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(2012年6月5日午前7時16分)
関西電力大飯原発3、4号機の再稼働をめぐり、細野豪志原発事故担当相らが4日、安全監視体制の強化策を説明。既に関西広域連合が事実上容認し、地元判断の材料はほぼ出そろった形だ。ただ、国民に再稼働への慎重な声が根強い中、福井県の判断が“突出”しかねないとの懸念などから、西川知事はなお慎重な姿勢を崩さず「政府の見解は矛盾したばらばらな状態が続いた。解決が必要」と政府が明確な姿勢を示すよう念を押した。夏の電力不足に備え再稼働を急ぐ政府の思惑通りに地元手続きが進むかは野田佳彦首相の“努力”に掛かっているといえ、知事は「ボールは国にある」と断言した。(伊豆倉知)
再稼働に向けては関西圏の理解が大きなネックとなり、知事が政府に対応を求めてきたが、5月30日の会合で関西広域連合は容認に転じた。
同日夜の関係3閣僚との会合で首相は「原子力は引き続き重要。立地自治体の同意が得られれば、最終的には私が判断する」と明言し、知事が求めていた首相としての「覚悟」を示した。
しかし、知事は細野氏らに対し「首相が国民に直接訴え、さまざまな疑問に答えることが国民の安心につながる」と述べ、これまでの首相のメッセージでは不十分との認識を示した。
知事判断の前提として大飯原発の安全性を検証してきた県原子力安全専門委員会は、5月8日に審議をほぼ終結。中川英之委員長(福井大名誉教授)は「深刻な事故が起きた場合でも安全側に制御できると確認できた」との見解を示し、報告書の取りまとめを残すだけとなっている。
しかし、21日以降は開かれていない。「安全性全体を議論しているわけだから、政府がはっきりした姿勢を示さないと大本に返る恐れがある」との見解を知事が示し、首相のメッセージを待つ形となっているともみられる。
政府は週内にも首相と関係3閣僚の会合をあらためて開き、再稼働を最終決断する日程を描いてきた。
だが、県関係者は「知事は政治スケジュールに縛られていない。政府が再稼働の必要性について国民を説得してからでないと、県民は再稼働に納得しないと考えているのではないか」と解説する。
現状での再稼働に反対する声が国民の間で強い中、知事はこの日の記者会見で「だからこそ首相が原発の意義、再稼働の意味などについて国民に向けて責任ある意見表明することが重要。(表明の)やり方を問題にしているわけではなく、状況を打開することが重要」と心情を語った。
知事が判断に先立って意見を聞くとしている県会は、6月定例議会が20日に開会予定。知事から要請があれば全員協議会を開いて会派ごとに見解を伝える方針だが、最大会派の自民党県政会にも「6月議会で議論してもいい」との意見があり、手続きが大幅にずれ込む可能性も残っている。
■西川知事の会談、会見での発言要旨■
【関西の理解】
▽消費地の関西が再稼働を「容認する」という言葉を言えるような状況ではない。歴史的にも経験的にも、その立場ではないと考える
▽勝ったとか負けたとかの子どもみたいな話ではないし、期間限定とかスーパーの大売り出しでもないわけで、もっと深みのある真剣な議論として収束したということでなければならない
【安全監視体制】
▽新しい体制が現場で迅速に機能し、県民の安心できる状況にならなければならない。地元、ひいては国全体の原発の安全のために協力する
▽(京都府、滋賀県の参加意向に関し)県が地元として特別な対応で参画して協力することで十分。周辺自治体には情報を丁寧に出すなどの対応をする
【首相の姿勢】
▽再稼働をめぐる世論は依然厳しい。責任を持って国の姿勢、体制、心構えを訴えてほしい。国民に向けてはっきり責任を持って言わないと、政府の意図が伝わらないのではないか
【脱原発依存】
▽中期的には原発が引き続き重要。長期的には、これからエネルギー源の多角化などが議論される。再稼働の議論で、かなり先の議論を無前提に並行して発言する人が多いから、混乱や誤解を生む
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