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http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/29403690.html
新ベンチャー革命2012年5月18日 No.581
タイトル:東電福島原発・国会事故調査委員会:水掛け論をやっている場合ではない、4号機の安全確保が最優先
1.東電福島事故直後、全員撤退かどうかで政府と東電の証言食い違う
東京電力福島原発事故に関して、国会事故調査委員会(黒川清委員長)が2012年5月17日、海江田・元経産大臣(3.11事故当時の経産大臣)に公開事情聴取しているシーンがマスコミによって報道されました。
この事情聴取の最大の関心事は、2012年3月15日、東電が事故現場から全員撤退させたいと政府に申し入れたのかどうかという点でした。海江田氏は、当時の東電の意向は全員撤退だったと証言しています。一方、東電の勝俣会長はそれを全面否定しています。東電の言い分は、必要最小限の人員を残すが、その他は退避させたいと政府に申し入れたというものです。本件に関し、東電と政府要人の証言が大きく食い違っています。
本件、朝日新聞の竹内論説委員のブログに詳しく述べられています(注1)。
筆者はこれまで、3.11事故直後、菅総理が東電に乗り込んで、事故現場からの東電撤退を止めさせたと理解していましたが、上記、海江田氏の証言と上記、朝日新聞・竹内氏のブログから、当初、東電・清水社長は全員撤退を認めるよう、政府に申し入れたとみて間違いないでしょう。
2.あのとき全員撤退していたらと考えるだけで空恐ろしい
あの時点で、政府が東電の申し入れを受け入れていたら、事故現場が放置されるわけで、メルトダウンが起きて首都圏を含む東日本の国民全員が、西日本か北海道に避難せざるを得なくなっていたのは間違いありません。
結果的には、東電・吉田所長の強烈なリーダーシップの下に関係者は決死の覚悟にて現場に居残り、事故機の原子炉と使用済み燃料プールの冷却を続けたことで、今日、東日本の国民全体の避難を免れているわけです。本件、すでに本ブログでも取り上げています(注2、注3)。
吉田所長は、その後、食道がんを発症して、今は第一線から退いていますが、もし、東電本社が全員撤退を決めたとしても、吉田所長および責任感のある部下は決死の覚悟で居残って冷却作業を続けたのではないでしょうか。
このとき、もし彼らが現場を放棄してトンズラしていたら、首都圏を含む東日本全体が危険地域になっているわけですが、吉田所長らはそうなって生きていてもしょうがないと考え、決死で居残るしかないと考えたはずです。居残った人たちは今後、ガンにかかる危険がありますが、やむを得ないとあきらめるでしょう。
3.東電本店はあのときなぜ、全員撤退を決めて、政府に承認を求めたのか
今、東電会長がいくら否定しても、あのとき、東電が事故現場の全員撤退を決めたのはほぼ間違いないでしょう。なぜ、こうなったのでしょうか。彼らは国民には原発は安全と喧伝しつつも、本音では、原発の危険性を知りぬいていたからです。このままいったら、現場の東電社員は全員死ぬと判断したのでしょう。特に、原発建屋爆発後、外気にむき出しとなった使用済み燃料プールの安全面の脆弱性を知りぬいていたため、プールに貯蔵された大量の燃料棒が露出したらどうなるかがよくわかっていたのです。
精神的余裕を失った東電幹部はまず、自社社員の命を守ろうとして、結果的に、東日本全域に想像を絶する大被害が出ることまで頭が回らなかったのです。それほど原発はいったん事故を起こすと手がつけられないほど危険なシロモノなのです。
人間は切羽詰まると、本音がでるのでしょう。切羽詰まった東電幹部の場合、原発は東電の意思ではなく、もともと政府の命令で始めたというのが、東電幹部の共通認識だったと推察されます。だから、彼らの本音では、原発事故の責任は東電にはなく、最終的には政府にあると考えていたと思われます。重大事故に遭遇してその潜在意識が表面化したのではないでしょうか。
彼らの本音は、自分たちは命を捨ててまで、原発事故に対処する義務はないと勝手に解釈し、原発推進を決めた政府の責任にて自衛隊に事故対処をやってもらおうとしたのでしょう。
4.戦後、原発推進を決めたのは東電ではなく政府だった
戦後、日本の原発がどのような経緯で建設されるようになったのか、そのいきさつについては、早稲田大学の有馬教授によって、すでに検証されています(注4)。
東電からみれば、日本の原発は国家政策の一環として導入されたわけで、東電単独に決めたわけではないということです。今回の3.11事故は自然災害によるものであり東電に過失責任はない、東電は政府の原発規制に従って原発を運転していたに過ぎないというのが東電の政府に対する本音でしょう。その本音が3.11事故直後、全員撤退という意思決定につながったとみなせます。
しかしながら、事情を知らない国民には東電が極めて無責任な会社にみえるのです。
5.東電本店の幹部たちは単に吉田所長に現場処置を丸投げしただけだった
菅総理が東電に乗り込んで、全員撤退を撤回させたと多くの国民は理解してきましたが、結局のところ、肝心の吉田所長およびその部下が現場に踏み留まったことが、われら国民にとって最悪のシナリオ(東日本国民全員避難)から免れたということです。
その意味で、本ブログでは吉田所長を高く評価しています(注3)。この人物は東電には珍しくサラリーマン根性の優等生タイプの東電社員ではなかったと思われます。
3.11事故のとき、たまたま、このような人物が現場の所長であったことが東日本国民の全員避難を回避させたと言えます。東日本国民にとって、これは、ラッキーだったとしか言い様がありません。
6.4号機の安全確保が最優先
当該事故は1年以上経った今も決して解決されていません。もっとも危険なのは4号機の使用済み燃料プールです。本ブログでもそれを指摘しています(注5)。
技術者出身の筆者からみれば、政府は過去の責任問題をほじくり返しても始まらないのです、とにかく、危険に晒されている4号機の安全対策を最優先してほしい。
国民は原発事故が解決しないことに苛々しているのに、2012年5月17日夜のNHKに野田総理が登場してなにやらペラペラしゃべっていましたが、国民には彼の言っていることがさっぱり頭に入りません。
NHKも野田総理ヨイショに血道を上げるのは二の次にして、4号機の安全対策の緊急性をもっと強調して欲しい。
国会事故調査委員会による海江田インタビューのニュースの直後、NHKの大越キャスターと野田総理のやりとりを観ていると、この人たちは東電福島事故原発の置かれた極めて危うい状況をまったく理解できていないようです。
注1:WEB RONZA“「撤退するか残るか」。東電と菅首相が直面した究極の選択”2012年3月21日、竹内敬二
http://astand.asahi.com/magazine/wrscience/2012032000009.html
注2:本ブログNo.344『命がけで踏ん張る東電福島事故現場:世界にとって驚異であり、脅威でもある』2011年4月18日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/24017890.html
注3:本ブログNo.375『東電福島原発事故現場:やはり吉田昌郎所長個人の剛腕で仕切られていた』2011年5月28日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/24746772.html
注4:有馬哲夫[2008]『原発 正力 CIA』新潮社
注5:本ブログNo.547『野田政権の最優先課題は消費増税などではなく、福島原発4号機外壁のピラミッド型盛り土補強工事だ!』2012年3月9日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/28722619.html
ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm
テックベンチャー投稿の過去ログ
http://www.elmstadt.com/news/techventure.html
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/8285/column-top.html
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