http://www.asyura2.com/12/genpatu24/msg/468.html
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東電の責任逃れの言動とはいえ、配管損傷がない状況でも(東電・政府の主張)、全電源喪失に陥れば為す術を失ってしまうと説明しているのが東電の事故調査報告書案である。
「東電は、昨年3月11日に弁が閉じて機能が停止した1号機の非常用復水器(IC)について「全電源喪失の状況では、弁の開閉状態を正確に把握することは非常に困難だった」と弁解」するらしい。
1号機の非常用復水器(IC)は、「弁が閉じて機能が停止」したことが大きな問題となっているようだが、もっと限定的な事故であればそのような主張にも意味があるが、5時間も空炊きが続いてメルトダウンを起こした今回のケースではほとんど意味がない話である。
「弁の開閉状態を正確に把握」できていても、重力を利用するため高所にあるICに水が補給できなない限り、ICは、水切れでほどなく役割を果たさなくなる。
ICに関する肝心な話は、貯えられた水が復水作業で蒸発していくため、機能が90分間ほどしか効果を維持できないことである。
ICはごく短時間有効な緊急避難装置であり、その間に電源を復旧しなければ、メルトダウンに向けてまっしぐらなのである。
「同13日に3号機の高圧注水系(HPCI)を手動停止させたことについても「代替注水の切り替えが可能と判断した上で止めた」と主張する」と記事にあるが、事故発生から2日も経った13日であれば、何より、それまでに電源を復旧できなかった問題をきちんと説明しなければならない。
対応する間もなくメルトダウンに至った1号機はともかく、日本が米国政府機関(米軍を含む)とともに国家総力戦で事故に対応していながら、3号機が14日になって水素爆発を起こし、2号機が15日になって圧力抑制装置損壊を迎えて膨大な放射性物質をまき散らすに至ったのは、つまるところ電源が復旧できなかったからである。
11日や12日午前中はともかく、12日午後どころか14日になっても電源が復旧できなったワケをきちんと説明しなければ、「初期対応 困難だった」という陳腐な言い逃れさえ意味をなさない。
また、3号機は、地震による「高圧注水系配管損傷」が濃厚であり、それを否定している東電の論理は破綻している。(詳細は下記投稿を参照していただきたい)
きちんと事故の総括ができる主体であれば、原発を再び運転したいとは言わないだろうが、デタラメな事故原因の説明や意味のない言い逃れしかできない主体が、原発を再び運転したいと願っているのだから、おぞましい限りである。
※ 参照投稿
「1F1号機―非常用復水器(IC)機能せず:「IC作動で原子炉温度が急低下のため手動停止」がウソと東電自らが“告白”」
http://www.asyura2.com/11/genpatu18/msg/624.html
「3号機「高圧注水系配管損傷」説を否定した東電の“理”を検証:デタラメな説明とウソの主張でIAEA報告書を覆そうとする不遜」
http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/202.html
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東電「初期対応 困難だった」 原発事故の調査報告書案 [日経新聞]
東京電力福島第1原発事故をめぐり、政府の事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)が批判した事故の初期対応について、東電が「対応は困難だった」とする従来通りの主張を社内調査の最終報告書案に盛り込むことが5日、分かった。
東電は27日の株主総会までに最終報告書を公表し、原因究明作業に区切りを付ける見通し。
東電は、昨年3月11日に弁が閉じて機能が停止した1号機の非常用復水器(IC)について「全電源喪失の状況では、弁の開閉状態を正確に把握することは非常に困難だった」と弁解。同13日に3号機の高圧注水系(HPCI)を手動停止させたことについても「代替注水の切り替えが可能と判断した上で止めた」と主張するという。社内調査委員会は山崎雅男副社長ら幹部で構成される。
[日経新聞6月6日朝刊P.38]
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