線を放出するプルトニウム、ベータ線を放出するストロンチウムというようなものもあるのですけれども、大気中に出たものだけを問題にするのであれば、私はガンマ線を放出するセシウム134と137に注意をしておけばいいと思います。
ただし、これから海の汚染というものが問題になってくると思います。それの場合には、ストロンチウム90というベータ線しか出さないというその放射能が大切になりますので、特に海産物をたくさん食べる習慣のある方、多分漁民の方とかそうだろうと私は思うのですが、そういう方に関しては、ホールボディカウンタだけでは不十分だと思います。
(千葉氏)別の何か測定装置を使ってベータ線をきちっと測らないといけないということですね。
(小出氏)はい。ストロンチウム90の場合には、外部から測るということはほとんど難しいので、いわゆる排泄物ですね、を採取して、身体の中にどれだけあるという推定をするという、そういう大変面倒な測定の仕方にならざるを得ません。
でも、海産物をたくさん食べるという方に関しては、まずはやってみるべきだと思います。
(千葉氏)あの、被曝の影響ということを考えたら、それこそすべての放射性物質の影響を考えないといけないということですものね。
(小出氏)はい。本当はそうなんですけれども、大気中に出た放射性物質でいうならば、セシウムに比べてストロンチウムは1000分の1くらいしか出ていませんし、プルトニウムはまたその1000分の1くらいしか出ていませんので、基本的には私はセシウムに注意をしておけば・・・大まかでは間違いないと思います。
(千葉氏)はい。判りました。
次の質問に参ります。今度は兵庫県の方ですね。
『福島第一原発の4号機から50m離れた場所に、1号機から6号機の共同プールというものがあって、そこには6375本もの燃料棒があるということなんですが、ものすごい量なんですがこの共同プールには一体どれくらいの量のウランなどの放射性物質があると考えたら良いんでしょうか?』
という質問なんです。
(小出氏)はい。6375体、共用プールに在ります。例えば4号機の場合、2,3,4多分一緒だったと思いますが、一つの炉心に548体の燃料しか入りません。ですから6300といえば炉心が12個分くらいに相当するでしょうか。それだけの使用済の燃料がそこに既にあるということです。一つの炉心に広島原発2000発から3000発近い放射性物質ができていますので、それが十いくつということであれば、何万発分かがその共同の使用済燃料プールにあるということになります。
(千葉氏)一つの炉心だけで広島原爆2000発から3000発分ですか?
(小出氏)3000発ですね。
(千葉氏)はぁ・・・。この共同プールもずーっと冷やし続けていかなきゃいけないんですよね。
(小出氏)そうです。
(千葉氏)それを何十年も何百年もこのまま続けていかなければいけないという状況なんですよね。
(小出氏)はい。ただ、水というのは大変効率が良くてですね、冷やすということに向いているのですけど、いかんせん液体ですから漏れてしまったら冷やせなくなるとかいう危険があります。そのため、水でいつまでも冷やすのは困難が伴うだろうということで、放射能の量は次第に減ってくれますので、ある程度まで放射能の量が減った時に、プールから水で冷やすのではなくて、プールから引き出して空冷でも冷やせるようにしようという、そういう計画が今どんどん進んできています。
水で冷やすのを湿式と呼ぶんですが、あと乾式というやり方があってですね、乾式貯蔵用の金属製の容器というものに入れて、それに放熱用のフィンをつけてですね、空気中に放熱できるようにするというやり方がどんどん今広がってきています。
ですから、福島の共用プールのものも多分基本的にはプールから引き出して乾式貯蔵に移るしかないだろうと思います。
(二木論説員)先生、あの、近くの3号機、4号機、事故を起こして非常に作業しにくいと思うんですけれども、空冷にするにはやっぱどのくらい時間がかかる・・・?
(小出氏)まず、その乾式貯蔵容器というものを作らなければいけない。その一つ一つの容器が重さ100トンもあるような巨大な容器ですから、それをいくつかなぁ・・・。まぁ何百だと思います。一つの容器に多分10体とか20体くらいしか入らないはずですから、6300もいれようと思えば、何百もの容器を作らなければいけない。そしてそれは雨ざらしにすることは多分できないと思いますので、それがまた入れられるような巨大な倉庫を作らなければいけないということで、もしやるにしても大変な作業になります。
(二木論説員)そうですよね。
(千葉氏)判りました。
続いてはこんなニュースが伝わってきておりまして、日本に居るブラジル人の方向けの新聞やインターネットにポルトガル語の求人広告が出されて、福島第一原発の瓦礫撤去の作業員として7月から20人のブラジル人の方が働くという記事が載っていたと伝えられています。既に数百人の募集があるそうでして、作業内容は廃棄物の除去、原発から20q圏内の場合には1日2時間の作業で、住むところと1日三食の食事つきで日当3万円という条件なんですが、募集のための記事には医療保障などについては何も書かれていないようなんですが、小出さんはこれを聞いてどう感じられますか?
(小出氏)気が重いです。
要するに『労働』というものは、自分の能力を売るのが普通『労働』というのだと思うのですが、今の『福島の労働』というのは、能力を売るのではなくて、『被曝の能力』を売るんですね。はい。
ですから、事故を収束させるために一人100ミリシーベルト以上浴びてはいけないというわけですから、とにかくそれになるまでそこで働くと。その被曝の限度を売るのですね。
そういうやり方というのは、私は・・・労働というものからすると、随分嫌なやり方だなと思います。
(千葉氏)福島原発事故の後始末には、こういったような作業をする方が今後も途切れなく何十年も募集され続けなければならないんですよね。
(小出氏)そうです。チェルノブイリ原子力発電所の事故の場合には、6万人から8万人と言われる軍人、退役軍人、そして労働者が駆り集められたわけですが、日本でもこれから何万人もの作業者を集めなければいけません。
そうなると、日本人だけでは背負いきれなくなるということになるかもしれませんし、今回のような問題がどんどんとこれから出てくることになると思います。
(千葉氏)判りました。小出さん、どうもありがとうございました。
(小出氏)ありがとうございました。
【以上】
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