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【プルサーマル】原子力発電に関する用語 "プルトニウム" と "サーモ(熱)" をかけ合わせて作られた造語で、素直にプルトニウム発電と呼んでもよいのところを、 "プルトニウム" では地元住民に受け入れられないであろうことを見越して悪いイメージを持たれないような名称が与えられた。 普通の原発においても核分裂反応によって生成された副産物のプルトニウムが発する熱量の方がウランのそれを上回ると考えられている。 つまりプルトニウムで発電をすること自体は別段珍しいことではありません。 核分裂を起こすウランは自然界に0.7パーセントしか存在しないウラン235で、原発ではその割合を増やして(濃縮と呼ばれます)核分裂反応が持続するように設計されています。 ウランのほとんどを占めている核分裂をしないウラン238(濃縮カスで劣化ウランとも呼ばれます)ですが、これが原子炉の中で中性子を1個捕獲するとプルトニウム239に生まれ変わります。 プルサーマル発電とは使用後のウラン燃料からプルトニウムを取り出し、最初からプルトニウム濃度が高い燃料で発電を行うもので、その燃料のことを国際的にはMOX燃料と呼びます。 MOX燃料のプルトニウム以外の材料としては普通、劣化ウランが使われます。 ・・・・・と、ここまでは阿修羅に集まる方々にとっていまさら聞くまでもない事柄でありましょう。 退屈された方も多いと存じますがもう少しお付き合い下さい。 次に、 プルサーマル発電を行う理由についてです。 今まで我々はこういう説明を鵜呑みにしてきました。 「非・核保有国である日本が原子力発電所から生み出されるプルトニウムを貯め続けているのは国際社会からあらぬ疑いをかけられる。だから普通の沸騰水型原発で燃やしてしまいましょう」 って・・・・・ でもね、 これっておかしくはないでしょうか? プルトニウムが "余る" からMOX燃料でプルサーマル発電するんですよね? じゃ、 MOX燃料が使用済みになったら、プルトニウムは本当に減るんでしょうか? 思い出して下さい。 MOXのプルトニウム以外の材料には劣化ウランが使われているんでしたよね。 そしてもうひとつ。 核分裂しないウラン238(劣化ウラン)は高速中性子を1個捕獲するとプルトニウム239に生まれ変わるんでしたよね。 つまり、MOX燃料を使ってプルサーマル発電をしてもプルトニウムは減るどころかますます "増殖" してしまうということになります。 なぜ今までこんな簡単な嘘がまかり通っていたのでしょう? 不思議です。 MOX燃料集合体がどんどん使用済み核燃料として排出されればいずれ誰もが気づくはずなのに。 そもそもMOX燃料とは "高速増殖炉" 用に作られた核燃料です。 高速増殖炉とは、"高速中性子でプルトニウム239を増殖する原子炉" という意味です。 もう少し長い名前でよければ、"冷却材にナトリウムを使って高速中性子環境の中で無価値な大量の劣化ウランから兵器級の高純度プルトニウム239を増殖させる魔法のような原子炉" ということになります。 ここでこんな突っ込みが聞こえてきそうです。 「けんどさー! 普通の沸騰水型原子炉なら水があるわけだから高速中性子が減速されてプルトニウムなんかできないんでないかなー?」 そう、思いますよね。 私もそう思いました。 確かに水で隔てられた燃料棒同士の間でどのくらいの高速中性子が飛びかうのかは不明です。 しかし、ジルコニウムの燃料棒のサヤの中は水の無い、まさに高速中性子環境です。 サヤの中はウランの何百倍も高速中性子を放出するプルトニウム239と高速中性子が大好物な劣化ウランで満たされています。 MOX燃料集合体のジルコニウムのサヤの中は実は "もんじゅ" となんら変わらない "高速増殖炉" 状態なのではないでしょうか? すると、プルトニウムは消費されるどころか実はますます増えてしまうといことになります。 「プルサーマルでプルトニウム削減!」 これはあまりにも人を馬鹿にした嘘なのではないでしょうか? この案に至った参考資料としてWIRED(ワイアード)という技術・学術系雑誌のWEB記事で、ネイチャー誌(科学雑誌)に掲載されたばかりの 「プルトニウム再処理は危険で高コスト」:『Nature』誌掲載 http://wired.jp/2012/05/23/got-plutonium-bury-it/ という記事を張っておきます。 簡潔で短い記事なので是非ともご覧いただきたいと思います。 この中で注目すべき一節は、 ・・・・ MOX燃料を20年近く利用している(このプログラムは最初核兵器用に始められた)。・・・・・ という部分で、そもそもMOX燃料というものが兵器級プルトニウムを生産する手段であったことを述べています。 これは日本国内では今までまったく説明されてこなかったプルサーマルの核心部分です。
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