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形式論・・・日本は原発先進国?
http://takedanet.com/2012/05/post_aa4d.html
平成24年5月6日 武田邦彦(中部大学)
第2次世界大戦の前に、「鬼畜米英」、「大東亜共栄圏」などの「言葉」が先行し、冷静な国力や国際情勢の分析がおろそかになったことも先の大戦の敗北の原因になったとされています。戦争は敗戦に終わり、310万人の日本人が犠牲になったのですから、戦争がやむを得なかった可能性はありますが、やはり政策として失敗だったことも明らかです。
日本の政策のように高度で複雑なことを考える時、言葉の遊びのような形式論で話を進めることもできますし、それなりに相手を説得できるように論理展開も可能です。事実、日本の論壇では「形式論で論旨を構築し、それにあった事実を集める」という手法を使う人がかなり多くテレビ解説や新聞、雑誌に登場しています。
その一つが「日本は原発先進国で原発の技術は世界一だから、それを守るべきだ」という「形式論」です。かなり地位も高く、論理性もある立派な方がこのような形式論を述べておられることに危惧を感じます。
この論理は「原発の技術が世界一」ということを根拠なしに前提にしているのです。日本の原発が世界一の技術力を持っているなら、もちろん福島原発事故などは起こっていません。いくら大きな地震と言っても「震度6,津波15メートル」というのは日本の海岸線ではそれほど珍しくありません。
震度6などは日本では普通のことで、高層マンションを建てるときでも「耐震設計」をしますし、地震の少ない国の設計をそのまま日本の高層マンションに応用することなど出来るはずもありません。地震や津波に強い建物の設計は、地震や津波がある国で発達するものだからです。
震度6の地震・津波のある国で原発を持っているのはほぼ日本だけですから、もし日本の原発技術が世界一なら、日本は独自の技術で原発、再処理施設などを設計しなければなりませんが、両方ともまったく出来ていません。
つまり、基本設計能力も安全保持設計もできないし、事故が起こったときの現場の対応(地元に連絡)や緊急体制(避難、ヨウ素剤など)もまったくダメなのに、単に「原発を(ややだまして)発展途上国に売る力」だけを「技術力」と言っているようです。
「日本の原発技術は世界一だから、これを温存しなければならない」などと言う形式論が堂々と議論されることに大きな違和感を覚えます。そろそろ形式論から実体論に、空気的事実から科学的事実に変わっていかなければならないとかんがえます。
日本が原子力発電を利用するためには「日本には基本的な原子炉技術はない。一から再スタートだ。再処理技術もフランスのもので日本にはない。だから核廃棄物の処理や格納もできない」という事実を認識して、議論をやり直す必要があります。
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