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クローズアップ2012:福井・大飯原発、再稼働へ 「関西の理解」玉虫色
http://mainichi.jp/opinion/news/20120531ddn003040051000c.html
毎日新聞 2012年05月31日 大阪朝刊
関西広域連合が関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働におおむね理解を示し、政府が再稼働の最終決定方針を決めた30日。“再稼働派”にとって最大のネックだった「関西の理解」がクリアされ、福井県での手続きが加速する可能性が出てきた。関西の「軟化」の背景には何があったのか。
◇橋下市長ら軟化
「判断を変えたつもりはありません」
広域連合長の井戸敏三・兵庫県知事は記者団に、期間限定の再稼働に否定的だったこととの整合性を問われ、語気を強めた。声明に盛り込まれた「限定的」を巡り、とりまとめは難航した。
松井一郎・大阪府知事とともに「夏だけの期間限定」が持論の橋下徹・大阪市長は、「合意がとれているわけではない。意味合いはそれぞれ違う」と明かした。大飯原発をいったん再稼働させ、原子力規制庁発足後に改めて稼働の是非を判断する手続きだと解釈する知事もいるという。
それでも声明をまとめた背景には、「政府は再稼働するという覚悟だった」(松井知事)という切迫感があった。関係者によると、井戸知事が2、3日前に声明公表を提案。案文を作成し、この日の広域連合の会合前後に断続的に協議した。細野豪志・原発事故担当相による説明など政府の姿勢に肯定的な表現も案文にはあったが、反対の声が上がって大幅に削除されたという。ぎりぎりで玉虫色の声明がまとまった。
それだけに急転直下の印象は否めず、知事や市長からは釈明ともとれる発言もあった。
橋下市長は、新たな原子力規制組織ができる前に安全性を判断しようとする政府を、「国家の危機」などと厳しく批判してきた。しかし、30日の記者団への説明では一転、「安全に完璧はない」「夏を乗り切れればいい」とかじを切った。「どこまでの安全性を求めるか。際限ないものになっては世の中成り立たない」とも述べた。
関電の株主総会で「可及的速やかな全原発の廃止」を株主提案することとの整合性を記者から問われ、「原発をなくしていく国の方針と大飯再稼働は別問題」と釈明。政府が期間限定で原発を再稼働した場合の対応をただされると、「基本的には認めない」「容認するも何も権限ないんですもん」などと答えは揺れた。
京都府の山田啓二知事は「再稼働するにせよ、しないにせよ、限定的なものだということを考えてほしい」。滋賀県の嘉田由紀子知事は「慎重姿勢は変わらない」と強調、山田知事と共同提案した原発政策に関する7提言を主張し続ける考えを示した。
一方、広域連合で「手荒なことをやらないと15%の節電はできない。産業界にしわ寄せが行く」と、再稼働やむなしの考えをにじませた和歌山県の仁坂吉伸知事は、「細野氏の説明は筋が通っていた。政府は関西広域連合を大事に思ってくれているので、声明という形で答えた」と満足げだった。【小松原弘人、田中将隆、原田啓之、林由紀子】
◇地元手続き加速も
福井県では現在、原子力の専門家らによる県原子力安全専門委員会が3、4号機の安全性を検証している。検証作業は先月14日に枝野幸男経済産業相が西川一誠知事らに再稼働への理解を求めた2日後に始まり、5月上旬時点では、月内にも政府の安全性確認を追認する報告書がまとまる見通しだった。しかし、最近では、委員会自体が開かれていない。
このような足踏み状態を指して、関係者の1人は「結論を避けるために時間稼ぎをしているようだ」と県の委員会運営を皮肉る。県は政府に対し、関西圏の理解を得る努力や、原子力の位置付けについての明確な意思表示などを求めており、政府の対応が不十分なまま政府判断を追認する報告書を出すと、それ以上の対応を引き出せない可能性があったためとみられる。
西川知事は福島第1原発事故後、原発再稼働に関し「事故の知見を反映した暫定的な安全基準を示すことが大前提」と繰り返し、今年2月以降は「原子力発電の意義と再稼働の必要性について責任ある見解を国民に明らかにし、理解を得る努力」を国に求めてきた。
