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NHKの中学校教育報道・・・2重の犯罪性と善良な習慣への挑戦
http://takedanet.com/2012/05/2_1ccb.html
平成24年5月15日 武田邦彦(中部大学)
2012.05.15 武田邦彦 NHKの中学校教育報道
瓦礫の搬出が大きな政治・社会問題になっているとき、NHKと環境省が組んで、東京の中学校で瓦礫の搬出を巡る討論をさせ、その様子を放映した。全体としては中学生も「恩」、「可哀想」などを根拠に瓦礫の搬出を支持しているような編集だった。
この番組は、2つの点で明白な犯罪であり、また日本のこれまでの善良は習慣への挑戦である。これほど明確ならさすがの検察が動くだろう。
第一は放送法第3条の2の違反。
放送法第3条の2は放送が社会に与える影響を考え、中立的放送をするように決めている。その骨子は、異論のある場合は2つの考えを同時に報道すること、公序良俗に反する放送をしないこと、である。瓦礫のように明らかに国論が2分されている時、瓦礫搬出推進の環境省だけの場面を報道してはいけないということである。また、瓦礫の搬出は法律違反(低レベル廃棄物関係、およびクリアランスレベル関係)であるから、それを破っても良いかどうかという教育を放送するのは公序良俗に反する。
第二は放射線同位元素などの法律の違反と法律違反教唆である。瓦礫のほぼ90%は低レベル廃棄物に相当し、普通なら原発の敷地などから持ち出せないものである。たとえ事故が起こっても本来は持ち出せないものだから、移動や焼却などという処理は出来ない。また、基準値は法令(国会など)で決まっているので、政府(行政)が勝手に8000ベクレルなどという基準を作ることは出来ない。
放射性物質を含む物体は、そのもの自体が法律に該当しなくても、移動、処理、焼却などの過程で法律に触れる濃度になってはいけない。だから、普通の施設(放射性物質を取り扱えない施設)での焼却では灰も1キロ100ベクレルを超えることは出来ない。その意味で2重に法律違反である。
第三に教育の自由を定める憲法違反もしくは子どもと教育を尊重する日本の善良は習慣に対する驚くべき挑戦でもある。国民全部から受信料をとっている放送局が、国内で激しく賛否が分かれているものを片方(環境省)だけを学校に呼んだ中学校の放送をするのは、何ということだろう。
子どもを出汁にして、社会を洗脳しようとするハッキリとした意図が見られる。
NHKの経営委員長が東電の取締役になった。「経営委員会は番組に影響を与えない」などと「社会は全員、善人だ」ということを前提としたような形式的な話で、「李下に冠を正さず」を思い出す。
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