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時事寸評・・・国民投票、総選挙、そして元首相
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平成24年6月4日 武田邦彦(中部大学)
2012.06.04 武田邦彦 時事寸評・国民投票、総選挙、そして元首相
菅前首相が「原発の選択を国民投票で、あるいは総選挙で問うべき」と発言した。すでに福島原発事故が起こって次のことがわかっている。
1)原発は危険なものだ、
2)被害は地元だけに留まらず、日本全体に及ぶ、
3)政府は隠しごとをしていたし、する。
従って、原発の選択は政府(首相などの決断)や国会などでは決めることができず、解散総選挙で国民の判断を待たなければならないが、困ったことにこれもダメである。
自民党も末期は「解散すると敗れる」ということで任期ぎりぎりまでやって敗北した。自分たちが支持されていないことを承知で政治をするのだから、その意味では自民党も民主党も選挙自体、民主主義そのものを支持していないことは明らかであり、これほど明らかでも報道も評論家も厳しく批判しないことは不思議である。
前の選挙で民主党が政権を取ったが、そのことによって現在の日本は総選挙について次のような状態にある。
1)選挙で主たる公約としたことの正反対が行われる、
2)公約と正反対なことに首相が「政治生命をかける」ということが起こる、
3)従って、総選挙は意味が無い。
来年の総選挙に原発が争点になっても意味は無い。というのは、原発反対を公約にした政党が政権を取ったら「原発推進に政治生命をかける」と変化するからだ。その意味で、
1.今、民主党政権が解散を決めるか(公約を変更)、
2.あるいは増税案を撤回するか(公約重視)、
3.総選挙に変わる制度を作るか、
その3つしか選択肢がないと考えられる。
「国政」というのは簡単ではない。また「国の首脳部の発言」は小学生の発言ではない。「原発は安全と言っていて爆発したのに、首脳部が引責しない」とか、「増税無しを基本政策にしたのに増税に政治生命をかける」ということを一度やってしまったら、後戻りはできない。
・・・・・・・・・
また、菅前首相の発言という意味では、「前首相や元首相のなし得ること」、「元首相の言動をマスコミはどのぐらい報道するのか」について、見識を示さなければならない。
これまでの世界の各国の動きは、元大統領や元首相は儀礼的・平和的外交や儀式でその役割を果たすということで、特に今、天皇陛下がご高齢なこともあり、元首相は「見るからに立派な人だ」ということを「儀礼的活動」で示すべきであろうと思う。その意味では今回の菅前首相の発言は不適切である。
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