政府が4月に新たな安全基準を示し、枝野経産相から再稼働への理解を求められた際、「電力消費地(関西)の理解に責任を持って対応してもらう必要がある」と求めた。しかし、理解は進まず、知事は今月、副内閣相と副経産相が相次いで福井県を訪れた際、「首相が指揮してほしい」と繰り返し強調。24日の記者会見では、野田佳彦首相が明確なメッセージを示さないことに不快感を示し、「電気が必要でないなら消費地のために動かす必要はない」と述べた。
今回、関西広域連合が再稼働を「容認」した。これを受けて西川知事は30日のコメントで「首相が国民に向かって明確な責任ある見解を述べることが重要」などと述べていた。政府の対応を西川知事が評価すれば、県内での手続きが急速に進む可能性がある。【佐藤慶、畠山哲郎】
◇関西企業、安堵の声
大飯原発3、4号機が再稼働に向けて動き出したことに、電力消費地の関西企業からは安堵(あんど)の声が聞かれた。
大手食品メーカー幹部は「ありがたい話だ」と胸をなで下ろした。15%以上の節電要請を達成するため、自家発電の稼働や昼の生産を夜に回すなどの計画を立てていたが、「一番の懸念材料は計画停電だった」と明かす。「受注や配送の手配は全てオンラインで電子化されている。停電すれば全てストップだ。停電回避なら一安心だ」
肌着大手のグンゼは、一部の工場で土曜出勤して月曜日に休むなどの勤務シフトを検討していた。担当者は「少しでも節電幅が緩和されるのは助かる」と話した。
財界幹部は「再稼働すれば節電幅が抑えられるので少しはほっとしている」と明るい表情を見せた。ただ、今後の見通しに「暫定的」の言葉がついて回ることに関し「今冬や来年以降をどうするかの根本的な解決ではない。国はエネルギー政策をどうするのか、きちんとした方針を早く示すべきだ」と注文していた。
経済団体も歓迎のコメントを出した。関西経済連合会の森詳介会長(関西電力会長)は「大飯をはじめ安全が確認された原発の一刻も早い再稼働を強く求める」とコメント。大阪商工会議所の佐藤茂雄会頭はコメントで「政府は責任を持って地元の同意を得、一刻も早く再稼働へのゴーサインを出してもらいたい」と促した。【新宮達、鈴木一也、南敦子】
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■原発再稼働に関する声明(全文)
関西地域は、40年以上にわたって、若狭湾に立地する原子力発電所から安定的な電力を受け続け、産業の振興と住民生活の向上が図られてきた。また、その安全確保のため、立地県である福井県が独自に特別な安全管理組織と専門委員会を設置し、常時厳しい監視体制がとられてきた。関西の現在の発展は、こうした取組がなければありえなかったといっても過言ではない。
そのようななか、関西電力大飯原子力発電所第3号機・第4号機が定期検査を終え、再稼働の時期を迎えているが、関西広域連合は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、安全性が確認できなければ再稼働すべきではないとの立場から、政府に対し三度にわたる申し入れを行い、これに基づいて、5月19日と本日の広域連合委員会において説明を受けた。
「原子力発電所の再起動にあたっての安全性に関する判断基準」は、原子力規制庁等の規制機関が発足していない中での暫定的な判断基準であることから、政府の安全判断についても暫定的なものである。従って、大飯原発の再稼働については、政府の暫定的な安全判断であることを前提に、限定的なものとして適切な判断をされるよう強く求める。
平成24年5月30日
関西広域連合
連合長 井戸敏三(兵庫県知事)
副連合長 仁坂吉伸(和歌山県知事)
委員 嘉田由紀子(滋賀県知事)
山田啓二(京都府知事)
松井一郎(大阪府知事)
平井伸治(鳥取県知事)
飯泉嘉門(徳島県知事)
橋下徹(大阪市長)
竹山修身(堺市長)
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