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政府は、日本がこの夏を原発なしで乗り切ってしまえば、「原発の終焉」が訪れると考えているのだろう。そうなる事態をなんとしても防ぎたいと思っている政府は、原発が再稼働した“おかげ”で、生活も産業もなんとか電力不足に陥らずに済んだと思わせようと必死になっている。
さらに、「非日常の日本」から「日常の日本」への回帰を強く願い、「日常」に戻る決定的措置が原発の再稼働だと考えているようにも思える。
ふざけた話で、対策どころか事故原因さえ明らかにできていないのに、原発の再稼働が原発事故の“みそぎ”になると考えるような倒錯した連中が日本を統治しているのだ。
再稼働せずに真夏になれば電力が足りなくなる、計画停電どころか思わぬ大規模停電も起こりかねないという政府・関西電力の脅しに屈した関西広域連合の知事たちが、大飯原発の再稼働を“限定的に容認”するに至った背景という記事が日経新聞に掲載されている。
「電力供給不足」と言っても、夏になれば四六時中電力不足に陥るわけではなく、長く見ても、真夏のピーク時(昼前から夕方)という限定的な問題であり、関西地区の電力不足15%は、猛暑の数日間の午後1時から4時までの最大電力を基準にした値である。午後7時から翌午前10時までのあいだなら、“放置した”状況でも電力が不足することはない。
要は、需要サイドと供給サイドの両方から、原発を稼働させないことで起きるとされるピーク時の電力供給不足をどう穴埋めしていくのかという問題である。
その具体的策を示さないまま、ただ「電力不足」だ「計画停電」だという脅迫は犯罪行為である。
供給サイドについては、関西電力の供給能力に加算できる自家発電設備の(潜在的)最大供給能力さえ示されていない。
「脱原発依存」政策が提示されたなかで、積極的に火力発電所の増強をしてこなかった関西電力やそれを指導してこなかった政府のデタラメな対応ぶりはさておき、発電設備を持ちながら燃料価格と売電価格の差から余力を残した状態にしている事業所に補助金を出せば、ピーク時間帯に原発2基分(大飯原発3号機・4号機で合わせて236万KW)程度の供給積み増しはできるはずである。
需要サイドからも、デパートなど使用電力が把握でき制御もできる大口需要者の輪番休業もしくは営業時間調整などを行うことで突発的な停電を避ける安全率を確保することもできるだろう。
最低でも、このような説明と論議を経て、どうしても足りないというのなら、原発の危険性を覚悟のうえで、原発を再稼働するどうかを判断しなければならない。
おおい町議会も、安全だと思って再稼働を認めたわけではなく、原発に依存する町民の生活や町の行政を考えたやむをえない選択である。いのちと引き替えにカネを選択したのであり、その苦渋の知りながら、原発立地自治体が認めたというような言動は許し難い。
電力供給の最大の隘路は「電力需要の変動」と「非貯蔵性」である。
逆に言えば、電力の貯蔵性が高まれば、ピーク時に合わせている供給能力を引き下げ、電力供給を平滑化することができる。
夜間の電力を使う揚水式水力発電はそのための手段でもあるが、電気自動車(EV)が普及すれば、相当部分をピーク時の家庭用蓄電器として利用することができる。(家庭用太陽光発電と電気自動車の蓄電機能を組み合わせた実証実験もおこなわれている)
EVの現在の蓄電容量は16KWh〜24KWhだが、無充電走行距離の延長は重要テーマであり材料の開発も進んでいることから、数年後には車載可能な容積と重量で30KWhを超えるはずだ。
走行に使うための余力を残し、電力供給源として20KWh(標準家庭の1日半以上の使用電力を賄う)の電気自動車10万台が住宅に設置されていれば、ピーク時に200万KWhの電力が供給されることになる。40万台設置されていれば、4時間は200万KWの供給を継続できる。それだけでおよそ原発2基分である。
10年後には、電気自動車が毎年100万台販売される予測もされている。
自家用普通・小型乗用車の保有台数は4千万台だが、そのうち10%がEVになるだけで4百万台、そのうち25%が給電システムを持てば100万台のEVが電力供給源となる。ピーク時にざっと2千万KWh原発20基分の電力供給能力が生まれるのである。(国策次第でEVの普及はより加速するであろう)
