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全国のがれき受入状況(環境省のまとめをもとにウェッジ作成)
がれき処理と迷惑施設に共通する「住民エゴ」の問題
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120516-00000303-wedge-soci
WEDGE 5月16日(水)21時33分配信
東日本大震災で発生した大量のがれきは岩手・宮城両県であわせて2000万トンを超える。その量は岩手県の通常の年間処理量の11年分、宮城県にいたっては19年分にもおよぶ。がれきの撤去が進まなければ、復興もままならないが、県内の処分場だけでは処理が追いつかない。このため、このうち400万トンを全国の自治体に処理を肩代わりしてもらおうというのが広域処理の考え方だ。ところが、この広域処理が一向に進まない。今年3月末の時点で県外の自治体が受け入れたがれきは10万トンに満たない。
■責任逃れで進まないがれき処理
じつは震災から間もない昨年4月に環境省が行った調査では、全国で42の都府県と572の市町村が受け入れの意向を表明していた。ところが、放射能汚染への懸念が報じられるようになると、どの自治体も挙げたはずの手を一斉に下ろしてしまった。年末の段階で実際に受け入れたのは、東京都や青森県、山形県だけ。住民からの反対を懸念したのだろう。実際、神奈川県のように知事が受け入れを表明したとたんに激しい反対運動につながったところもある。
被災地に近い青森県や山形県は別にして東京都が受け入れを実施できたのは、石原慎太郎知事の個性ゆえだろう。都には都民数千人から反対意見が寄せられたが、記者会見で石原知事は、「(放射線量を)測って、なんでもないものを持ってくるんだから、『黙れ』と言えばいい」と言ってみせた。他の自治体トップにはこうはいかないかも知れないが、なぜ強いリーダーシップを発揮することができないのだろうか。
問題はトップだけではない。今年3月にがれき受け入れを表明した沖縄県南風原町の城間俊安町長は、こう嘆く。「東北の人たちが困っているというから助け合いの精神で、放射線量に問題がないものにかぎって受け入れると表明したら、役場にすごい数の抗議の電話がかかってきた。地元だけでなく東京や埼玉からも。どうして県外の人たちから抗議されるのかと驚いた」
いったんは受け入れを表明しながら、取りやめた関西のある県の担当者はこう話す。「放射線量を検査してから持ち込むわけだから問題がないのはわかっている。それでも『子供の健康に影響があったらどうするの』と住民から抗議されると、万が一のことを考えてしまい、とても責任を負えないという気持ちになってしまう」
つまり、がれきの広域処理が進まないのは、放射能汚染のリスクの問題というよりも、むしろ自治体がこれに取り組むだけの意思と能力を持っているかどうかの問題なのだ。
このことを如実に示すのが右図だ。この図は今年3月9日と28日の時点で、がれきの広域処理をすでに受け入れた、あるいは受け入れを表明した自治体を表したもの。9日には西日本で表明していた自治体はわずかだが、28日には一変している。きっかけは、13日に開かれた政府の関係閣僚会合で、特別措置法に基づいて野田佳彦首相名で全国の都道府県などに広域処理に協力するよう要請文書を出すことが決まったことだ。
先ほどの県の担当者も、「政府の要請だから受け入れてくださいと住民を説得しやすくなった」と打ち明ける。国に責任転嫁できるようになるまで、リスクはとりたくないというのが自治体の本音のようだが、こんなことでは地方分権などおぼつかない。
■「なぜうちが」押しつけあう自治体
福島第一原発から150キロ以上離れていながら、局地的に高い放射線量を観測し、いわゆる「ホットスポット」として有名になってしまった千葉県柏市、松戸市などの東葛地域。昨年6月、この地域で出るごみを清掃工場で焼却した灰から最大で国の基準の9倍近い約7万ベクレルの放射性セシウムが検出された。その後は、低下傾向にあるが、いったん国の基準以上の値を検出したことをきっかけとして、この地域の自治体は焼却した灰の処分に頭を悩ますこととなってしまう。
環境省の基準では、ごみの焼却灰を埋め立て処理できるのは、8000ベクレル以下とされている。しかし、昨年6月以降は、「基準値以下であっても、この地域の焼却灰をどこも受け入れてくれなくなった」(松戸市)のだ。
そもそも松戸市では、これまでごみの焼却灰をそれぞれの市内で埋め立てをするのではなく、遠く秋田県などの処分場まで運び埋め立てていた。その理由は東京郊外の住宅街が広がる同市では、処分場の用地を確保するのが困難だったためだという。
ところが昨年6月以降は、市内の清掃工場のなかに保管しなければならなくなった。国のガイドラインでは、基準値を超えた焼却灰は清掃工場内に保管しなければならないとされているが、基準値以下であっても受け入れ先がないので、同じように保管せざるを得ないのだ。
しかし、市内の清掃工場内の保管場所はスペースが限られている。松戸市の人口は48万人あまり。市内だけで1日およそ40トンものごみの焼却灰が出る。焼却灰は市の清掃工場の駐車場に保管を続けているが、日々増え続けており、市の担当者は「このままでは保管場所が確保できなくなり、最悪稼働停止と言うこともあり得る」と悲鳴を上げる。
松戸市では国のガイドラインどおりに清掃工場内に保管するのはもはや困難だとして、別の場所での保管を検討中だ。いわば、これまで近隣に処分場を確保せず東北地方など遠隔地の処分場に依存してきたためにこうした事態に追い込まれてしまったといえる。
隣の柏市では、年明け早々に南部クリーンセンターが2カ月間にわたって稼働停止に追い込まれた。市内のもう一つ清掃工場は稼働していたので、市民生活に大きな混乱を出すことはなかったが、稼働停止は昨年以来、2度目。綱渡りのごみ処理はいまも続いている。
こうした状況を打開しようと、両市に我孫子市、印西市など6市1町が県に焼却灰の保管場所を提示するよう要請したのが、昨年8月のことだ。2カ月後に県が提示したのは、県の下水処理施設である「手賀沼終末処理場」の敷地の一部を保管場所とする案だ。ところが、この案には手賀沼処理場が位置する我孫子市と印西市が猛反対。我孫子市の星野順一郎市長は「この処理場だけで保管するのは納得できない」と述べ、昨年12月には、我孫子市議会でこの案に反対する協議書が可決された。
我孫子市の清掃工場では、主灰と飛灰が分かれない流動床という焼却炉を使っていた。この焼却炉は灰に放射性物質が濃縮されにくいことから、震災以前から埋め立てをせずセメント業者に引き取ってもらっており、焼却灰を保管していない。我孫子市にすれば、どうして他の市の焼却灰をわざわざ市内にある処理場に受け入れなければならないのか、ということだ。
事態打開のため5市の副市長が集まって3回にわたり会合を開くなど調整の動きも見られたが、話し合いはまとまらない。県に我孫子・印西両市の市議会や住民を説得するための説明会を開くよう求めるなど、県にまる投げしてしまう。
だが、県はあくまでも「手賀沼終末処理場」案との立場で調整もできず、この案は宙に浮いたままだ。
県や各市からは、国による調整を望む声も聞かれるが、廃棄物処理法では、ゴミ処理は市町村が請け負うことと義務付けられており、国まかせにすることは通用しないはずだ。
WEDGE編集部(2012年4月24日掲載記事)
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