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新基準の課題A 「食材王国」宮城県の苦境
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2012-05-12 11:16:37 新井哉の危機管理・国民保護ブログ
全国有数の農産品生産、漁獲高を誇る「食材王国」宮城県で、出荷制限や操業自粛が相次いでいる。いずれも食品に含まれる放射性セシウム1キロ当たり100ベクレルなどの新基準がスタートした4月1日以降に集中。「風評被害」でなはく、出荷制限や操業自粛、海外で輸入禁止となる「実害」が深刻化していることから、検査の徹底だけでなく農地や漁場の除染などの抜本的な汚染対策が急務だ。
宮城県によると、国から宮城県内の自治体への出荷制限指示があったのは、「原木しいたけ」と「たけのこ」、「くさそてつ(こごみ)」、「こしあぶら」。原木しいたけについては、4月4日に丸森町でセシウムを350ベクレル検出したのを皮切りに、気仙沼市で203ベクレル、栗原市で150ベクレル、石巻市で190ベクレル、大崎市で680ベクレル、東松島市で140ベクレル、登米市で110ベクレル、仙台市で110ベクレル、名取市で280ベクレル、加美町で270ベクレルをそれぞれ検出した。
たけのこについては、4月25日に丸森町で120ベクレル、白石市で150ベクレル、くさそてつは、4月24日に栗原市で240ベクレル、大崎市で120ベクレル、こしあぶらは、5月3日に栗原市で110ベクレル、登米市で130ベクレル(いずれも1キログラム当たり)をそれぞれ検出。昨年度の県全体のくさそてつの生産量のうち、栗原市と大崎市で計36パーセント、こしあぶらの生産量は栗原市と登米市で計33パーセントを占めていたことからも深刻な「実害」がうかがえよう。
一方、水産物への「実害」も深刻さを増している。仙台湾南部海域(亘理町吉田沖)のヒラメで137ベクレルを検出したことから、国は金華山以南の海域でのスズキの出荷制限を指示。4月23日には仙台湾南部海域の定置網で漁獲されたヒラメで400ベクレルを検出、宮城県は仙台湾南部海域で漁獲されたヒラメの出荷を差し控えるように生産者等に要請した。さらに4月25日にも仙台湾北中部海域で浅海部で漁獲されたヒガンフグから95ベクレル(いずれも1キログラム当たり)を検出されたことから、宮城県水産物放射能対策連絡会議は同海域でのヒガンフグの水揚げを行わないことを決定した。
韓国政府が宮城県産のタケノコなどの輸入禁止措置を取るなど海外でのイメージダウンも甚だしい。こうした深刻な状況にある宮城県は「食材王国みやぎビジネス商談会」と銘打って今年6月に開催を予定するなど、失墜した県産品のイメージ回復に懸命だ。商談会は宮城県と七十七銀行(本店・宮城仙台市)が主催し、県内で食品を生産・製造する納入業者約60社と食品を取り扱う小売業、卸売業、外食産業などの仕入事業者約50社が参加予定で、商品展示や試食等を通して商品をPRし、販路拡大や食品製造業の振興を図るという。
しかし、3月23日に発表された農林水産省の「農地土壌の放射性物質濃度分布図」は宮城県の土壌汚染の深刻さを明らかにしている。水田で最大2740ベクレル、水田以外で同1810ベクレル(いずれも1キログラム当たり)を検出。都道府県別の水田の最大値では福島県に次ぐ「ワースト2」、水田以外でも福島、栃木県に次ぐ「ワースト3」となっている。環境省も宮城県内の汚染状況を重視し、今年2月末に汚染状況重点調査区域に宮城県亘理町を指定。同県内の指定市町村は9市町に上り、東京電力福島第1原発事故の放射性物質による汚染が、楽観できない深刻な状況であることがうかがえよう。
一方、宮城県内の米の汚染状況も無視できない状況だ。宮城県の村井嘉浩知事は「宮城県産のお米は安全。消費者には安心して宮城県産米をご賞味ください」と宣言しているが、新基準に照らし合わせた場合、宮城県内で収穫された一部の米は「出荷制限」に当たる可能性もある。昨年8月26日から9月26日までに実施された宮城県産米の放射性物質調査で、白石市(旧越河村)で101.6ベクレル、気仙沼(旧津谷町)で45.2ベクレル、栗原市で24.2〜20.3ベクレル(いずれも1キログラム当たり)を検出。100ベクレル超を検出した白石市(旧越河村)では、昨年10月に米ぬかで668ベクレル(1キログラム当たり)が検出されたため、宮城県は食品や肥料、飼料として利用しないよう指導。
白石市(旧越河村)で101.6ベクレルは、旧基準の500ベクレルは下回り、昨年度産については、流通が認められているが、現在の100ベクレルの基準を当てはめると、流通が認めれらないのは明白だ。米については事実上の「ダブルスタンダード」が認められており、生産者の困惑や消費者の混乱を招く一因であるのは間違いないだろう。
出荷停止や操業自粛が長引けば、東日本大震災で被害を受けた宮城県の復興の足かせになるのは明らかだ。消費者の信頼を取り戻し、農家や漁業関係者の生活を維持するためには、小手先の「安全PR」ではなく、抜本的な放射能汚染対策が求められよう。
具体的な対策としては、農地や漁場の「除染」が現時点では最も有効であろう。農地については汚染度の低い場所では表土を削り、汚染度の高い場所については、土壌の入れ替えも必要となるだろう。漁場は浅い海に生息する魚介類が影響を受けるケースが多々見られることから、海底の泥などにたまった放射性物質を除去する方法が効果的であろう。いずれも対策に時間がかかるため、その間に休業を強いられる農家や漁業関係者への補償をきちんと支払う仕組みの確立が急務となる。東京電力の補償の支払いが滞った場合は、宮城県が一時的に立て替え、農家や漁業関係者の生計を維持する必要がある。
汚染農地や汚染海域を放置することは、復興が遠のき農業や漁業の荒廃に拍車がかかることにつながりなねない。宮城県や政府が農家や漁業関係者へのきちんとした除染や補償のスキームを確立することで、消費者は将来より安全な食品を入手でき、生産者は将来の展望が見出せるはずである。
宮城県知事へのご意見はこちらへ→知事への提案
http://www.pref.miyagi.jp/gyokei/gyokei-ser/ippitu/ippitu.htm
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