電気自動車向けとして小型軽量・低コストで開発された蓄電池は、様々な運動エネルギーを電気エネルギーに変換して蓄積する手段としても広く使える。
電気エネルギーを低コストで蓄蔵できる現実は、電力の供給条件を根底から変えることを意味する。その活用と普及に注力するのが政府の努めである。
東京電力などは、「ピークシフト料金体系」と称して、夏場のピーク(午後1時〜同4時)料金を、他の昼間の1.7倍、夜間の4.6倍に引き上げようとしている。
東電の言い分は「昼間の単価を高くすることでピークの需要を抑える」というものだから、ざっくり言ってしまえば、ふだんから電気料金を抑えているような余裕のない人(貧乏人)は冷房をいちばん使いたい最高温度のときには使うなという“ありがたい”料金体系である。
「発送電分離」や「電力市場の自由化」は、このような“ありがたい”仕組みを増大させるだけである。
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停電回避 焦った関西 大飯再稼働 一転容認の舞台裏[日経新聞]
関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に慎重だった関西広域連合の知事たちが事実上の容認にかじを切った。今夏の電力不足で計画停電が現実味を帯び、関西経済に深刻な影響を与えかねないとの懸念が広がった。関西圏の知事は福井県に電力供給を頼る弱みがある。確たる計算もなく振り上げた拳の落としどころを慌てて探した面もうかがえる。
「提言内容に異論がある。県のアリバイづくりに加担することになり、出席を積極的にお断りする」。18日、彦根市の獅山向洋市長が滋賀県の嘉田由紀子知事に宛てた手紙は手厳しい内容だった。
孤立のリスク
嘉田氏は「(再稼働について)県の見解をまとめたい」と県内市町に会合を呼びかけたものの、電力供給を危ぶむ首長の欠席が続出。嘉田氏が孤立するリスクを察知した県は、急きょ中止とした。
嘉田氏は追い詰められていた。30日に鳥取県伯耆町で開かれた関西広域連合の会合。前日の29日に東京で牧野聖修経済産業副大臣と会った際、変化の予兆を示した。再稼働反対の主張は影を潜め、会談後に「原子力規制庁の議論の中でも次の一歩が進むのではないか」と期待感を表明した。
2週間前の15日の会見で「消費地の理解は1〜2割しか進んでいない」と政府や関西電力を責めた面影は嘉田氏になかった。鳥取での会合の際、規制庁の問題を所管する細野豪志原発事故担当相に「エールを送りたい」と笑顔までみせた。
「意思決定のボールは本来、国が持つもの。知事や広域連合が握っていると思われ、責任を負わされるのは筋違いなのでお返しした」。嘉田氏は31日、記者団に釈明した。
経済界が助け舟
滋賀県とともに放射性物質の飛散の影響を懸念し、再稼働に反対していた京都府の山田啓二知事。事態が動くきっかけをつくったのは、山田氏を突き上げ、計画停電に危機感を抱いていた経済界だった。15日、京都の経済4団体は今夏の電力不足を避けるための「暫定的な措置」として大飯原発の早期再稼働を求める政府への要望書をまとめ、地元選出の国会議員に手渡した。
山田氏を頭越しにした働きかけとも映る動きだが、知事への直接的な要望は避け、野田佳彦首相に再稼働の責任を負わせる仕掛けだった。山田氏は「暫定的な再稼働なら認めざるを得ない」と最終的に判断する。
政府もシナリオ
「建前論で言っても仕方がない。事実上の容認です」。政府がその言動に最も注意を払ってきた大阪市の橋下徹市長は31日、記者団に明言した。橋下氏との連携を模索する東京都の猪瀬直樹副知事は再稼働に向けた議論が大詰めを迎えるころ、橋下氏に「計画停電になったら大変なことになるぞ」と忠告。橋下氏は「分かりました」と応えたという。
政府内では斎藤勁官房副長官らが、関西広域連合を率いる兵庫県の井戸敏三知事らと互いのメンツが立つ着地点を探してきた。その間に細野担当相が知事らを前に理解を請うシナリオも練った。
30日に広域連合が出した声明文。知事たちと並んで「橋下徹」の名前があった。その紙を手にした野田内閣の閣僚の1人は「(マージャン用語で諦めを意味する)ベタ降りだな」と語った。
[日経新聞6月1日朝刊P.3]
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